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「えぇ、遠慮なくお邪魔するわ」「うん!」 エルヴェル家と、クラーク家は昔から仲が良い。十五年前、ルナがまだ幼い頃。彼女が母親シエルをある事件で失った時、自衛団で忙しいディランの代わりに、エルヴェル家が一時的にルナを預かっていたぐらいだ。「おーい、どうした……あっ! ルナちゃんじゃないか」 もう一人店の奥から、今度は短い黒髪に、眼鏡をかけた男が顔を出した。彼はカーナの夫であり、エルヴェル家の優しい大黒柱、ザックだ。「ザック、丁度良いところに来たわー。頼みが……」「ななっ何かな……?」 笑顔で何かを頼...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 11:09
第四話 救出と自衛団 一 ウィルが、森にルナを探しに行く大分前――そうウィルが暇つぶしに眠ろうとしていた頃。 ルナは家から少し離れた、街の店が立ち並ぶ通りを横切り、看板に「薬屋エルヴェル」と書かれた店の前にいた。「こんにちわー」 ルナが扉を開けながら挨拶すると、扉の角についたベルが、彼女の声をかき消すように鳴った。 店の中は、いろいろな色の液体が入った瓶や、塗り薬と書かれた丸い平べったい缶、可愛くラッピングされた箱などが、綺麗に陳列されていた。(いつもと変わらず不思議な雰囲...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 11:07
すると、ウィルの目の前に明るい日差しが飛び込んできた。彼は、急な眩しさに目を細めた。「はぁ……ここか」 森が開け、そこには大きな湖が太陽の日差しを浴びて、眩しいほどに輝いていた。「……ふぅ。それじゃやるか」 ウィルは右手を空高く上げ、目を閉じ唱えた。「湖に集いし自然の力よ、我らに力を……」 彼が唱えるとほぼ同時に、湖に大きな波紋が立ち始める。 ウィルは、それに構わず、呪文を続ける。「水流を操りし精霊ラックスよ」 すると、ウィルの右手の青い石のついた指輪が輝き始め、指輪から水色の丸い発光体が飛び出...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:58
五 ウィルは門を出た後、自分の右手にはめられた指輪に宿る精霊、ラックスとレンに森の詳しい場所を聞きながら走っていた。 日頃、指輪の中に封印されている精霊は、外の世界のことを指輪の中から見ることはできるが、話をすることはできない。だが、指輪に魔力を送り、少しだけ封印を解くと、話ができるようになるのだ。 しかし、精霊の声は、その精霊を所持する精霊使いにしか聞こえないため、周りから見れば、独り言をひたすらしゃべっているように見える。「森があるのってこっちであってるか?」「おう、間違いな...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:54
「ガルックの森だって!」 二人の話を聞いていたフェスは、急に驚きの声を上げ、アイリの肩を掴んだ!「そっそれは本当なのかい、アイリ君!」 アイリは、凄い剣幕のフェスに驚きながらも、小さく頷いた。「はい、薬草を取りに……」「あそこは、昨日ゴブリンの目撃情報が入った場所なんですよ!」 その話を聞いた瞬間、ウィルとアイリは目を見開いた!「ゴブリンだって! 自衛団は?」「今日は、隣町に大量に現れた魔獣退治で、ほとんどの人が出払ってって……。それに、町中を警備している人達を集めるのに時間が――」「そんな……」 ...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:50
四「ふわぁ……腹減った」 ウィルは、自分の腹の虫の音で目を覚ました。 彼は、ベットに寝転んでいたせいか、いつの間にか睡魔に襲われ、眠っていたのだった。「よっこらせっと」 ウィルは、年寄りのような掛け声を上げながら、気だるい体をベットから起こした。 彼は、頭を掻きながら、一階へと下りて行った。 ウィルが、ダイニングをあさってパンを見つけ、丁度パンを加えた時だった。店の扉を勢いよく叩く音が、彼の耳に入った。「まったく誰だよ? ……はーい」 ウィルは面倒だったが、渋々パンを加えたまま、...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:46
しかし、アデリナ族を取り締まる長老達は、その状況にも関わらず、殺生は神の意思に背くと、今までどおりの生ぬるいやり方を止めようとはしなかった。 そのため、アデリナ族には次々と犠牲者が増えていった。 それと同時に、親しい友人、愛する家族や恋人を奪われ、リード族に恨みを持ち、復讐心を燃やす、アデリナ族の民も増えた。 ……そして、ついに、一人のアデリナ族の男が、横暴極まりないリード族に牙を向いた。 一人が牙を向けば、その影響は一度火の手の上がった森が大火事になるように広がり、アデリナ族の三分の一が、...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:44
三 ウィルが買い物に行き、アイリとあった翌日。ディランは、隣町で事件が起きたと知らせを受け、いつもより早い時間から家を出てていた。そのため、ダイニングで朝食を食べていたのは、ルナとウィルの二人だけだった。 すると、ふと、ルナが口を開いた。「今日は用事があって出かけるから、パン屋お休みにするね」「はへっ?」 ウィルは、突然のルナの言葉に、パンを銜えたまま、間抜けの声を上げた。 そして、しばらく考え、ウィルは「あぁ」と声を上げた。「昨日の、アイリちゃんとかいう子と話してたやつだな?...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:40
ウィルは、調合師の資格を取るための試験が、並大抵ではないことを噂で知っていたせいか、ルナの話が信じられなかった。「信じてないって顔ね? でも、本当のことよ。この町じゃ有名な話だしね」 ルナは、人差し指を立てながら、自慢げに言った。「そうなのか……人って見かけによらないな」「老後安泰だね、アイリは」「ゲホッ!」 ルナの言葉を聞き、ウィルは咳き込んだ。そして、少し荒れた息を整え、大きなため息を吐いた。「ルナぁ……。お前がそんなこと言ってたら、俺はどーなんだよ?」「ウィルの老後は……もうダメね」「おい...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:37
「あっうん。安心……したよ」 ウィルは、平然と言うアイリに、苦笑を浮かべながら答えた。「あっそろそろ帰らないと! それじゃ、二人ともバイバイ」 アイリは、可愛い笑顔を浮かべながら、二人に手を振り、走っていった。 ウィル達はアイリが帰った後、自分達も荷物が重いから早く帰ろうと、家路についていた。「あー……なぁ、ルナ?」 ふと、ウィルが思い出したように、ルナに話かけた。「んっ、何?」「あのアイリって子さぁ……どっかで見たことあるんだよ?」 ウィルは、思い出そうと、うーんうーんと唸る。「何? アイリを口...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:36
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