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JUGEMテーマ:ファンタジー小説 その時、ベッドの影に一本のモップが転がっているのが目に付いた。メイドが忘れていったようだな。……おっし、次はこれ使うか。 「これ以上の茶番につき合う暇はないっ。とっととやられろ蒼穹の騎士ッ!」「やられろ言われて素直にやられるドMだと思うなよ!」 俺はちょっとズレたこと怒鳴っちゃいつつ、火のともった燭台をシュウに向かって投げつける。まばたきの刹那には燭台を切り払って突っ込んできたシュウの一撃が空(くう)を裂いたが、俺はその一撃も難なくかわし、モップ片手にシ...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.08.06 Mon 14:36
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 そろそろ色んなことがどうでもよくなってきちゃった俺は、サーベルをいそいそと抜き放ち、びっくりしている芋虫にえいっと突きつけて、なんとなく思ったことを適当に言った。 「もー、とっとと話を進めんぞ。えーとお前、レンディールさんちの娘ぇ手え出しやがってこんにゃろって逆ギレして、使用人のコルド・ライカ殺害したり、レンディール男爵家嫡男を拉致したり、したろ? したよな? どーだ身に覚えがあるだろう、ハイそーです自分がやりましたって言え!」 自分がやりましたとは言わない...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.08.03 Fri 06:52
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「何者だ!」 お決まりの台詞と同時に、すらりと抜かれたサーベルがつきつけられる。でも悪いけど俺今それどころじゃない。うわあ、なんか手ぇがかゆくなってきた〜……。 「……なあシェーダ、この手どうしたらいいと思う?」「あなたねえ……。あ、そこのあなた。お化粧室はどこかしら? この子が手をべたべたにしちゃったのよ。私も卿にお会いする前にメイク直しをしたいわ」「なんだ、二人とも女か……。しかし卿の客にしては……なんで軍服を着てるんだ?」「ちょっと待て、俺は男……」「あら。私達、互...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.08.02 Thu 08:57
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 夜。ティンクは既にすやすやと小さな寝息を立てている。……かっわぃぃなあ〜vvv なんかちっちゃな口がむにゃむにゃ動いてるし……夢の中でアルスが作った離乳食を食べる練習でもしてんのかなぁ〜。 ちなみにここはピアノが置いてある一階の応接間である。どこぞからアルスの野郎がベビーベットを借りてきてくれてからは、ティンクはこの部屋に寝かせてある。俺のベッドだとティンクが気になって俺が寝られないっつうのもあるのだが、何より俺のピアノでティンクを寝かしつけることが出来るという、...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.08.01 Wed 10:58
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「で? 彼女が、ティンクを捨てたわけじゃないんだな?」 俺の問いに、ティルラドは頷いた。 「ティンクを、探してくれと。さっきのはそういう話だったからね。……可哀相に」 「そ・か……」 孤児院には、いつか親が迎えに来ると信じて待っている、哀れな捨て子達が山といる。でも、ティンクにはちゃんと、愛してくれる母親がいるのだ。よかった……。 「さすがのランゼルークも、赤ん坊を手にかけることはできなかったみたいね。寒空に捨てたら同じだけどさ。でも、かごの中に湯たん...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.07.31 Tue 08:06
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「なにがスイーツ専門だ、男がなよなよと気色の悪い。肉を食え、肉を」 「そりゃお肉も嫌いじゃないけど、エヴィンだってお菓子食べるじゃない。現に俺の全部食べたじゃないっ!」 「根に持つな! 腹減ってたんだっ! なんなら夕飯もよこせよな、食ってやるから」 「一緒に食べたいならそう言ったら!? 人のおやつ横取りしておいてなんなのよその態度! あんたほんっと、中身は可愛くないね〜っ!」 その言い方だと外身は可愛いってことになるよなあと、コンプレックスを刺激されて少々かちん...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.07.30 Mon 07:22
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 それは長い金の髪を無造作に束ね、ぼろぼろのショールをまとった、どうにもこのパレスに似つかわしくない身なりの女性だった。 面会人って、この彼女のことか? たぶらかした昔の愛人が慰謝料求めてきたとか言うんじゃなかろうな〜と、俺がいれたてミルクティーすすりつついらん想像に耽ってみたりするところ、その女性が俺の方へしずしずと歩み寄ってきた。……ん? なにかな。 なんとなくこの身なりだと、物乞いでもされるのかと身構えてしまうが……。「どうしましたか」「いえ……お声をかけてく...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.07.27 Fri 06:34
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 俺は走らせていた指を、最後、白い鍵盤にたたきつけた。前のめりにペダルを踏み込み、飛び立たせるように指を離し、音の余韻の波紋を広げ、止める。そうして一息ついたあと、ペダルから足をのけて椅子から立ち上がれば、途端に響くは少々大仰な拍手喝采。 俺は一礼するも……あーあー囲まないでくれるかー……。 ううう、こんなこと言ってはなんだが……、……化粧臭い……。そんなにぬったくらんでもいいんじゃないか、ご婦人方……一体何を隠したいんだ……?「今宵も素敵な演奏でしたわ!」「ピ...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.07.26 Thu 06:49
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「ティンクの母親は、今頃どうしているんだろうな……」 俺は自然、そう呟いていた。なによりもそれが一番気になるところだった。「こんなちっちゃな赤ちゃんを、一人で置いてけぼりなんて。そんなことするお母さんなんていやしないわよ! これはきっと何かの陰謀だわ!」 「……そう思いたいよねえ。でもさすがのあたしも、親の心理とかはまだわかんないからね、なんとも言えないけど……エヴィンですらこんなにへろへろになってるわけだから、なよなよしい親なら、もしかしたら……」「何言ってるのよ...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.07.24 Tue 09:27
JUGEMテーマ:ファンタジー小説 「どうしてそういうことになるんだよ」 「……だって。あなた、私の前にも彼女とかいたでしょ。だから……」 シェーダがなにやらむくれている。あ〜、こういうシェーダもなんか可愛いな〜……。などとつい口元を緩めてしまった俺に対し、傍らのリエが俺の肩にぽん! と手を置いてにやり笑いつつ 、「わっかんないわよねぇ! あんたお酒に酔うと案外、前後不覚になって馬鹿なことするタイプだし〜? シェーダちゃんが初めての彼女とか言いつつ、あんた今まで何人とキスしてんのよ」 ...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.07.23 Mon 07:03
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