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「そろそろカフェに移動しようか。ランチもスイーツも充実しているカフェを友人に勧められてね?」 ウィリアムはあらかじめリサーチしてくれていたようで、すぐにブラックキャブ───ロンドン名物のタクシーである───を止めて、店の名前を告げた。 「モダンブリティッシュの店で、アジアを始め、諸外国の要素を取り入れている店なんだけど、どうかな。日本の食材も使っているらしい」 モダンブリティッシュでは、多国籍都市であるロンドンの強みを活かし、様々な国や地域の食材や技法をイギリスの伝統料理に取り入れてい...
真昼の月 | 2022.12.31 Sat 22:09
◇◇◇ ◇◇◇ 電車からホームに降りて辺りを見回す。ガラス張りの高い天井。バーマストンのような田舎ではお目にかかることのない景色だ。久し振りのロンドンの空気を胸いっぱいに入れていると、長身の男性が手を挙げているのが見えた。ウィリアムだ。久義に気づいてこちらに歩いてくる。 「お待たせしましたか?」 「いいや。それより、休日に敬語はやめよう。今日は、先日のお詫びも兼ねているんだから、君が私に気を遣ったらしょうがないだろう?」 「それはもう気にしないでくださ…&hell...
真昼の月 | 2022.12.24 Sat 22:31
◇◇◇ ◇◇◇ 仕事が終わって、自室で軽く夕飯を食べてから、久義はウィリアムにもう一度メールを送った。仕事時間、自由になる時間を書き記し、繁忙期と閑散期の予定も記しておく。繁忙期なら、お休みは週に一度。閑散期なら週に二度。閑散期である冬の間にバカンスを取り、日本に修行に行くことも書いておく。 メールを送ると、すぐに返信が来た。 『それなら、今日のお詫びを兼ねて、今度の休日はロンドンに招待させてくれないか?最新のスイーツ事情に、興味は無い?』 「うぅう……最新のスイ...
真昼の月 | 2022.12.17 Sat 23:20
「もう行って良い」 「畏まりました」 久義は器を一つ一つ、丁寧に和紙に包み、行李の中に詰めていった。 何度もそうしているのだろう。どこに何を入れるのか、その順番まで決められているようで、美しい所作で片付けていく。 「それでは、これで失礼いたします」 久義は小さくお辞儀をすると、行李を手にして部屋を出た。 行きとは全く違う気持ちで、使用人棟までの道を歩いて行く。 そうして本館を出てしばらくすると、ズボンのポケットに入れていた携帯がバイブした。部屋に戻ってから確認すると、それは...
真昼の月 | 2022.12.10 Sat 22:56
先週の更新は、土曜日ではなく、日曜日にさせて貰いました💦 もし前回の更新をお読みでない方がいらしたら、「金魚の恋 17」を先にご覧下さると嬉しいです。 イヌ吉拝 ----------------------------------------- 「すごいな……」 平皿や銘々皿などには金魚が絵つけられ、小丼や小鉢の底には、立体の金魚がガラスの中に閉じ込められていた。 「これが先日食べたKINGYOの原型か」 「はい。砕いたガラスを底に敷いて窯に入...
真昼の月 | 2022.12.03 Sat 23:28
皆様、コメントありがとうございます。 お礼が送れていて、大変申し訳ありません💦💦 お返事はコメントをいただいた順に書いております。 先に書いていただいた方のリコメが下になっておりますので、もし自分へのレスがないな、と思われたら、下の方をググッとスクロールしていただけると嬉しいです。 イヌ吉拝 07:30:はるりん様 コメントありがとうございます!! そ、そうだったんですね!?はるりん様だったのですね!??!? いつもありがとうござい...
真昼の月 | 2022.11.30 Wed 19:22
◇◇◇ ◇◇◇ 「金魚のティーセットですか?畏まりました。すぐにお持ちします」 やれやれと思いながら、ヒースは仕方なく頭を下げた。 ウィリアムになら、言ってくれれば休日に見せることもできるのに。なんでわざわざ勤務中に呼びに来るんだ。 ……なんだかんだ言っても、やっぱりあの人は貴族のお坊ちゃまなんだな。そりゃそうか。テオドア様のご学友なんだし。人が自分の為に動くのが当然なんだろう。 こないだは、ウィリアムと親しくなったと思っていた。ロンドンで暮らすしがない...
真昼の月 | 2022.11.27 Sun 22:56
◇◇◇ ◇◇◇ 「は!?またヒースを呼び出し!?」 申し訳なさそうに久義を呼びに来たメイドに、光留もシェフパティシエのウッディもすぐに牙を剥いた。 「若様達はヒースを何だと思ってるんだ!奴らの玩具になる為にここに居る訳じゃないんだぞ!」 支配人のニコラスまで怒りまくっているが、逆に怒られて憤慨したのか、さっきまで申し訳なさそうにしていたメイドも強気に出始めた。 「そうは言ってもお給料を払っているのは伯爵家ですよ!良いから早く来て下さい!」 連れて行かなければ自分がとばっちりを...
真昼の月 | 2022.11.19 Sat 23:16
「ほら、車も小さい訳だし、あんまり私をテオドアのような貴族とは一緒にしないでくれよ?」 「車の大きさは関係ないじゃないですか」 「じゃあ、イタ車※に乗ってる私のことは、テオドアと同じように思わないで?」 ウィリアムがテオドアの貴族趣味をからかうと、久義も思わず笑ってしまった。 「くく、ウィルって……本当に思っていた人とは違いますね」 「そう?君の目に私はどういう風に写っていたのか、怖いね」 「そりゃ、いつも顰めっ面で、テオドア様より怖い方だと思っていました」 「ヒースを怯え...
真昼の月 | 2022.11.12 Sat 22:20
「本当にもう帰ります!俺、仕事を残してきてるんです!」 「しょうがないな」 残念そうに溜息をついたウィリアムは、それでも腕の囲みを解こうとしない。 「じゃあ、ウィルって呼べたら帰してあげよう」 「……!」 思わずギッと睨んでしまったが、それでもウィリアムはニヤニヤと笑っている。これはダメだ。ダメな奴だ。くそ!! 「分かった、ウィル!これで良いんだろ!?」 「よくできました」 そう言うなり、ウィリアムはパッと両手を壁から離して、肩の脇でばんざいのポーズをした。 ...
真昼の月 | 2022.11.05 Sat 16:51
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