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「……そうだね! 精霊使いなんだもん、精霊との絆は大切だよね」 だがルナは、すぐにいつも通りの笑顔で、三人に笑いかけた。「ルナ、良いこと言うな」「でしょ? もっと褒めても良いわよ?」 ウィルが褒めると、ルナは調子に乗ったように、腰に両手をあて、威張って見せた。「調子に乗るなって」 ウィルは、そんなルナをつっこみ、楽しそうに笑った。すると、二人の様子を、ウィルの膝に座って見ていたレンが、何を思ったか、そっと彼の膝からおり、ラックスに近寄った。「ねぇ、ラックス?」「なんだよ?」 自分に耳打ちをして...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:26
「ふんっ」 それを見ていたラックスは、鼻を鳴らして、ふくれっ面でそっぽを向いた。「ラックスも怒ってないから、こっちこいよ……なっ?」 ウィルが、自分の隣を軽く叩きながら、ラックスに呼びかける。すると、ラックスは複雑そうな表情で俯いたまま、大人しくウィルに近寄り、隣に座った。(いつもながら、素直じゃないなぁ)ウィルは、苦笑いしながら、ラックスの頭もなぜてやった。「……さてと。まずは自己紹介かな? この赤い男の子が炎の精霊レン。んで、こっちの青い男の子が水の精霊ラックス」 ウィルは、少しぼんやりとし...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:25
四「さっそくお願いしまーす」 ルナは、部屋にあったイスに座って、まだか、まだかと時を待っていた。二人がいるのは、クラーク家の二階の端にあるウィルの部屋だ。精霊召喚は、特に場所を選ばず、ウィルの部屋の隣にあるルナの部屋でもできた。だが、自分の部屋の方が落ち着いてできるからと、ウィルの希望で、ウィルの使っている部屋でやることになったのだ。そんな二人の頬は、お風呂上がりのせいか、ほのかに火照っていた。「ルナ。この指輪に、精霊は封印されてるんだ。まぁ、精霊使いによって、精霊を封印するモノ...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:24
「おう。もう腹へって死にそうだ」「父さん大げさだって」 ルナがおかしそうに笑うと、ウィルもディランもつられて笑っていた。「あっ、そういえばウィル?」 食事中。ルナは、何かを思い出したかのように、スープンを口に運ぶ手を止め、ウィルを見た。「んっ? はんは?」 ウィルは、口に肉を加えたまま声を出したせいか、その返事は言葉にはなっていなかった。だが、ルナは彼の返事を理解したのか、話を続けた。「ねぇ、今夜……暇?」「何だルナ? ウィルに夜這いでもする気か?」「んごっ! ごほっげほっ!」ウィルは、ディラ...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:23
三 大地に、自分の暖かな光を注いでいた太陽も沈み、ワイズの町は薄暗さに包まれていた。その頃パン屋クラークも店じまいし、ルナは夕食の支度を始め、やることのなくなったウィルは二階の自分の部屋にいた。「…………」 ウィルはベットの上であぐらを組み、目の前に広げられた布の上へ、両手をかざし、瞳を閉じた。(掌に集中……) 彼は、掌に自分の内に眠る魔力を集中させ始めた。すると、布にかざした両手が淡く光を放ち、布の上に何かの物体が現れ始めた。それは、最初は半透明の小さなガラスのカケラのようなものだっ...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:22
「いらっしゃいませ」「あら? 貴方見ない顔ね」 メガネの女性は、挨拶するウィルを、物珍しそうに足先から頭の毛の先まで、じっくりと観察するように見た。「あっえっと……」 ウィルがカーナの行動に戸惑っていると、ルナは苦笑いを浮かべながら、フォローに入った。「彼は私の遠い従兄妹のウィル。昨日こっちについて、お店手伝ってもらってるの」 カーナは、ルナが自分の髪の毛をいじりながら説明をするのを見て、「ふーん」と鼻で返事をすると、ウィルに振り返った。「そうなんだ。……ふふっ。なかなかのイケメン君ね? 町で人...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:20
ウィルのエプロンは、パン屋クラークと刺繍されているところまでは良かったが、なぜか可愛らしいクマの絵も一緒に刺繍されていた。ちなみに、ルナのエプロンは薄桃色で、可愛らしいうさぎの刺繍がしてあった。そのエプロンは、彼女の着ている白い長袖のワンピースによく似合っていた。「クマちゃん……」 ウィルは、エプロンが似合ってると言われ、何とも複雑な顔をしていた。「ほらっ! お客さん来るんだから、そんな顔しない! 笑顔でいらっしゃいませだからね?」 ルナは、ウィルの背中を軽く叩くと、念を押すように言った。「分...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:19
二 朝食も済み、ディランは自衛団の事務所に出かけ、ルナと二人っきりにされたウィルは、少し気まずかった。(まだ怒ってそうだな……)ウィルは、食後に用意してもらった紅茶を飲みながら、食器を洗う、ルナの後ろ姿を見た。だが、後ろ姿だけじゃ、相手の機嫌が分かるはずもない。彼は、こんな空気にしたまま家を出て行った、ディランが恨めしかった。「――ル? ……ウィル!」 ルナの声が、ウィルの耳元で響く!「はひっ!」 ウィルは、自分が呼ばれていることに気付き、少し怯えたようなおかしな返事をしながら、立ち上...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:18
(んっ?)隣に誰かの気配を感じたウィルは、どうせディランかルナだろうと思い、挨拶をしようとした。「おはようござ……いぃっ!」 だが、笑顔で挨拶をしようとしたウィルの顔は、驚きのために引きつった。それは狭くはないが、あまり広くもないダイニングの隅で、ディランが平然と片手で逆立ちをしていたからだ。「……こんな所で何やってるんですか?」「見ての通り、片手逆立ちだ。ちなみに片手で腕立て伏せもできるぞ?」 ディランは平然と答えると、一回だけ片腕だけで、腕立て伏せをするところをウィルに見せた。(さすが自衛団...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:17
「そこを負けてくれるのが親でしょ!」「いや、甘やかしはしねぇ。……というより、わざと負けるのは俺の美学に反する!」「父さんに美学なんて言葉、似合わないわよ!」 怒鳴るルナの顔は、興奮しているのか、少し顔が赤かった。「負け惜しみか?」 勝ち誇った笑みを浮かべるディランに、ルナな歯を食いしばり――そして。「ウィルっ!」 ルナは、ウィルを見ることなく背を向けたまま、彼の名を怒鳴るように叫んだ。「あっうん。何だ?」 ウィルは、驚きのあまり体を一瞬こわばらせた。「罰として、今日はとことん厳しくいくからね!...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:16
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