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(照れてるわけじゃねーよ!) ウィルが心の中で、そう思いながらむすっと顔をしかめた、次の瞬間だった。「あっでも、遠い従兄妹って話……本当は嘘なんでだよね?」「えぇっ!」 顔をしかめていたウィルも、からかっていたルナも、お互いアイリを見ながら、目を見開き驚いた。きっと、今の二人は、口の中に何か物が入っていたら、間違いなく噴出していただろう。 そんな彼らの反応を見て、アイリは面白そうに小さく笑った。「母さん感づいてたよ? 事情があるみたいだから、深くは聞かなかったって言ってたけどね」「なっ何で分か...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:34
二 荷物を持った人達の行きかう、ワイズの町の中心部にある大時計広場。 そこでは、多くの露店が大声を張り上げて、客引きをし、その声につられてやってきた客達は、店の前で立ち止まっては、品定めをしていた。 そんな客達の中に、ルナとウィルの姿もあった。「何で俺が荷物持ちなんか……」 ウィルは、小麦粉と書かれた大きめの麻袋を左手で抱え、右手にはくだものや肉や、いろいろなモノが詰め込まれたカゴを持っていた。「私だって持ってるでしょ? つべこべ言わずに歩く!」 ルナは、両手で重そうにミルクの入...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:30
フェスは自分の胸に片手をあて、誓いを立てるかのように言った。「そっそうですか……」 ルナは、苦笑を浮かべ、「よろしくお願いします」と言った。「それと、ルナさん。今日は僕と……」 フェスが、そこまで言いかけると、ルナが急に「あっ!」と叫んだ。「そろそろ出かけないと!」 ルナは、一回店の奥へ引っ込むと、カゴを持ってまた戻ってきた。「どこか行くのか、ルナ?」 ウィルが、首を傾げながら聞くと、ルナは小さく頷いた。「うん、買い物。ウィルも来るんだよ!」「えっ俺も?」 ウィルは驚き、目を丸くしながら、自分...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:25
ウィルは、ルナの表情を見て、思わず笑いそうになった。 もちろん、ルナの表情がおかしいからじゃない。あんなに「ルナさんルナさん!」と連呼しているフェスが、彼女本人に嫌がられているのが笑えたのだ。 ルナがそんな嫌そうな表情をしているとも知らず、フェスは俯いたまま、花束を受け取ってもらえるのを待っていた。「ごめんねさい、ライドネルさん。私受け取れないわ」「遠慮なんかしなくて良いんですよ、ルナさん? これは僕の気持ちですから」 ルナは断ったが、フェスは意地でも渡そうと、ルナに花束を押し付ける。「い...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:23
第三話 いつもの日常のはずが…… 一 ウィルが、クラーク家で住み込み、働き始めて数日がたったある日の朝。その日は、パン屋の休業日で、ウィルも久しぶりの、のんびりとした時間を満喫していた。 だが、ウィルがダイニングでのんぶりとコーヒーを飲んでいると、その安らかな時間をぶち壊すかのように、扉が壊れんばかりの激しいノック音が聞こえてきた。「ルナー……って。今洗濯中だっけ?」 ウィルは、洗濯物を一生懸命ほしているルナを邪魔しちゃいけないと、渋々といった感じでお店に向かい、まだ激しくノッ...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:20
「……そうだね! 精霊使いなんだもん、精霊との絆は大切だよね」 だがルナは、すぐにいつも通りの笑顔で、三人に笑いかけた。「ルナ、良いこと言うな」「でしょ? もっと褒めても良いわよ?」 ウィルが褒めると、ルナは調子に乗ったように、腰に両手をあて、威張って見せた。「調子に乗るなって」 ウィルは、そんなルナをつっこみ、楽しそうに笑った。すると、二人の様子を、ウィルの膝に座って見ていたレンが、何を思ったか、そっと彼の膝からおり、ラックスに近寄った。「ねぇ、ラックス?」「なんだよ?」 自分に耳打ちをして...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:26
「ふんっ」 それを見ていたラックスは、鼻を鳴らして、ふくれっ面でそっぽを向いた。「ラックスも怒ってないから、こっちこいよ……なっ?」 ウィルが、自分の隣を軽く叩きながら、ラックスに呼びかける。すると、ラックスは複雑そうな表情で俯いたまま、大人しくウィルに近寄り、隣に座った。(いつもながら、素直じゃないなぁ)ウィルは、苦笑いしながら、ラックスの頭もなぜてやった。「……さてと。まずは自己紹介かな? この赤い男の子が炎の精霊レン。んで、こっちの青い男の子が水の精霊ラックス」 ウィルは、少しぼんやりとし...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:25
四「さっそくお願いしまーす」 ルナは、部屋にあったイスに座って、まだか、まだかと時を待っていた。二人がいるのは、クラーク家の二階の端にあるウィルの部屋だ。精霊召喚は、特に場所を選ばず、ウィルの部屋の隣にあるルナの部屋でもできた。だが、自分の部屋の方が落ち着いてできるからと、ウィルの希望で、ウィルの使っている部屋でやることになったのだ。そんな二人の頬は、お風呂上がりのせいか、ほのかに火照っていた。「ルナ。この指輪に、精霊は封印されてるんだ。まぁ、精霊使いによって、精霊を封印するモノ...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:24
「おう。もう腹へって死にそうだ」「父さん大げさだって」 ルナがおかしそうに笑うと、ウィルもディランもつられて笑っていた。「あっ、そういえばウィル?」 食事中。ルナは、何かを思い出したかのように、スープンを口に運ぶ手を止め、ウィルを見た。「んっ? はんは?」 ウィルは、口に肉を加えたまま声を出したせいか、その返事は言葉にはなっていなかった。だが、ルナは彼の返事を理解したのか、話を続けた。「ねぇ、今夜……暇?」「何だルナ? ウィルに夜這いでもする気か?」「んごっ! ごほっげほっ!」ウィルは、ディラ...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:23
三 大地に、自分の暖かな光を注いでいた太陽も沈み、ワイズの町は薄暗さに包まれていた。その頃パン屋クラークも店じまいし、ルナは夕食の支度を始め、やることのなくなったウィルは二階の自分の部屋にいた。「…………」 ウィルはベットの上であぐらを組み、目の前に広げられた布の上へ、両手をかざし、瞳を閉じた。(掌に集中……) 彼は、掌に自分の内に眠る魔力を集中させ始めた。すると、布にかざした両手が淡く光を放ち、布の上に何かの物体が現れ始めた。それは、最初は半透明の小さなガラスのカケラのようなものだっ...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 13:22
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