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気がつくと、そこは辺り一面真っ白い空間だった。ふわふわして、なんだか天国みたいだ……と思ったとき、設楽は今自分が夢を見ているのだと気づいた。 そっか。夢か。 真っ白くて、ふわふわで、暖かくて、何だか幸せな場所だ。 「……って、あれ?え?ちょっと待って?……やべ。俺、もしかして死んだ!?ひょっとして、ここ、天国とか言う!?」 焦って辺りを見回したが、天国の扉のような物も、天使とか神様とか他の死んだ人とかも見当たらない。全く一人だ。 「嘘だろ&...
真昼の月 | 2023.08.01 Tue 22:01
皆様、いつも「真昼の月」に遊びに来てくださってありがとうございます! 10周年です!とうとう開設10周年を迎えました!! こんなに長い間、「真昼の月」を応援してくださりありがとうございます!! 昨年は時間が無くて開設ページにお礼イラストとか小説とか書けなかったので、本当に申し訳ありませんでした!! 今年は!今年はお話ありますのでよろしければぜひご覧下さいませ!! ということで、10周年お礼小説はこちらになります! >>>Happy 10'th Anniversary〜...
真昼の月 | 2023.08.01 Tue 22:01
目の前が赤くなるほど血が煮え滾っている。目の前のこの男は、友人の名誉と父の名誉を秤にかけて、父の名誉を踏みにじったのだ。 久義がテオドアを睨みつけると、テオドアは「何だその目は!!」と怒鳴りつけた。 「だいたいウィリアムもウィリアムだ!父親が東洋人などを後添いにしたことをあれほど憤慨していたのに、自分までお前なんかにうつつを抜かして!これだから────」 その後の言葉はさすがに飲み込んだようだ。それがいかに侮蔑的な言葉であったのか、推して計るべきだろう。テオドアはハッと正気に戻った...
真昼の月 | 2023.07.30 Sun 00:00
「お言葉ですが、金魚のティーセットは父の形見であり、完全に私の私物です」 久義が反論することは分かっていただろうに、テオドアは不愉快そうに目だけを上に向け、久義を睨みつけた。 「だからどうした。私が売れと言っているのだ」 「っ!」 その鋭い瞳に、いつもの久義なら一も二もなく「諾」と答えただろう。テオドアはバーマストン伯爵家の跡取りであり、正当な血を引く貴族である。幼い頃からこの城の中で育ってきた久義には、バーマストン伯爵家の人間の言葉に逆らうという概念がなかった。 だが。 ...
真昼の月 | 2023.07.22 Sat 22:23
◇◇◇ ◇◇◇ そこからどうやって帰ってきたのかよく覚えていない。まぁ無事に帰ってきたのだから、おかしな運転はしなかったのだろう。 車を駐車場に停め、久義は報告の為に本館に顔を出した。玄関ホールを入ってすぐに執事のトーマスが現れる。久義を待っていたようだ。 「トーマスさん、遅くまですいません。ラッセル子爵を無事フィッツガード城にお送りしてきました」 「ご苦労様です、ヒース。ちゃんと残業としてつけておきますからね」 昔は奉公人は二十四時間勤務だったが、今は時代が違うの...
真昼の月 | 2023.07.15 Sat 18:58
◇◇◇ ◇◇◇ ウィリアムを降ろし、彼の姿が見えなくなるまで走ると、久義はノロノロと車を路肩に停めて、ハンドルに覆い被さるようにして溜息をついた。 どうして、こんなに息が苦しいんだろう。 ウィルが自分を思いやってくれる気持ちが痛くて、辛くて、どうしてこんなに泣きたくなるんだろう。 ウィルが言うように、ローズウッド城を出て……そんな事を考えた事もあった。だが、それはすぐに心の奥深い所に沈んでいった。 ローズウッド城を出て、どうする?ウィルのそばに行く?ロン...
真昼の月 | 2023.07.08 Sat 22:10
「ヒース!」 だが、勢い込んで言おうとした台詞は、そのまま口を出ることはなかった。 久義の固く結ばれた唇。穏やかに凪いでいると思った瞳は、今は何かを堪えるように僅かに揺れていた。 そうだ。ヒースも、何かを耐えている。彼だって、辛いのだ。 「ヒース……。君は、私と一緒にいるのは辛い……?」 ウィリアムの声は震えていた。それに応える久義の声も。 「……そうだね。少し、辛いよ……。ウィルは、金魚の話ができれる友人を、他で探せば良い。...
真昼の月 | 2023.07.02 Sun 00:18
ぐるぐると考え込んでいるウィリアムをどう思ったのか、久義は前を見つめながら、残酷な言葉を口にした。 「……金魚の陶器が欲しいのでしょう?」 陶器よりも硬く、冷たい声だった。いつもの久義の声とはあんまりにも違うから、最初、彼の言葉の放った意味を捕らえることが出来なかった。 ……なに?今、ヒースはなんと言った……? 金魚の陶器?金魚の陶器だって?金魚の陶器!そんな物を、今更……!! 「そんなつもりが無いことは、君だって分...
真昼の月 | 2023.06.24 Sat 22:17
「……分かった。他でもない、ゲストの望みなのだからな。誰か、ヒースを呼んできてくれ」 それがあくまでも自分の意思であるかのように、テオドアは重々しく周りの使用人達に指示を出した。 周りで様子を伺っていたメイドの一人がすぐに一礼して部屋から出て行く。久義を呼びに行ったのだろう。彼が来るまでの間、二人は言葉もなく、ただテオドアはウィリアムを睨みつけ、ウィリアムは感情の見えない微笑みを唇に刻みつけていた。 どれだけそうしていたのか。 「テオドア様、ヒースをお連れしました」 ...
真昼の月 | 2023.06.17 Sat 23:21
◇◇◇ ◇◇◇ 結局三回スヌーカーをプレイして、二対一でウィリアムが勝利した。テオドアに言わせれば、ビリヤードは背も高く、手足も長いウィリアムが有利だ、という事になるのだが、真相は明らかではない。 勝敗が思い通りにならなかったせいか、……それとも、話の内容が思い通りにならなかったせいか、テオドアの機嫌はとても良いとは言えなかった。だが、ウィリアムにそれを気にする様子はない。 「ずいぶん遅くなってしまったが、マウリッツは良い子にしているかな?」 そうメイドに笑いなが...
真昼の月 | 2023.06.10 Sat 22:08
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