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「分かってるのよ。ちゃんと分かってる。パパがお兄さんを好きになることだって、ずっと前から分かってたの。だって、パパはお兄さんと一緒にいる時だけ、どうしたら良いのか分からないって顔をしてたもの。私のことを見てなきゃいけない。私のことを一番に考えてなきゃいけない。でも、お兄さんに目が行っちゃうし、お兄さんのことを考えちゃう。だからパパはいつも、どうしたら良いのか分からなくて困ってた。……分かってるんだよ。分かってるの」 しばらく、寧音は大成の胸の中でグッと何かを堪えるよ...
真昼の月 | 2022.03.05 Sat 23:47
大雅は奏の手の上に自分の手を重ねて寧音を見つめた。真摯な瞳だった。反射的に何か言い返そうとしたが……寧音は、その言葉をすぐに飲み込んだ。その代わりに口から出て来たのは、ひどく切ない涙声だった。 「……私のパパなの……。ずっと、ずっと、私だけのパパだったの。パパには私だけだった。だから……だから、パパが一番好きになった人で、パパを一番好きになってくれた人にしか、パパはあげられない……」 涙と共にそう呟く寧...
真昼の月 | 2022.03.04 Fri 22:35
◇◇◇ ◇◇◇ 「パ、パパっ!?」 レストランに入り、奏の顔を見るなり、寧音がおかしな顔をして小さく叫んだ。 「ん?おはよう、寧音。よく眠れた?」 「ええ、おかげさまでぐっすり……そうじゃなくて!!」 寧音が何か言おうとするより先に、ウェイターがテーブルを回ってきて、朝食のオーダーを聞き、紅茶やコーヒーをサーブしていく。その間、寧音は何か言いたいのをグッと堪えるように、ぷるぷる震えながら奏の顔をガン見していた。 四人...
真昼の月 | 2022.03.03 Thu 23:19
奏はなんとか体勢を整えると、できるだけ自然に見えるように体を起こし、大雅に向かってぺこりと頭を下げた。 「……取り乱してごめん。その、昨日は、ここまで運んでくれたんだよな?重かったろう?」 「いや、全然。羽かと思った」 「まさか」 小さく笑うと、もう一度キスされた。 「ん……」 最初は柔らかく笑いながら。でもそのうちに、キスに熱が篭もってきた。 「ふ、んん……」 「可愛い。奏さん、あんた最...
真昼の月 | 2022.03.02 Wed 22:34
◇◇◇ ◇◇◇ 電子音が鳴っている。シンプルなベルの音。ああ、目覚まし時計が鳴ってる。早く起きて、朝ご飯を作らなくちゃ。ああ、でも目が開かない。早く起きなくちゃ。寧音が遅刻したら大変だ。寧音…、ねね…… 「奏さん?」 「え?」 はっと目が開けると、目の前に憧れ続けた男の顔があった。 「え!?LOKI!?え?な、何?何が起きた!?」 寝惚けているのか慌てふためく奏の顎を掬い上げると、世界で一番美しい男が唇を重ねてくる。 ...
真昼の月 | 2022.03.01 Tue 23:03
(R18)です。このblogは18歳未満の方は読んでいらっしゃらないはずですが、苦手な方が間違えて読まないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを読む」を押すか、もしくは下にスクロールしてお読み下さい。 -----------------------------
真昼の月 | 2022.02.28 Mon 22:36
「だから、俺、こういうことしたことなくて……だからその、何をどうして良いのかも分からないし、こういう時のマナーとか礼儀とかも知らないし、とても君を歓ばせてあげることなんてできないと思うんだ。あの、ほんと、こんな年で恥ずかしいんだけど……」 女性の処女性を重んじる人はいても、この年の男が童貞だなんて、とても人に自慢できる物ではないだろう。いや、この場合は童貞で良いのかもよく分からないのだが……。処女?処女なのか?いや、どちらにしても、多分、す...
真昼の月 | 2022.02.27 Sun 22:15
(R15)です。このblogは18歳未満の方は読んでいらっしゃらないはずですが、苦手な方が間違えて読まないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを読む」を押すか、もしくは下にスクロールしてお読み下さい。 -----------------------------
真昼の月 | 2022.02.26 Sat 22:53
◇◇◇ ◇◇◇ その後は、どうやってホテルまで帰ってきたのか、よく覚えていない。ふわふわと、雲の上を歩いているような気持ちがした。帰りの船の中でも大雅は奏を抱きしめたままだったが、うなだれる奏の腰を支えて歩いている大雅は病人の付き添いのようにでも見えたのか、皆気遣いを見せてくれたのがありがたかった。 ホテルについて、寧音達が戻っているかどうか部屋をノックしようとした奏の腕を大雅がグッと掴んだ。 「新婚の二人は二人だけにしておいてやれよ。飯は別に...
真昼の月 | 2022.02.25 Fri 22:41
ゆっくりと、大雅が奏の下唇を啄む。 「奏……ああ、夢みたいだ。俺、あんたにキスしてるんだな……」 小さく呟くなり、大雅の舌が奏の唇を割って、そっと中に入ってきた。 「ふぁ……」 思わず、変な声が出てしまった。 今迄、寧音の為に全てを捧げてきた奏は、恋愛にかまけている暇も精神的な余裕もなかった。ベルリンに住んでいた時、早熟な女子にキスをされたことは一応あるし、高校時代もなんとなく女の子と付き合ったこと...
真昼の月 | 2022.02.24 Thu 22:21
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