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もちろん、大雅はすぐに賛成した。奏も寧音にそう言われれば、そうなのかもしれないと最後には頷いた。そうしていつまでも頷かない大成を三人がかりで説得する羽目になったのだ。 大成にとっては、奏はお父さんと言うより、お母さんなのかもしれない。そうだとするなら、この年でマザコン過ぎるだろうと大雅にしばかれていた。 但し、この話は社長の許可を得られなければいけない、と、最後に奏が条件をつけた。大雅と一緒にいたいが為に、会社を辞めようという気持ちが奏には全くなかった。 大成にとって...
真昼の月 | 2022.03.27 Sun 01:52
◇◇◇ ◇◇◇ 「社長、あの、俺、テレワーク勤務に戻してもらう事って出来ますか?」 月曜日の午後。オフィスには社長の他に、報告に来ていた優吾の姿もあった。どのタイミングで言うべきかと散々悩んでいた奏だが、優吾がいる時に言った方が良いだろうと、恐る恐る切り出してみる。 実際、社員の中には海外に住みながらリモートで働いている者もいる。その方が新鮮な情報をいち早く届ける事ができるので、社の方針としては海外リモートは歓迎されていた。 だが、奏は海外書籍の翻訳...
真昼の月 | 2022.03.26 Sat 01:15
◇◇◇ ◇◇◇ 朝起きた時、奏は一瞬自分の置かれた状況が分からなかった。 広いベッドの上に一人で眠る奏の体には甘い歓びの名残が残っている。だが、その余韻を感じる間もなく昨日の母親の襲来を思い出し、思わず体に怖気(おぞけ)が走った。 あんな事があったというのに、自分は大雅君と何てことを……!! 慌てて服を身につけて部屋を出る。下の階に降りると、奏の焦りをよそに、寧音と大成、大雅はゆっくりと朝食の支度をしているところだった。 &nb...
真昼の月 | 2022.03.24 Thu 23:27
(R18)です。このblogは18歳未満の方は読んでいらっしゃらないはずですが、苦手な方が間違えて読まないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを読む」を押すか、もしくは下にスクロールしてお読み下さい。 -----------------------------
真昼の月 | 2022.03.24 Thu 01:46
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真昼の月 | 2022.03.22 Tue 23:41
「それが、寧音のお母さんだった……?」 「そう。すぐに電話は救急隊員に代わって、病院に来てくれって言われて……。病院に行ったら、姉さんは集中治療室で、俺に寧音を頼むって言って……それが、最後の言葉になったんだ。寧音も姉さんと同じ風邪を患っていて、大変な状態だったんだけど、なんとか一命を取り留めてね。それで、俺は大学を辞めて、寧音を育てることに決めたんだ」 「……それで、あの母親に寧音の事を話したんだな……?」 ...
真昼の月 | 2022.03.22 Tue 00:10
◇◇◇ ◇◇◇ それからどれだけの時間が経ったのか。 寧音は大成と二人で自分達の部屋に戻り、奏は彼を心配した大雅の部屋で、大雅に向かい合っていた。 「俺はね、音楽一家のあの家の中で、ずっとひとりぽっちだった。俺にピアノやバイオリンを教えてくれた先生達は、どの先生も素晴らしい音楽家だったし、素晴らしい人格者だったよ。でも……俺が何を弾いても、母さんはいつも、兄さんはその年でもっと上手に弾けた、とか、誰それの子供はお前より小さいのにコンクールで賞...
真昼の月 | 2022.03.21 Mon 00:57
その日、律は大学の練習室で、遅くまで教授の指導を受けていた。ショパンコンクールで主席を取った律には、多くの仕事の依頼が来ていた。その日も次のコンサートに向けて練習をしていたのだ。 帰りが遅くなる事を心配したセインは、律を大学まで迎えに行く約束をしていた。だが、いつまで経っても約束の場所に現れない律を心配したセインが、律がいつも使っている練習室に行くと、あり得ない出来事が起きていた。 練習室の防音ドアの向こうで、忌まわしい事件が起きていたのだ。 「セインさんは...
真昼の月 | 2022.03.19 Sat 23:24
その当時の事を思い出し、奏が口を閉ざすと、寧音が震える唇を震わせた。 「じゃあ、やっぱり私は……」 だが、すぐに奏は首を振った。 「聞いて。最初はね、俺も何が本当の事なのか分からなくて、少し混乱していたんだ。それで……恥ずかしい話だけど、俺は今まであの部屋の姉さんの遺した物を、怖くて触れなくて……。ごめんね、寧音。俺は姉さんに向き合うことが、ずっとできなかった。勇気が無かったんだ。でも、……今回荷物を整理していた...
真昼の月 | 2022.03.17 Thu 23:41
◇◇◇ ◇◇◇ 部屋の中はしんと静まりかえっていた。誰も、一言も声を発することができなかった。寧音の顔色は痛々しいほど真っ青で、そんな寧音を大成がそっと抱きしめる。 「寧音」 「わたし……私は……」 「寧音、母さんの話は、あれは全く事実無根だ。母さん達は姉さんの話を聞かずに、自分達の想像した話を事実として勝手に思い込んでいるだけなんだ。今まで、何の話もしなくて悪かった。座って、俺の話を聞いてくれる?」 奏がまっすぐに...
真昼の月 | 2022.03.16 Wed 22:59
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