[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]
◇◇◇ ◇◇◇ サマーバケーションの時期がやっと終わり、ティールームは少しだけ落ち着いてきた。だから真理江夫人から秋の練り切りを注文されても、「ああ、今日なら別に時間があるから良かった」と思っただけだった。 だが、お客様が少なくなった途端に「配達はポーターにさせるから、ヒースはジャパニーズケイクの準備だけしてくれ」と言われても、何故それを今!?と思うのは仕方ないだろう。 「それなら、もっと忙しい時期にそうさせてくれれば良かったのに……」 思わず久義が呟くと、...
真昼の月 | 2023.03.25 Sat 22:20
◇◇◇ ◇◇◇ 結局、久義はウィリアムをローズウッド城の最寄り駅ではなく、フィッツガードとは反対側の、少し離れた駅まで送っていくことにした。ローズウッド城の最寄り駅と言っても城からは車で二十分程かかるが、それでも地元の街には久義の顔馴染みも多くいる。見るからに貴族階級の男と二人で食事などしていれば、どんな噂を立てられるか分かったものではない。 車で街道を走りながら、目についた小さなパブに入る。そこに見知った顔はなくて、久義は小さく安堵の息をついた。 「酒を提供する店だが、...
真昼の月 | 2023.03.18 Sat 22:04
◇◇◇ ◇◇◇ 「陶器の商用で」と言われたせいか、クラリスは就業後の久義をボーディングルーム(応接室)に案内した。中にはウィリアムとテオドアが既に座って待っている。さすがに久義も一瞬体を硬くしてしまった。そんな久義の様子を見て、ウィリアムがテオドアに向かってよそ行きの笑顔を向ける。 「テオドア。ここから先は、私が対応する。君は席を外してくれないか」 「何故だ?私から言った方が、早く用件が済むだろう」 そのテオドアの台詞に、ウィリアムは眉を顰めた。 「父親の形見を力尽...
真昼の月 | 2023.03.12 Sun 17:57
「おい、夫人には伯爵がガツンと言ったんじゃなかったのか?」 「そ……そうだけど……その時のは子爵、いらっしゃらなかったからなぁ……」 シェフパティシエのウッディがそれを聞くと、むっと顔を顰めた。 「断れ」 「でも……」 「でももヘッタクレもねぇ。お前を見下してやがるんだよ。陶器って、お前の親父さんの形見だろう?そんなもん、他人にくれてやる訳ねぇだろうが!」 ウッディの怒りはもっともだが、久義の困ったような顔にきづいたジェフリーが、「&...
真昼の月 | 2023.03.04 Sat 22:22
「ごめんなさいね、久義さん。私、少し舞い上がっていたみたい。でも、本当に考えておいてね。きっとあなたのキャリアの無駄にはならないから!」 「……いえ」 それでも、久義はもちろん、バーマストン伯爵も、謳子も、真理江夫人に迎合するような台詞を言わなかった。真理江夫人はそれが不満なようだったが、久義を真理江夫人の好き勝手に扱っても良いと思われては困るのだ。 「でも、またお茶菓子をお願いする位は良いでしょう?」 真理江は久義に向かってそうおねだりをするが、それに返事をしたのは久...
真昼の月 | 2023.02.25 Sat 23:18
すいません、先週は1日遅れの日曜22時に更新致しました💦 先週の分を読まれていない方は、『金魚の恋 28』からお読みいただけるようお願い致します!! イヌ吉拝 ◇◇◇ ◇◇◇ ウィリアムが次に久義と会ったのは、ロンドンに来てから半月後、フィッツガード伯爵家一家でまたバーマストンに遊びに来た時のことだ。いつものように伯爵と真理江夫人、海翔はバーマストン伯爵達とサロンで、ウィリアムとテオドアはビリヤードルームで時間を過ごしている。 「今日...
真昼の月 | 2023.02.19 Sun 02:05
◇◇◇ ◇◇◇ 目が醒めて、今自分がどこにいるのか一瞬分からなかった。母に与えられた本館のベッド────子供の頃は久義もそこで寝起きしていた────なのか、日本の祖父の家の、畳に敷かれた布団なのか……でも、ここはバーマストンの使用人棟の、自分のベッドの上だ。 「……何か、懐かしいな……。そんな事もあったっけ……」 それまでも、小さな事で「あれ?」と思うことはあった。だが、面と向かって自分がアジア人として差別されていると思い知らされたのは、...
真昼の月 | 2023.02.12 Sun 22:41
裕幸『戦争じゃ!戦争じゃ!忘れられるのかよ?俺のチンポ。期待しちゃったかー?シャブ漬けのヤリマン淫女。気が狂ってるお前はイカれて嘔吐をしまくる夜のパンパンだぜ!』 稲葉『(土下座)わ、私の負けよ!どうもすいませんでしたー!』 裕幸『地獄のデブ。諦めてお前は俺に負けて屈辱感と敗北感に沈むだけさ。無双で全滅!』 稲葉『イジメられて壊れちゃうの!吐かされちゃったよ!!悪魔様ー!うひゃアァァ!(放屁)』 裕幸『(稲葉にジャックハマー)』 稲葉『へぷひ!』 裕幸『お前はシャブ漬けマンカスで地獄落ちが確...
天才・裕幸のブログ | 2023.02.06 Mon 09:35
そうか。そうなんだ。 別に、彼女たちが言うようにひとりぼっちだったことなんか無い。友達もたくさんいるし、彼らとはいつもたわいもない話をしたり、悪ふざけをしたり、サッカーの試合を見に行ったり、家に呼ばれてお泊まりをした事もある。自分が彼らから人種差別をされているのだと思ったことは、今の今までなかったのだ。 ────でも、皆心の中ではあんな風に思ってたんだ────。 ここは田舎で、ここで暮らす人達は、500年前から変わらずそこに住んでいる人達ばかり。スコットランド人やウェールズ人でさえよ...
真昼の月 | 2023.02.04 Sat 22:23
この文章の中には、人種差別に関する記載があります。 皆様を不快にさせる意図はありませんが、 辛い方は3話ほど飛ばして下さい。 また、※『』内の台詞は日本語となっておりますのでご了承下さい。 イヌ吉拝 ◇◇◇ ◇◇◇ 久し振りに夢を見た。セカンダリースクール(※)の頃の夢だ。 久義は物心つく前に母と共に渡英し、ローズウッド城で暮らしていた。 当たり前のように、母は伯爵の元で仕事をし、当たり前のようにイギリス人の中で暮らしていた久義は、自分が周りの人達と...
真昼の月 | 2023.01.28 Sat 22:13
全1000件中 91 - 100 件表示 (10/100 ページ)