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そして、ギザギザとした細かい牙の間からヨダレを垂らしていた。獲物を食らうのを待ち切れない、獣のように……。 ルナは、力を失いながらも、木の奥へ行き、座り込んだ。(ゴブリンがいるなんて聞いてないよ……) ルナは、恐怖で身を震わせた。すぐ傍に感じるゴブリンの気配と、誰も助けに来てくれるわけないという思いが、彼女を一層恐怖のどん底へと突き落とす。(死にたくない……死にたくないよ! 誰か……誰か助けてっ――) 彼女は、両手で頭を押さえながら、心の中で何回も叫んだ。「……キがクサイ」「ニンゲン、ニオイスル……」(...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 11:18
(……母さん、力を貸して!) ルナは瞳を閉じ、念じながら、腰の剣をそっと抜く。「ニンゲン、ニオイスル」 ゴブリンは、着実にルナに近づいてくる。 ルナは一呼吸すると、剣を両手で握り直し、ゴブリンの気配を探った。(……今だ!) ルナは、木の陰から飛び出ると、その勢いのまま、ゴブリンに斬りかかった!「グギャア!」 ゴブリンの一匹は、体を斜めに真っ二つに斬られ、奇声を上げながら倒れた。「オマエっ!」 もう一匹いたゴブリンは、ルナに飛び掛る! だが、ルナはそれを軽く交わし、ゴブリンの後ろから、剣を突き刺し...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 11:17
二「ウィルー!」 ルナは、森に行く前に自宅へ寄っていた。 彼女は、ウィルから返事が返ってこないことに、首を傾げていた。(あれ……寝てるのかな?) ルナは、そんなことを思いながら、ダイニングに行った。 彼女は、ダイニングの机の上に本の入ったカゴを置くと、裏庭へ続く廊下から、裏庭に出て、隅にある小さめの倉庫の扉を開ける。「うわっ! ほこりっぽい……」 ルナは、倉庫の中で光に照らされながら舞うほこりを片手で払いながら、目的の物を手に取った。――それは、銀色の鞘に入った一本の剣だった。「一様護...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 11:13
「育ち盛りは、もう過ぎた……」 ザックが言い終わらない内に、カーナの肘鉄がザックのみぞおちにあたる。ザックは、あまりの痛さと苦しさに、「ぐぉっ」とうめき声をあげ、椅子から転げ落ちる。 「もう、ザックったら。ルナちゃんに失礼でしょ」 口に手をあて「ほほほっ」と、上品そうに笑うカーナ。ルナは、こういうカーナを見る度に、自分も同じ女なのに、女は怖い思うのであった。「お母さん……。そーゆうことは、人前じゃやっちゃダメだって言ってるでしょ? ほら、お父さんもいつまで床に転がってるつもり?」 いつもと変わら...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 11:12
「……それで、ルナ姉。今日は、いったいどんな用で来たの?」 カーナが出て行った後に、アイリが下がった眼鏡をあげながら言った。「えっ?」「何か、僕に聞きたいことがあって来たんじゃないの?」 どこで癖がついたか、昔からアイリは自分のことを「僕」と言う。だが、そんなちょっと変わった所も可愛いと思うルナだった。「……あっバレた? でも、遊びに来たのも本当だよ!」 ころころと表情を変えるルナに、小さく笑うアイリ。「分かってるって。……それで?」 アイリも、ルナが用事だけじゃなく、本当に遊びに来てくれたんだと...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 11:10
「えぇ、遠慮なくお邪魔するわ」「うん!」 エルヴェル家と、クラーク家は昔から仲が良い。十五年前、ルナがまだ幼い頃。彼女が母親シエルをある事件で失った時、自衛団で忙しいディランの代わりに、エルヴェル家が一時的にルナを預かっていたぐらいだ。「おーい、どうした……あっ! ルナちゃんじゃないか」 もう一人店の奥から、今度は短い黒髪に、眼鏡をかけた男が顔を出した。彼はカーナの夫であり、エルヴェル家の優しい大黒柱、ザックだ。「ザック、丁度良いところに来たわー。頼みが……」「ななっ何かな……?」 笑顔で何かを頼...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 11:09
第四話 救出と自衛団 一 ウィルが、森にルナを探しに行く大分前――そうウィルが暇つぶしに眠ろうとしていた頃。 ルナは家から少し離れた、街の店が立ち並ぶ通りを横切り、看板に「薬屋エルヴェル」と書かれた店の前にいた。「こんにちわー」 ルナが扉を開けながら挨拶すると、扉の角についたベルが、彼女の声をかき消すように鳴った。 店の中は、いろいろな色の液体が入った瓶や、塗り薬と書かれた丸い平べったい缶、可愛くラッピングされた箱などが、綺麗に陳列されていた。(いつもと変わらず不思議な雰囲...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 11:07
すると、ウィルの目の前に明るい日差しが飛び込んできた。彼は、急な眩しさに目を細めた。「はぁ……ここか」 森が開け、そこには大きな湖が太陽の日差しを浴びて、眩しいほどに輝いていた。「……ふぅ。それじゃやるか」 ウィルは右手を空高く上げ、目を閉じ唱えた。「湖に集いし自然の力よ、我らに力を……」 彼が唱えるとほぼ同時に、湖に大きな波紋が立ち始める。 ウィルは、それに構わず、呪文を続ける。「水流を操りし精霊ラックスよ」 すると、ウィルの右手の青い石のついた指輪が輝き始め、指輪から水色の丸い発光体が飛び出...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:58
五 ウィルは門を出た後、自分の右手にはめられた指輪に宿る精霊、ラックスとレンに森の詳しい場所を聞きながら走っていた。 日頃、指輪の中に封印されている精霊は、外の世界のことを指輪の中から見ることはできるが、話をすることはできない。だが、指輪に魔力を送り、少しだけ封印を解くと、話ができるようになるのだ。 しかし、精霊の声は、その精霊を所持する精霊使いにしか聞こえないため、周りから見れば、独り言をひたすらしゃべっているように見える。「森があるのってこっちであってるか?」「おう、間違いな...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:54
「ガルックの森だって!」 二人の話を聞いていたフェスは、急に驚きの声を上げ、アイリの肩を掴んだ!「そっそれは本当なのかい、アイリ君!」 アイリは、凄い剣幕のフェスに驚きながらも、小さく頷いた。「はい、薬草を取りに……」「あそこは、昨日ゴブリンの目撃情報が入った場所なんですよ!」 その話を聞いた瞬間、ウィルとアイリは目を見開いた!「ゴブリンだって! 自衛団は?」「今日は、隣町に大量に現れた魔獣退治で、ほとんどの人が出払ってって……。それに、町中を警備している人達を集めるのに時間が――」「そんな……」 ...
イルシオン | 2013.05.22 Wed 10:50
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