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ティルは、嬉しそうに笑うと元気よく返事をした。「おやっ!」 ガゼルが急に目を見開き、エルナを見入った。「……貴方様は、リーナ様!」 ガゼルは、「何故貴方様がここに!?」と言葉を続け、驚きを隠しくれない様子だった。「えっ何故、母の名前を知っているのですか?」 エルナの方も、いきなり自分の母親の名前を言い当てられて、戸惑っていた。「母の名前ですと! ……とりあえず皆、中へお入りなさい」 ガゼルは、皆を家の中へ入れ、家の鍵を閉めた。 四人と一匹は、机につき、紅茶を飲みながら...
イルシオン | 2013.05.23 Thu 09:56
第二話 大きな旅立ち 木々が生い茂る森の中を、二人と一匹は無言で進んでいた。「クウォードさん、聞いてもいいですか?」 無言に耐え切れなくなったエルナは、ふと疑問に思ったことを聞くことにした。「なんだ?」 エルナの前を歩きながら、少しだけ振り返り、クウォードは聞いた。「お師匠さんは、どんな方なんですか?」 聞いてはみたが、少し考え込み黙ってしまったクウォードに、不安がつのるエルナ。 だが、クウォードはエルナの不安など吹き飛ばすように、話し始めた。「……師...
イルシオン | 2013.05.23 Thu 09:54
「まさか……獣人か」 クウォードのその呟くような一言に、女はビクッと肩を震わせた。「あっ大丈夫ですにゃ。ボク達は貴方に何もしないですにゃ」 ティルは、怯えるように震える女を見て、安心させるかのように優しく言った。「俺たちは、獣人狩りはしていない。お前に危害を加えるつもりはない」 クウォードは、そっと女のフードを元通りに直してやり、「かぶっていろ」と続けた。 ――獣人狩り。 それは、獣族と他の種族との間に生まれた「獣人」と呼ばれる者たちを、人身売買のために、賞金稼ぎなどが行っている人狩り...
イルシオン | 2013.05.23 Thu 09:52
クウォードは両親がおらず、小さい時は両親の知り合いの家に住んでいた。しかし彼は、迷惑をかけられないと、大人になるとその家を離れ、今住んでいる家へと移り住んだ。「クウォード様。狩りに行きたいにゃ」 ティルが、扉の影からひょっこりと顔を覗かせ、かわいい大きな緑の瞳でクウォードを見た。 クウォードは軽く笑うと、「あぁ、行こうと」微笑んだ。 ティルはその言葉を聞くと、嬉しそうに笑い、家の中へと入って行った。「俺も準備をするか」 クウォードは、顔を布でふき、家の中へと入っていった。 &n...
イルシオン | 2013.05.23 Thu 09:51
第1話 悪夢と出会い 小さな小さな、木々に囲まれた村。 その村の中に、必死に逃げ惑う少年の姿があった。『お前は、我々エルフ族の恥さらしだ!!』 少年は、そう叫びながら追ってくる、鬼のような表情の大人達から逃げる。「はっはっ……」 額から流れる汗、荒くなった息が、彼の必死さを物語る。 だが、その必死さをあざ笑うかのように、鬼のような表情の大人達は、少年の周りを取り囲み、彼は逃げ場を失った。「っ!」『お前は、エルフでも魔族でもない……化け物だ!!』 一人の大...
イルシオン | 2013.05.23 Thu 09:45
「違うんだ。一生懸命怒って、幸せになって良いって言ってくれて嬉しかったんだよ。……ありがとうルナ」 ウィルは、満面の笑みで微笑む。そんな彼を、ルナはぽけーっと見入っていた。 ウィルは、顔は悪くも良すぎることもないが、その笑顔は丁度いい具合に月の光に照らされ、ルナにはかっこよく見えていた。「ルナ?」 ウィルの声に、はっと我に返ったルナは赤くなった自分の顔を見られまいと、俯いた。「どうした、ルナ?」「なっなんでもない! じゃあ、おやすみ!」 ルナは、ウィルに顔を覗き込まれそうになり、慌てて彼か...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 23:30
ルナは、自分を助けてくれた精霊は彼等ですと言う様に、レンとラックスの方に掌を向けた。「私が言える立場じゃないことは十分分かっています――でもっ! でも、この子達みたいな優しい、私達人と共存できる精霊もいることだけでも、分かってほしいのです!!」 ルナは、強く手を手すりの所についた。そんな彼女の瞳は、強い光に満ちていた。「2人とももういい」 親方は、2人の背中を軽く叩くと、自分が2人の前に出た。「皆、オレ達からしたら、不思議な力を使う精霊は確かに怖い存在だ。だが、ワシ達は自然の中で生き、精霊は...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 23:29
「オレも、皆の気持ちを分からないわけじゃない。しかし、こいつらを人殺しと言うのなら、オレ達の同胞がアデリナの民を殺しても、人殺しにはならないのか?」(……っ!) ウィルは、親方の予想だにしない言葉に、目を開き、親方を見た。 ラックス達も、驚きの表情を浮かべながら、親方に視線を向けた。「そっそれは……」 一方親方の問いかけに、町の人々は黙ったまま、苦い顔や、ショックを受けた顔など、それぞれの思いを表情に出していた。 だが誰も、親方の言葉に言い返す者はいなかった。 親方は、黙ったままの...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 23:28
(よし! やるぞ) ウィルは、最初あまり話かけてもくれなかった、町の人達が徐々に話かけてきてれくるようになって嬉しかった。 日も傾き始め、あちらこちらから「完成だ!」っという声も聞こえ、皆片付けをしていた頃だった。 ウィル達はというと、親方に呼ばれ、時計台の上へきていた。「俺達、片付け手伝わずに、サボっててもいいんですか?」 ウィルは、時計台の下で、せっせと片付けに励む人々を上から見て、親方に振り返り聞いた。「これは、サボりに入らない。これから、大事なことをする...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 23:27
エピローグ 審議が終わり、何日たっただろう。 ウィル達は、審議の判決どおり、奉仕活動として、アラルネに破壊された町の片付けと、建物の再建を手伝っていた。 町の人達は始め、レンやラックスを怖がっていた。だが、町の人々は、子供とあまり変わらない姿の精霊達が、自分達の町の再建を一生懸命手伝ってくれている姿を見て、次第に打ち解けていっていた。「今日のところは、ここまでだ!」 親方がそう叫びながら、時計台の鐘を鳴らす。 すると作業していた町の人々は作業の手を止め、それぞれ背伸び...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 23:26
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