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JUGEMテーマ:自作小説 「高木様ならもうチェックアウトされましたが。」 お姉さんが泊まっている旅館、訪ねてみるとフロントでそう言われた。 「いつですか!」 由香里君が身を乗り出す。 女将さんは「ええっと・・・」と上目遣いに記憶を探った。 「たしか昨日の夜だったと思います。」 「何時頃ですか?」 「かなり遅い時間でしたねえ。たしか12時を回ったくらいに。」 「そんな夜中に・・・。」 「本当は明日の朝までのご予約だったんですけど、お連れの方が迎えに来られたようで。」 「連れ?」 由香里君が俺...
SANNI YAKAOO | 2020.07.30 Thu 12:32
JUGEMテーマ:自作小説 物事を隠し通すのは難しい。 「浮気したでしょ?」と問い詰められ、最後までシラを切り通せる男がどれだけいるだろう。 理屈を並べるだけならどうにかなるかもしれないが、吹き出す冷や汗と泳ぐ視線だけはどうしようもない。 今、俺は取り調べを受けている。 旅館の部屋、向かいに座る女から尋問をされている。 ただし浮気の尋問ではない。 ないのだが、もしこれが浮気だったとしても、やはり俺はシラを通しきる事は出来ないだろう。 「久能さん。」 由香里君が静かな声で呼ぶ。 「答えるまで何...
SANNI YAKAOO | 2020.07.26 Sun 11:36
JUGEMテーマ:自作小説 朝風呂ってのは気持ちいいもんだ。 野天の湯船に肩まで浸かり、そよ風に揺れる緑を眺める。 これで酒と美女でもいれば言うことなしだが、あいにく酒の持ち込みは禁止だし、この旅館に混浴はない。 まあいい。こうやってゆっくり湯を楽しむのも悪くない。 時刻はまだ午前5時。 夏の夜明けは早いが、さすがにこの時間に風呂に入っているのは俺だけのようである。 なんにも気にせずに手足を伸ばし、「ああ〜・・・」とオッサン丸出しの声を出してしまった。 昨日、お姉さんから聞いた話はグルグルと...
SANNI YAKAOO | 2020.07.23 Thu 14:19
『BLAZE』、『BLAZE 2』に続く新作を発表する予定だったが、JUGEM側から“記事の内容に投稿禁止ワードが含まれているため投稿できません。”という表示がなされ、投稿できなかった。表現の自由を著しく侵害する対応が残念でならない。JUGEMは俺の描く作品の理解者であってほしいのだ。今回の新作を楽しみにしていた者たちも多いと聞く。運営側は迅速にこの問題を解消するべきである。
スサノオ御殿 | 2020.07.21 Tue 20:48
JUGEMテーマ:自作小説 目の前の湯呑をじっと見るめる。 もう少しで茶柱が立ちそうなのだが、微妙に斜めになったまま沈んでいく。 ズズっと一口すすり、部屋の中を見渡した。 「最近は国民宿舎ってのも立派なもんですね。」 旅館とそう変わらないレベルの部屋に感心してしまう。 窓の外ではまだ花火が上がっていて、遠くから低い音が鳴り響いている。 テーブルの向かいに座るお姉さんは「料金も安いしお得よ」と、茶柱の立ったお茶を飲んでいる。 「俺が学生の頃はいかにも安宿ってイメージだったんですけどね。」 「そ...
SANNI YAKAOO | 2020.07.20 Mon 13:04
JUGEMテーマ:自作小説 夏といえば花火だろう。 夜空を彩る大輪は人々の胸を弾ませてくれる。 鮮やかな花たちが次々に咲き乱れ、特大の柳が三連続で上がった時は歓声が沸いた。 由香里君も「すご〜い!」と手を叩く。 「綺麗ですねえ!」 「ああ、なかなか大したもんだ。」 また夜空に花が咲く。 ずっと沈んでいた由香里君の表情が明るくなるのは嬉しいことだ。 《ちょうど今日が花火大会で助かった。》 お風呂で正拳突きを食らった後、怒る由香里君をどうやってこの街に引き止めようか悩んだ。 『今すぐ帰ります!残...
SANNI YAKAOO | 2020.07.16 Thu 12:23
JUGEMテーマ:自作小説 ダンゴムシはコンクリートを食べるという。 俺は手の平にダンゴムシを乗せ、コンクリートの欠片を近づけてみた。 しかしまったく食べる様子はない。 試しに雨に濡らしてみた。 多少はふやけるかなと思ったのだが、そんなわけもなかった。 「由香里君、なかなか食べてくれないよ。」 旅館の部屋、窓から手を伸ばし、夕立に濡れた指先を弾く。 彼女は縁側の椅子に背中を預け、ただひたすら雨を眺めているだけだった。 俺はダンゴムシを窓の近くの草に逃がしてから、「こりゃしばらくやみそうにない...
SANNI YAKAOO | 2020.07.14 Tue 14:20
JUGEMテーマ:自作小説 世の中にはモテる男とモテない男がいて、俺はどっちかと聞かれたら前者を望む。 そう、望むのだ。 望むってことはつまりモテないわけで、爽やかな笑顔で笑いかけても、美女の集団から返ってくるのは冷笑である。 「世の中ってのは不公平だなあ。」 由香里君と二人、瀬戸内の海が見える海岸を歩きながら、まだクスクスと笑っている女たちの背中を見送る。 俺は手にした一枚の写真を見つめ、「さすがは由香里君のママ、美人だ」と呟いた。 「そして俺はこの人に膝枕をしてもらっていた。今思えば・・...
SANNI YAKAOO | 2020.07.12 Sun 14:23
JUGEMテーマ:自作小説 ああ、膝枕ってのはなんでこんなに気持ちいいんだろう。 若い美女の太ももが柔らかく頭を包んでくれる。 この心地よさに比べたら低反発枕さえもダイヤモンドの硬度と変わらない。 温かく、柔らかく、そして心を落ち着かせる安心感。 世の中にマザコンじゃない男はいないというが、なるほど・・・それは当たっているかもしれない。 この心地よさと安心感は母の胸に抱かれていた子供時代を彷彿とさせるものだ。 男ってやつは大きな母性の前だといつでも子供に戻ってしまう。 ああ・・・懐かしい子供...
SANNI YAKAOO | 2020.07.09 Thu 14:05
JUGEMテーマ:自作小説 古くからの言い伝えには意味がある。 迷信もあるだろう。 昔の人の想像力も、現代となっては単なる妄想に成り下がって、口にしたら笑われることもある。 でもそれは全てじゃない。 俺は信じている。いや、信じなきゃいけない。 地元にあるこんな言い伝えを聞いた。 夏の朝、雨上がりで前も見えないほどの朝靄が出る時、ある場所へ行くと願いが叶うという。 川沿いの細い道路、赤い橋の袂にお地蔵さんがいる。 普段はなんの変哲もない地蔵だ。 しかし夏になると地蔵の魂が現世にやって来て、生...
SANNI YAKAOO | 2020.07.06 Mon 14:35
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