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「だって、こんな時でもなきゃなかなか恩返しもできないでしょ?」 きっと、ちーちゃんズは本当の親に良い距離感で育てられてきたから、そんな風に思えるのだ。愛されるのは当たり前。親が常に傍にいて、子供の面倒を見るのは当たり前。 でも、当たり前ではない家だってあるのだ。 少なくとも、寧音は覚えている。目の前でどんどん衰弱していく母を。自分もゲーゲー吐いて、頭がグラグラして、体を起こしてなんていられなかった。体中が痛くて、でもママはそれ以上に辛そうで。 ママ...
真昼の月 | 2022.01.31 Mon 22:05
「兄さんが八月にプレタのショーでヨーロッパに行くんです。そのままミラノで落ち合ってギリシアに飛べば、兄のヨーロッパまでの渡航費が浮きます」 どっちみちギリシアには日本からの直行便がないため、ヨーロッパ経由かドバイ、もしくはトルコ経由でアテネ入りし、そこからフェリーで島に向かうことになる。 「それにほら、パパは遺跡も好きでしょう?ミコノス島からフェリーで三十分の所に、アポロンとアルテミスが生まれたデロス島があるよ!ファンタジーの世界みたいな素敵な遺跡の島だから、脚を伸...
真昼の月 | 2022.01.30 Sun 22:02
◇◇◇ ◇◇◇ 豚汁と焼きそば、それからBBQという定番メニューは、定番なだけにみんなのハートと胃袋を掴む。もっとコジャレたメニューにしようかという意見も出たのだが、娘達が「これが良い!」と主張したこともあり、また、大雅・大成兄弟は学校行事以外でBBQをしたことがないというからこのメニューにしたのだが、大正解だった。 牛肉、ネギの豚バラ巻、タマネギニンジンピーマンという定番食材を金串に刺して焼くと、それだけで視覚的にクるらしく、みんなどんどん手を伸ばしていく。焼きそ...
真昼の月 | 2022.01.29 Sat 22:01
「寧音ちゃんが大学行ってから、なかなか時間が取れなくなってね。夏休みとかでも実習入ってたりするしさ。まぁ、千鶴も今年から社会人だから、これからもなかなか機会はないかなぁ」 「え?千草ちゃんは?」 「千草は1年留学してたから、まだ大学生。大学終わったら、またイギリスの大学に戻りたいみたい」 「専攻は英米文学だっけ?うちの会社来るかな」 「どうだろうねぇ。姉さん達は、そのままイギリスから戻ってこないことも覚悟してるみたいだし」 「え〜?千草ちゃんいなくなると寂しいなぁ」 二人は大成...
真昼の月 | 2022.01.29 Sat 18:13
「なぁ、あの怪しい兄さんはなんなんだよ。お前、あの男と同居するとか言ってたのか?」 焚き火台で柴に火をつけていた優吾が、順調に火が薪に燃え移ったのを確認すると、すぐ隣でグリル台に炭を熾している奏に耳打ちした。大成は水場に水を汲みに行っているので、しばらく帰ってこないだろう。 「怪しいって……。大雅君は、普段は海外で活躍しているモデルさんで、今はオフシーズンだから日本に帰ってきてるってだけだぞ?」 「いや、あれはテレビの向こうにいてもらって初めて安心する...
真昼の月 | 2022.01.29 Sat 18:13
「寧音ちゃんが大学行ってから、なかなか時間が取れなくなってね。夏休みとかでも実習入ってたりするしさ。まぁ、千鶴も今年から社会人だから、これからもなかなか機会はないかなぁ」 「え?千草ちゃんは?」 「千草は1年留学してたから、まだ大学生。大学終わったら、またイギリスの大学に戻りたいみたい」 「専攻は英米文学だっけ?うちの会社来るかな」 「どうだろうねぇ。姉さん達は、そのままイギリスから戻ってこないことも覚悟してるみたいだし」 「え〜?千草ちゃんいなくなると寂しいなぁ」 二人は大成...
真昼の月 | 2022.01.28 Fri 22:07
「なぁ、あの怪しい兄さんはなんなんだよ。お前、あの男と同居するとか言ってたのか?」 焚き火台で柴に火をつけていた優吾が、順調に火が薪に燃え移ったのを確認すると、すぐ隣でグリル台に炭を熾している奏に耳打ちした。大成は水場に水を汲みに行っているので、しばらく帰ってこないだろう。 「怪しいって……。大雅君は、普段は海外で活躍しているモデルさんで、今はオフシーズンだから日本に帰ってきてるってだけだぞ?」 「いや、あれはテレビの向こうにいてもらって初めて安心する...
真昼の月 | 2022.01.27 Thu 22:12
皆様、コメントありがとうございます。 お返事はコメントをいただいた順に書いております。 先に書いていただいた方のリコメが下になっておりますので、もし自分へのレスがないな、と思われたら、下の方をググッとスクロールしていただけると嬉しいです。 イヌ吉拝 01:26:はるりん様 コメントありがとうございます!! > 大雅〜手が早いぞ笑 そうなんですよ!!もうね。奏さん、かなり押せ押せで行かないと、多分ず〜〜っと状況変わりませんからね💦 ...
真昼の月 | 2022.01.26 Wed 23:14
◇◇◇ ◇◇◇ 「パパ〜、焚き火台に薪積み終わったよ〜!焚き火熾してくれたら豚汁作るから!」 「あ、そっちは俺達がやるから、寧音ちゃんはちーちゃんズと遊んできな!」 「はぁい!ありがとう、優吾ちゃん!」 お日様がキラキラと差し込む湖畔のキャンプ場。梅雨が明けたばかりの今日は、朝から天気が良かった。 寧音は朝からウキウキとご機嫌だ。それはそうだろう。大好きなパパの引っ越しも一段落ついて、久しぶりに、子供の頃から大好きだった双子達と一緒に、キャンプに来ているのだから。 優吾の姉の...
真昼の月 | 2022.01.26 Wed 22:05
「でも、ほら、俺、ゲイだからさ。娘婿の兄貴がゲイでも気にしないかもしれないけど、一緒に暮らすとなると、話は別だろ?」 「は?いや、別に君が誰と付き合っても俺は気にしないし、そんなことで同居を嫌がってると思われるのは、ちょっといやなんだけど……」 「そう?じゃあ、なんでいやなの?」 大雅の濡れたような美しい目で見つめられると、どうして良いのか分からなくなる。肉食獣を前にした捕食動物というのは、こういう気持ちになるのかもしれない。 「……たまに会...
真昼の月 | 2022.01.26 Wed 20:28
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