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お腹の辺りが震えまくっている。……シェーダが笑ってるんだな。 ……夜道で痴漢にあったり押し倒されたりプロポーズされたりすんのは日常茶飯事だからよいのだが(いやいや全くよくはないが)……さすがに妊婦に間違えられたのは初めてだよ……。 ていうか、誰が誰のエンジェルだ馬鹿野郎。あの男アタマに虫でも沸いてんのか……!! 「どうやら、心ない男に弄ばれてしまった少女と間違われたみたいだわね。あなたちいさいから、暗がりだと金髪ショートの女の子と間違えられちゃうのも、仕方ないことだわよ」 俺のお腹から出てきたシェ...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.03.11 Sun 15:39
辺りを満たすは、靄がかった一面の闇。壁に点々と続いていくたいまつの光は、まるで浮かび上がる亡霊の魂、そのひそかな揺らめきのよう。 そこは驚くほど巨大な砦だった。海に面し、外側からはただの切り立った岩山にしか見えない場所、そこがなんと、内側はすべて空洞の要塞だったのだ。 巨大な吹き抜けになっている岩壁に、螺旋状に張り巡らされた階段。もう、どれだけ降りたろう。どこまでも続く堂々巡りの、終わりのない道を進んでいるように思えてくる。この道で正しいのかどうかもわからず、既に容易に引き返すことも...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.03.11 Sun 12:50
しかし、顔を上げたシェーダは泣いてはいなかった。だが、潤んだエメラルドでぎこちなく微笑んでから、そっとこう言った。 「……私、いつもこうだわね。あなたが引っ張っていってくれるのを、いつも待っているの。ウィルシードの天才女剣士……そんな風に言われていても、私は結局、一人じゃ何もできないのよ。いいえ、何もしようとしないんだわ。それを証拠に、私の方が先に入隊していたのに、今じゃあなたの方が英雄じゃない。私、悔しくて……それなのに、あなたに頼ることをやめられなくて。でも……いつも矢面に立って、私の代わりに...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.03.10 Sat 00:44
そして数十分後。泳ぎ着いてへばっているティルラドを冷たく見下ろし、俺は憮然として言った。「んで、どーすんだ。お前が引き起こしたこの事態」「あ、……あ、あのですね……、……あ、アジトっていうか……、この辺の浜辺で拉致した人を一時的に監禁しておく場所がありまして……。うちのねーちゃんが、リエちゃんがいなくなったって騒いでた辺りで、ああ、やっちゃった〜、と思って……まあしょうがないからそれをずっと捜してたんだけど……先ほど見つけまして、はい……ああ、俺そんなに泳ぎ得意じゃないのに……っっ……」「ああやっちゃった...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.03.09 Fri 06:22
斜陽は熱く、海は燃えていた。傾いた太陽からより強く降り注ぐ光を受け止め、はね返す海原。彼方まで続く広大な海が、いまや巨大な光源になっていた。そのぎらつく逆光を浴びてひとつの影になったティルラドは、月の瞳を冷たく輝かせながら口を開いた。 「この海の彼方、遠く何千里も離れた幻の大陸。……そこにあるのがサヴァン・ドゥルー。通称辺境帝国。かの地の文化には奴隷が必要不可欠、かつ重要なんだ。それを得るための人身売買組織は今でも数多く活動してるし、中央大陸にも秘かに進出してきている事実がある」「ええ、軍の...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.03.09 Fri 05:39
「そんな、わざわざだなんて。私、昔から気にかけていたのよ。初めてあった頃は、あなたはまだ体が弱かったでしょう?」 えーと、確か十三かなんかの時だよな。シェーダと初めて会ったのは。確かにあのころは俺、まだ少しイマイチだったかもなあ。「昔の話じゃないか。今はもう平気なんだぞ? 軍人として立派に勤めてんだから。体力あるだろ、俺」「ええ、そうだれど。でも色々と、あなたのこと気になるのよ」「なんで?」 俺はごく、何気なく聞いた。 それだけだった。 でも、シェーダが面食らったようなので、おやと思った。「...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.03.06 Tue 20:32
岩場の日陰に入ると、潮風は少し冷たかった。 波音はわずかに遠くなり、代わりに大きくなったのは蝉の声。地を焦がす夏の日差しをそのまま象徴するようなその声は、熱さにだれた体をより一層気怠くさせる。 しっかし、みーんみーんだの、じいぃぃーだのいうのはいいんだが、あの、つくつくほーしとかいう蝉の鳴き声はなんとかならんものか。いや、あれってば、最後のほう(?)になると、「おいしーよおいしーよ、じぃぃ」って言うじゃないか。一体何がおいしいのか、聞いてると気が抜けるんだよなー。 「もう、三時間は経っ...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.03.06 Tue 19:49
が。そこで、 「ちょっとどきな! あんたたち、じゃまだよ!」 という威勢のいい怒鳴り声が響き、女の子達のきゃあきゃあ声がひときわ高まった。何だと思い、振り返ろうとする俺だったが……。 「あんたも邪魔だよ!」 べちん! と、顔面に平手を食らってしまった。 「セルティじゃねえか。どうしたんだ? そんなに血相変えて」 しかし特に驚くでもないアルスの声に、俺は涙目をこすりこすり、乱入者の姿を確かめる。確かに、この黒髪に長身は、姉御肌のセルティだが……。しかし、もーちょっとおしとやかにならんもんか?...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.03.05 Mon 09:31
いきなりとんだ憂き目にあってしまったが、それからの一時は言葉に言い尽くせないくらいに楽しいものになった。 エメラルドの宝石みたいに輝く海に、ゆるやかにわきたつ波の気持ちいいこと! 俺も日焼けなんか気にしてる場合じゃなくなって、童心にかえって遊びまくった。え、何したかって? まあ、泳いだり、水かけっこしたり、それが追いかけっこに発展したりとかな? 波打ち際で憧れの彼女とそんなんしちゃってまあ、古来よりの憧れロマンスの典型だけれども、海ってそーいう遊びにナチュラルに燃えられるもんなんだな〜。...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.03.04 Sun 19:04
「……って、ところでなんなんだい? その、カーテンにくるまってサングラスかけてる、ちっさいかたまりは……」 と、いきなりセルティが絶句するが。 ちっさいかたまりって……、俺のことかい……。 「やっだー! ちっさいってことはもしかしてエヴィン? あ、やっぱり! てゆうかその格好って何のギャグ? あんたって真剣に馬鹿なことばっかりするから、とりあえずいるだけで笑えるわよね〜!」 きゃいきゃいしたこれは、リエであるが……。 なんか今のリエの台詞で妙〜に心が傷つき果てるカンジがするんは気のせいだろうか。 「……...
三日月の聖書〜景澤 晶の創作思考 | 2012.03.04 Sun 09:54
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