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『待ってくれ!少なくともウィルはその計画から外してくれ!ウィルは由緒ある貴族の跡取りなんだよ!将来は伯爵家を継いで領地を運営しないといけないんだ!日本でそんな事をしている暇なんてないんだよ!』 必死な久義の声を、しかしその場の一同は何でも無いことのように笑い飛ばした。 『貴族だって自分のしたいことをしたって良いんだろう?』 『そうだよ。ちゃーちゃんは何でも真面目に考えすぎ!今何世紀だって思ってるの?うちのじい様達がよそもんに窯使わせてやる時代だよ?』 それはどんな時代だ、...
真昼の月 | 2024.03.09 Sat 22:06
◇◇◇ ◇◇◇ こたつの中で、一緒にテレビを見ながらミカンを食べる。ここでは皆が当たり前にしていることが、久義やウィリアムにとっては奇跡の瞬間だ。 こたつという人類史上に輝く発明(いや中東や中央アジアにもあるけど)、ミカンというナイフのいらない夢のように甘いオレンジ。目の前には好きな人。素晴らしい。もうこれだけで一生ここに住みたくなる。 おばあちゃんと一緒にテレビを見ているウィリアムに、親戚の子達が英語を教えてもらっている。ウィリアムは何だかすっかりこの村に馴染んでいた...
真昼の月 | 2024.02.25 Sun 03:23
◇◇◇ ◇◇◇ 深い雪の中を、久義とウィリアムはゆっくりと歩いていた。この村はとても居心地が良いが、二人でいる時間が少し少ない。どちらからそう言った訳ではないが、今日は何となく、二人だけでいたかった。 「寒くない?」 「いいや。だが、日本の雪深いのには驚いたな」 「そうだね。日本って、世界でも有数の豪雪地帯を持っているけど、まぁ、ここはまだそれほどでもないかな。真理江夫人の実家の新潟とか、北陸はもっとすごいだろ?」 「ああ、前にうっかり新潟に冬に行ってしまってすご...
真昼の月 | 2024.02.18 Sun 02:50
◇◇◇ ◇◇◇ 祖父に「話し合う時間が必要だ」と言われたのには、きっと、何か理由があるのだろう。ほんの少しウィルに会っただけの祖父にすら見えて、自分には見えない物があるのかもしれない。そう思うと、久義ももうウィリアムに「帰れ」とは言えなくなった。 本当は、自分だって例年ならとっくにイギリスに帰っている時期だ。それなのに久義は、ウィリアムと共にいられるこの時間を慈しむように、いつまでもここから動けずにいる。 伊嶋での時間はとても優しく、ゆっくりと動いていた。 ウィリアム...
真昼の月 | 2024.02.11 Sun 03:14
『初めまして。突然の訪問、は、失礼しました。ウィリアム・オーガスタ=オブライエンです。父は伯爵ですけれども、私は違います。私は会社で働いているなのでさら……サラリーマン?です。私はイギリスでヒースと友達になりました。どぞよろしくお願いします』 そう言ってウィリアムが頭を下げると、隣の部屋からどよめきが起きた。 『おい、子爵って貴族だろ?貴族が正座してるぞ!』 『っていうか、日本語喋れるのか!』 『やば、私の英語より彼氏さんの日本語の方が絶対レベル高いよ!...
真昼の月 | 2024.02.04 Sun 00:19
◇◇◇ ◇◇◇ どれだけの時間が経ったのか。襖の向こうから、祖父の信吉が声をかけてきた。 『おい、久義。話が終わったんなら、茶でも飲みに来い』 まだウィリアムの胸の中でぼーっとしていた久義は、その声にハッとして慌ててウィリアムを押しのけた。 『あ、ありがとう、じいちゃん!』 『ああ。寛いでるとこ悪いけど、泊まってくんだろう?だったら紹介位してくれ』 『そ、そうだよね。ごめん、今行く』 すぐに英語に翻訳しようとすると、ウィリアムはだいたい分かっているらしく「行こうか」...
真昼の月 | 2024.01.27 Sat 23:39
「爵位を海斗様が継げるということは分かった。でも、問題はそこじゃないだろ?俺は男なんだよ?あなたが男の俺と一緒になるなんてそんなことは許されな……」 だが、その台詞も言いきる前にウィルに叩き落とされる。 「爵位をマウリッツが継ぐのなら、私が男性の伴侶を得て何が問題なんだ?」 「問題に決まってる!あなたは貴族なんだよ?一昔前なら、同性愛者であると分かったら」 「それは一体いつの話だ!今は我が国の王族にも、同性婚されている方がいらっしゃるのに!なんで王族が同性婚できて、一貴族...
真昼の月 | 2024.01.20 Sat 23:29
遅くなりましてすいません💦💦 USB、見つかりました〜!ご心配おかけしてすいませんでした!! それでは、『金魚の恋』76話、お付き合いくださいませ。 イヌ吉拝 ーーーーーーーーーーーーーーーーー 久義はなんとかこみ上げてくる涙を押しとどめて、そっと首を横に振った。 「ウィルが俺を想ってくれるのは凄く嬉しいよ。でも、俺はあなたのそばにいるわけにはいかないんだ。だって、ウィルは……」 「私が貴族の跡取りだからか」 久...
真昼の月 | 2024.01.15 Mon 23:18
皆様、いつも「真昼の月」に遊びに来てくださってありがとうございます! すいません、今週のお話なのですが、いつもの土曜日ではなく、週明けの月曜にさせて下さい💦💦💦 USBが!! お話を入れているUSBメモリが!!! ちょっと見当たらないのですよ💦💦💦 いや、たぶん職場に忘れてきたんだと思うので、週明けお店に行けばあるとは思うのですが…… もし無かったらどうしよう……orz そ、そのときは書き直しま...
真昼の月 | 2024.01.14 Sun 01:29
「もしも私の自惚れでないのなら、ヒースは私を少なからず想ってくれていると……そう思っても良いのだろうか」 ウィリアムは久義の手を取って、下から覗き込むようにしてそう言った。 「……っ」 思わず顔に朱が昇る。赤くなった顔を見られたくなくて、久義は余計に俯いてしまう。 だが。 「ねぇ、ヒース。君はさっき、このティーセットを手に取ると、君はお父上から愛されていたと思うから、私にも作ってくれようとしていると言ったね?」 「え?あ、ああ」 「それは、過去形だよね?...
真昼の月 | 2024.01.06 Sat 22:42
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