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◇◇◇ ◇◇◇ デロス島でフェリーを降りると、そこはまさに遺跡の宝庫だった。 他の観光客達も景色を眺めたり、写真を撮ったりするのに夢中で、こちらを気にする人はいないようだ。 「すごいタイルだな」 「デュオニソスの家だって。個人の名前だよね?列柱も残っててすごい格好良いね」 ギリシア神話でデュオニソスといえば、豊穣と葡萄酒の神だ。イタリア神話のバッカスと言った方が分かりやすいだろうか。きっとデュオニソスにあやかって名前をつけた、裕福な商人の邸宅...
真昼の月 | 2022.02.17 Thu 22:27
大雅はやたらと反対しまくっているが、元より奏には興味のない場所だ。 そもそも奏は男に興味がある訳ではないし、女性のヌードはこんな太陽キラッキラのビーチで見る物でもないと思っている。仮に奏がゲイだったとしても、目の前に完璧な肉体と美貌を備えた男が立っているのだ。そんな所で有象無象の裸を見てもしょうがないだろう。 ────まぁ、大雅の裸なら見るのかと言われても、微妙な所ではあるが……。 ポスターや雑誌で見るLOKIは、神々の作った芸術品である。だから寸分の...
真昼の月 | 2022.02.17 Thu 02:06
大雅はやたらと反対しまくっているが、元より奏には興味のない場所だ。 そもそも奏は男に興味がある訳ではないし、女性のヌードはこんな太陽キラッキラのビーチで見る物でもないと思っている。仮に奏がゲイだったとしても、目の前に完璧な肉体と美貌を備えた男が立っているのだ。そんな所で有象無象の裸を見てもしょうがないだろう。 ────まぁ、大雅の裸なら見るのかと言われても、微妙な所ではあるが……。 ポスターや雑誌で見るLOKIは、神々の作った芸術品である。だから寸分の...
真昼の月 | 2022.02.16 Wed 22:39
◇◇◇ ◇◇◇ 翌日は、打って変わって朝から大忙しだった。何しろ一週間も休みを取ったというのに、もう明日にはこの島を発たないといけないのだ。 「パパ、私達は猫の写真を撮りに行ってくるから、パパ達は二人で楽しんできてね」 「ああ、ゆっくりしておいで」 「なぁ兄さん、ギリシアって、俺の英語でも何とかなるかな」 「平気だろ?世界中の人が観光に来る島だぞ?」 さっきから大成はガイドブックの巻末に載っているギリシア語の挨拶をずっと繰り返し、寧音に「行きゃ...
真昼の月 | 2022.02.15 Tue 22:43
◇◇◇ ◇◇◇ 式が終わると、外に出て何枚も写真を撮った。青い屋根と真っ白い壁が幾重にも並ぶ美しい島の町並み。青い空と青い海をバックにキスをしたり、抱き合ったり、手を握ったりする二人の写真を、大雅も奏も競うようにカメラに収めた。 途中で大成がカメラを受け取って、奏と寧音のツーショットや、奏と大雅のツーショットを撮り、ホテルの人に四人の写真も撮ってもらった。 さすがに大雅はフォーマルをこれ以上は無いほど着こなしているし、大成も寧音も幸せがこぼれんばかりで美...
真昼の月 | 2022.02.14 Mon 22:53
◇◇◇ ◇◇◇ 式が終わると、外に出て何枚も写真を撮った。青い屋根と真っ白い壁が幾重にも並ぶ美しい島の町並み。青い空と青い海をバックにキスをしたり、抱き合ったり、手を握ったりする二人の写真を、大雅も奏も競うようにカメラに収めた。 途中で大成がカメラを受け取って、奏と寧音のツーショットや、奏と大雅のツーショットを撮り、ホテルの人に四人の写真も撮ってもらった。 さすがに大雅はフォーマルをこれ以上は無いほど着こなしているし、大成も寧音も幸せがこぼれんばかりで美...
真昼の月 | 2022.02.14 Mon 22:04
◇◇◇ ◇◇◇ その日は朝から一点の曇りのない青空だった。エーゲ海に浮かぶ白い宝石、ミコノス島。白い漆喰で塗られた美しいホテルで、寧音は純白のドレスを身にまとっていた。 「寧音、綺麗だよ」 奏が微笑むと、寧音は目に涙を浮かべた。 「パパ、今まで本当にありがとうございました。パパのおかげで、私……私……」 そっと、寧音の頭を抱き寄せる。こうして寧音を抱きしめるのはいつ以来だろうか。 「愛してるよ、寧音。大成...
真昼の月 | 2022.02.13 Sun 22:01
◇◇◇ ◇◇◇ 月曜日に会社に行くと、社長にちょいちょいと手招きをされた。 「奏君、こないだはうちの息子がなんか迷惑掛けた?」 「いえ……」 急にそんなことを言われて、奏は返答に困ってしまった。 あの後、奏と優吾と寧音はずっとギクシャクとしていた。食事の間も気詰まりで、ちーちゃんズもずっとそわそわと三人の様子を気にしていたから、きっとあの二人が社長に何か言ったのだろう。 「ごめんねぇ、うちの息子が」 「なんで優吾...
真昼の月 | 2022.02.13 Sun 21:43
◇◇◇ ◇◇◇ 月曜日に会社に行くと、社長にちょいちょいと手招きをされた。 「奏君、こないだはうちの息子がなんか迷惑掛けた?」 「いえ……」 急にそんなことを言われて、奏は返答に困ってしまった。 あの後、奏と優吾と寧音はずっとギクシャクとしていた。食事の間も気詰まりで、ちーちゃんズもずっとそわそわと三人の様子を気にしていたから、きっとあの二人が社長に何か言ったのだろう。 「ごめんねぇ、うちの息子が」 「なんで優吾...
真昼の月 | 2022.02.12 Sat 22:06
「お前は…っ!そうやって、自分は関係ないって思ってるのかもしれないけど、お前がそうやって鈍感だから俺がいつまでも心配するんじゃないか!」 「お前に心配してもらわなくても結構だよ。さぁ、この話はお終い!せっかく作った飯がまずくなるから、もう二度とこの話はするなよ」 さっさと踵を返して自分達のバンガローに戻っていく奏を見つめながら、優吾はまだその場を動くことができずにいた。だって、あの男が奏を狙っているのは一目瞭然だ。今迄寧音を育てることに必死で、自分の恋愛どころではなかった奏が、...
真昼の月 | 2022.02.11 Fri 22:05
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