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JUGEMテーマ:自作小説 これは王冠だな、と思った。何の根拠もなくそう思った。いやそうじゃない、私にはそう見えたのだ。いや見えたわけじゃない。私に全体像が見えていたわけではないから。けれど、私は確かに感じたのだ。この場の多くのピースが、王冠を構築しているのではないかと。このアダムスキー型の屋根を持つ、その内部に厨房を持つこのパーラーを中心として、飛び交う黄金のアバクスをジュエルのような装飾として。それは電子の雲のような装飾で。そしてさらにその外側に群がる人形たちをも装飾として、...
pale asymmetry | 2020.05.04 Mon 22:32
JUGEMテーマ:自作小説 ケルベロスとウロボロスは全然違う。両者がショーケースに並べられていたとして、その光景に平衡感覚を失うほどの違和感を感じるかといえば、それほどでもないけれど。旋律の波打が同じ感じだから。それに記号の極表層の揺らぎも。それでも違うものは違う。ケルベロスは拡散で、ウロボロスは円だ。ケルベロスは三で基底で、ウロボロスはゼロで無限だ。ケルベロスは死に隣接し、ウロボロスは生と死をぴったりと重ね合わせている。ケルベロスはいつ観測しても死だけど、ウロボロスは観測者によ...
pale asymmetry | 2020.04.29 Wed 22:55
JUGEMテーマ:自作小説 ハンプティ・ダンプティはエンプティだ。その内部には虚無があるだけだ。ハンプティ・ダンプティの自我はその殻にあるのであって、殻の内側にあるわけではないからだ。殻そのものと、殻の表層に描かれた紋様が、ハンプティ・ダンプティのキャラクターを構築しているのだ。殻が粉々に砕かれれば、ハンプティ・ダンプティのキャラクターが失われてしまうだけではなく、殻に閉じ込められていた虚無が解放され、世界も失われてしまうだろう。とそんなことを、私は考えていた。敬礼するハンプティ...
pale asymmetry | 2020.04.24 Fri 22:04
JUGEMテーマ:自作小説 勾玉だ、と思った。タツノオトシゴかもしれない、とも思った。胎児かな、と考えたりもした。もし胎児だとしたら、それは恐竜の胎児かもしれない。そんな気もした。いやそれならば恐竜ではなく恐竜によく似た生命体と言うべきだろう。胎児なのだから。そしてそれは選ばれた胎児だ。頭に冠を戴いていたから。まばゆく煌めく王冠、まばゆすぎて色彩を感じ取れない光冠だった。その光冠は銀河を結晶化したもののようだった。一体何者に、何者たちに選ばれたのだろう。それともその胎児自体が選ん...
pale asymmetry | 2020.04.21 Tue 22:04
JUGEMテーマ:自作小説 ある記憶の物語 「君待ち橋の約束」 僕の住む町には、「君待ち橋」という名前の橋がある。 名前の由来は知らない。一見なんてことない、簡素な橋だ。 橋の下を流れる川の水も適度に汚い。 時々、鴨やら白鳥やらが、泳いでいるのを見かけるが、 僕は、その度に申し訳ない気分になる。 勝手に人間の都合で川を汚し、豊かであるはずの自然を破壊し、 ほかの生き物たちに迷惑をかけているにもかかわらず、 彼らは、そのことを恨みもせず、不思...
君待橋の約束 | 2020.04.20 Mon 13:50
JUGEMテーマ:自作小説 生命体の死は熱力学第二法則により不可避だ。エナジーの立ち居振る舞いと、その品格に関する法則によって。しかしこの法則は、どの辺りのエリアまで、どの辺りのスケールまでを守備範囲としているのだろうか。例えばこの惑星。もちろんそれはカバーしているだろう。例えば私の世界全体。それもカバーしているだろう。私が知っている宇宙はどうだろう。私が知る範囲ではカバーしていると思う。では私ではない誰かの世界。あるいはその誰かが知る宇宙ならどうだろう。こうなるともう怪しくなっ...
pale asymmetry | 2020.04.19 Sun 22:20
JUGEMテーマ:自作小説 風は色彩を持たない。光が風を彩色しているだけだ。風景とはのその文字が示すとおり風のありさまだから、目に見える世界は風が撫で回しているから色を持つのだろう。時間が止まれば世界は闇だ。というか世界は色を失う。その色には透明も含まれる。それはそうだ。時間が止まれば風が動きを止めるから、何も撫で回せなくなるし、光がつまり光子が動きを止めるから風が彩色されることもない。世界が目に見える状態を維持するためには、風と光は必須のリソースだ。しかし彼らが世界を形作ってい...
pale asymmetry | 2020.04.16 Thu 21:38
JUGEMテーマ:自作小説 境界なんてだいたい斑だ。つまり境界線なんて存在しない。そこは奔放に滲みが広がるエリアで、自分が二つのフィールドのどちら側にいるのかなんて解らないものだろう。あるいはどちら側にもいると言えるだろう。どちら側にもいないと言うことは難しいだろう。私が生命体として利己的である限り。というようなことを、私はバス停のやたらと長くやたらと硬いベンチシートにだらしなく腰掛けて考えたりしていた。バスを待っていたわけではない。というか、待っていても当分の間バスは来ない。こ...
pale asymmetry | 2020.04.15 Wed 22:26
JUGEMテーマ:自作小説 生命は宇宙から飛来したのだそうだ。でも飛来したのは多分短いコードに過ぎないだろう。それは生命と言うよりは生命の種子だろう。それが自身を複雑化してインフォメーションに変貌したのだ。それが進化だったのかどうかは疑問だと思う、私は。インフォメーションに、生命の種子から生命体に移ろいだことによって、コードの頃に確かに有していたはずの自由、変幻自在の自由を失ってしまったように思えてならないからだ。いや絶対に失っている。私たちは不自由だ。不自由すぎる。ゆるやかに空...
pale asymmetry | 2020.04.14 Tue 22:16
JUGEMテーマ:自作小説 最強の世界には、最強の敵が必要だ。あるいは最狂の世界には、最恐の敵が必要だ。こういう合わせ鏡は無限を生み出すことにしかならないから、結局途方に暮れることになる。それはそれで、ときには愉しく感じることもあるのだけれど、私の時間は有限だからいつもいつも合わせ鏡で悪魔を取り出すわけにも行かない。つまり私はそこまで退屈してはいないということ。目まぐるしく忙しい日々を過ごしているわけではないけれど、例えば今日や明日に実行するべきだろうと思われる事象はいくつもある...
pale asymmetry | 2020.04.13 Mon 22:27
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