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「そんなわけないでしょ?」 後ろから聞こえた声にクウォードは振り返った。「アピス……」「起こしてしまいましたか?」 ガゼルが優しく微笑み聞くと、アピスは首を横に振った。「いえ、すみません寝ちゃって……。あっあの、初めましてアピスです」「お話は聞いておりますよ、アピスさん。私はガゼルと申します。クウォードの義理の父親みたいなものです」 丁寧に挨拶をして、お辞儀をするガゼルに、アピスも慌ててお辞儀をした。 そして、深呼吸するとクウォードを見据えた。「本当にバカよねクウォードは……」「……」「ハーフエルフ...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 10:35
「お前は、俺が好きなんだろ?」「えっあっまぁ、そうだけど……」 アピスは頬を染め、もじもじしながら答える。「俺もお前が好きだ。それにこれから離すつもりもない。だから、他の男になびかないように、結婚するんだろ?」「そっそんな他の男になびくとかないわよ!」 顔を赤くして反論するアピスに対し、クウォードは小さくため息をつき、遠くを見るような目をしていた。「人生何があるか、分からないもんだからな……」「何、じじくさいこと言ってんのよ! 私はまだ結婚なんて……」「問答無用だ。師匠の前で誓うんだ。ティル、何し...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 10:33
「本当に俺で良いのか? 後悔するなよ? ていうか、もう遅いけどな」「……」 急に一人でしゃべりまくるクウォードに、アピスは唖然としていた。「よし、こうしちゃいられない。師匠の所へ行かないと……」 そう言うなり、クウォードはアピス離したかと思えば、今度は腕を引き黙々と歩き出した。「ちょっと! どこに行くの?」 何も聞かされないまま腕を引かれ、どこかに連れて行かれるのだ。アピスが疑問に思うのも不思議ではない。「師匠の所だ」「師匠って誰よ?」「会ってみたら分かる」(答えになってないじゃん……) アピスは...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 10:32
第七話 不安な気持ち「こんの分からず屋ー!」 アピスは、クウォードに向けて、右手に握った石を力いっぱい投げた! それは、クウォードの後頭部に向けて飛んでいく!「……っ! 何するんだ、殺す気か!!」 クウォードは、石の気配を感じたのか、とっさに飛んでくる石を避けた! たまたま、クウォードの身体能力が良かったから避けれたものの、普通の人なら頭に直撃し、下手をしたら死んでいたはずだ。「やっと、こっち向いたね」 クウォードは、アピスに怒鳴るために、無意識にアピスの方を向いていた。 アピスはそのチャ...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 10:30
一瞬ぼんやりとしていたアピスは、あの決意を思い出し、急いでクウォードを追いかけた。 だが、クウォードは止まらず、振り返りもしなかった。「クウォードったら!」 アピスも諦めず呼びかける!「クウォード! ……はぁ」 クウォードの歩く早さが早いためか、アピスは早足で歩きながら呼びかけないといけないため、呼吸が荒くなっていた。 そして、それとともに、自分を無視し続けるクウォードに、頭にきていた。「そう……。意地でもこっち向かない気?」 アピスは、クウォードを追いかけるのを止め、何故かその辺の草むらを探...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 10:29
アピスはそれ聞き、「お姫様だっこ」と何回か呟きながら、顔を赤く染めていた。「アピスしゃん、たぶんクウォード様は今花畑に行ってると思うにゃ!」「えっ何?」「今クウォード様は家にいないにゃ。でも帰る前に、クウォード様に会ってから帰って欲しいにゃ……」 潤んだ瞳で、上目遣いをしながら、ティルはアピスに頼み込む。 そんな瞳で、一生懸命ティルに頼まれれば、さすがにアピスも頷くしかなくなる。「アピスしゃん、頑張って!」 ベットから立ち上がり、体を伸ばしていたアピスの背中に、ティルは投げかける。「うん。と...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 10:28
第六話 目覚め 森の中にある、木で出来た家。 その家の中のある一室のベットで、小さく寝息をたて眠るエルフの少女。 その部屋へ、青い長い髪をした青年が入ってきた。「アピス……」 青い髪の青年は、少女に優しく呼びかけるが、アピスと呼ばれた少女は目を覚まさなかった。 青年は、ベットの横に椅子を持っていき、その椅子に腰掛け、アピスを見ていた。「何でお前は、俺の傍に来るんだ?」 青年は、真剣な表情でアピスに問いかける。「何で、俺に優しくするんだ?」 だが、アピスは寝ているせいか、返事を返すことはな...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 10:26
今さっきとは打って変わって、凄く不安そうな表情で戸惑うクウォードに対し、ティルは自分がしっかりしなければと思い、アピスの様子を見た。「……だっ大丈夫ですにゃ。ただ、寝てるだけみたいですにゃ……」 クウォードは、それを聞くと安堵し、深くため息をついた。「きっと、魔力を使いすぎたんだと思いますにゃ」「そうか……」 クウォードは、小さく寝息を立てるツキノを顔を見て、少し考える。 しばらくすると、クウォードはアピスを抱きかかえ、立ち上がった。丁度、お姫様だっこのような抱え方だ。「くっクウォード様?」 ク...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 10:25
「でも何でだ? あんなに炎を吐きかけたら、森が燃えているはずなのに……」 クウォードとティルは顔を見合わせたが、すぐに鳥達が炎を吐きつけている先へと急いだ! 「ここは……」 鳥達いた場所のすぐ下は、アピスのよく来ていた、あのお花畑だった。 橙色に染まる花畑。だが燃えているわけではなかった。「アピスしゃん!」 そこには、アピスがいた。必死に魔法のバリアを張り、鳥達の炎から花達を守っていたのだ。 アピスは、ティルとクウォードに気付くと一瞬驚いた顔をしたが、すぐにまた真剣な表情をしながら、空を見上げ、...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 10:24
第五話 再開と仮面 森の中を、二本足で歩く猫と、長い髪青い髪をし、剣を持った青年が歩く。「ティル。……何で外に連れ出した?」「にゃんでって、ただ散歩したかっただけですにゃ? 最初にそう言ったですにゃ」 ティルはアピスに会った次の日の今日、クウォードを泣き落としで納得させ、森の中をお花畑に向って歩いていた。 もちろん、クウォードはお花畑に向っているなど、気付いてはいない。「……アピスしゃん、元気にしてますかにゃ?」「……知らない」 ティルは、何となくアピスの名前を出してみたが、クウォードの冷めた反...
イルシオン | 2013.05.21 Tue 10:22
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