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「寧音が俺の幸せだよ。俺は寧音がいればじゅうぶん幸せなんだ」 「でも…っ!」 大切な、大切な一人娘。この子が本当の娘じゃないなんて、そんなことある訳がない。だって、ずっと自分が育ててきたんだ。夏の暑い日も、冬の寒い日も、二人で一緒に暮らしてきた。寧音がいたから頑張ってこられた。寧音がいたから幸せだった。それなのに、そんなことを寧音が考えていたなんて。 「お前は俺の本当の娘だ。お前が俺の本当の娘じゃないなんて、そんなこと、寧音にだって言わせない」 「パパ&hellip...
真昼の月 | 2022.02.10 Thu 22:03
「だいたい、寧音ちゃんはお前に、早く結婚して、本当の子供を持ってもらいたいって、いつも言ってるだろ?お前だってそれは知ってるよな?」 「そ…」 そんなこと分かってる。そう言おうとしたその時。 「優吾ちゃん」 バンガローのドアが開いて、寧音が優吾を睨みつけた。はっとして優吾と奏、それぞれが固まると、「ちょっと顔貸してちょうだい」と、優吾の腕を掴んで水場に向かってずんずん歩いていく。 「いや、あの、寧音ちゃん……」 今の話...
真昼の月 | 2022.02.09 Wed 22:09
「ん…奏?」 寝ぼけているのか、低く掠れた声が耳元を掠めて、奏はゾクリとした。うぅう、イケメンは声までイケメンだ。奏より六つも年下だというのに、この色気には、自分はいくつになっても辿り着けないだろう。 「トワレがどうしたって……?」 「あ、ごめん。何でもないよ」 「……そう?」 大雅はそのまま大きくあくびをすると、奏の髪の中に鼻を突っ込んできた。 「うわ、ちょ、大雅君、やめろよ。俺、汗臭いだろ?」 「んん……。焚き...
真昼の月 | 2022.02.09 Wed 09:47
◇◇◇ ◇◇◇ 朝目が覚めると、横臥して眠っていた自分の後ろに、ぴったりと寄り添うように大雅が眠っていた。大雅の頭が奏の肩にはまり込み、長い脚がスプーンを重ねたように、自分の脚にくっついている。 「あぁ、ちゃんと戻ってきて寝たんだ……。良かった」 奏はそう呟いて、大雅の寝顔を見下ろした。 弛緩した寝顔にも関わらず、恐ろしいほど整っていた。ベタな表現だが、ミケランジェロの彫像のような、というのは、こういう男のことを言うのだろう。 ...
真昼の月 | 2022.02.09 Wed 09:46
「……お前さ、困ってることとか……あるんじゃねぇの?」 「困ってること?」 前にも優吾はそう言っていた。自分はそんなに困った顔をしているのだろうか。 「ああ。ほら、引っ越しのこととかさ。……あの兄ちゃん?なんか、お前に無理難題言ってるんじゃないのか?」 「え?いや……」 大雅が、無理難題……そう言われて即座に思い起こしたのは、昨日の会話と、こないだの……キスだった。 変な顔をして...
真昼の月 | 2022.02.08 Tue 22:01
「ん…奏?」 寝ぼけているのか、低く掠れた声が耳元を掠めて、奏はゾクリとした。うぅう、イケメンは声までイケメンだ。奏より六つも年下だというのに、この色気には、自分はいくつになっても辿り着けないだろう。 「トワレがどうしたって……?」 「あ、ごめん。何でもないよ」 「……そう?」 大雅はそのまま大きくあくびをすると、奏の髪の中に鼻を突っ込んできた。 「うわ、ちょ、大雅君、やめろよ。俺、汗臭いだろ?」 「んん……。焚き...
真昼の月 | 2022.02.07 Mon 22:05
◇◇◇ ◇◇◇ 朝目が覚めると、横臥して眠っていた自分の後ろに、ぴったりと寄り添うように大雅が眠っていた。大雅の頭が奏の肩にはまり込み、長い脚がスプーンを重ねたように、自分の脚にくっついている。 「あぁ、ちゃんと戻ってきて寝たんだ……。良かった」 奏はそう呟いて、大雅の寝顔を見下ろした。 弛緩した寝顔にも関わらず、恐ろしいほど整っていた。ベタな表現だが、ミケランジェロの彫像のような、というのは、こういう男のことを言うのだろう。 ...
真昼の月 | 2022.02.06 Sun 22:03
「たった二人の兄弟だろう?君が大成君の為に頑張れたように、大成君も君の為に頑張ってきたんだ。大成君に聞いてごらん。きっと大成君も、君に恩返しがしたいって言うよ?」 「そんなこと……っ!」 叫ぶなり、大雅は勢いよく首をうなだれてしまった。何かを堪えるように、その手は震えている。奏は大雅の震えが止まるまで、根気よく手を握り、優しい声で囁き続けた。 「寧音もね、すぐに恩返しって言うだろう?でもね、俺は寧音がいてくれるだけで救われてるんだ。寧音が幸せそうに笑っ...
真昼の月 | 2022.02.06 Sun 10:11
「ランウェイだけじゃ、正直食っていかれないんだよ。パルファムや下着の仕事が来ると結構金になってね。あいつが中学に上がった辺りで、そういう仕事も段々入ってくるようになった。俺の名前も結構売れてきて。CMなんかにも出られるようになって。で、すぐに親父に連絡したわけだ」 自分は今東京で水商売をしている。大成の将来の為にも、大成を東京の高校に通わせたい。金は俺が全額出すから、大成を引き取らせてくれ。そう言うと、父親は何も聞かず、「そうか」とだけ答えた。 あの女に見つからないように、進学に...
真昼の月 | 2022.02.06 Sun 10:10
「大成に言われたよ。兄さん、苛められてるの?って。俺は良いから、兄さんは逃げてって。そんなことできない。そう言ったけど、大成はああいうとき、本当に頑固なんだ。自分はあいつらにわざと甘えて媚び売ってやるから大丈夫。でも兄さんは、このままでいたら変な顔になっちゃうよって」 「変な顔?」 「ああ。俺はあの頃、相当変な顔をしていたらしい」 大雅が薄く笑うと、奏は痛ましさに唇を噛みしめるしかできなかった。 「その替わり、僕を迎えに来てって。一日も早く僕を迎えに...
真昼の月 | 2022.02.06 Sun 10:09
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