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(R15)です。このblogは18歳未満の方は読んでいらっしゃらないはずですが、苦手な方が間違えて読まないように、一応たたみます。大丈夫おっけーどんとこい!という方だけ「続きを読む」を押すか、もしくは下にスクロールしてお読み下さい。 -----------------------------
真昼の月 | 2022.03.22 Tue 23:41
「それが、寧音のお母さんだった……?」 「そう。すぐに電話は救急隊員に代わって、病院に来てくれって言われて……。病院に行ったら、姉さんは集中治療室で、俺に寧音を頼むって言って……それが、最後の言葉になったんだ。寧音も姉さんと同じ風邪を患っていて、大変な状態だったんだけど、なんとか一命を取り留めてね。それで、俺は大学を辞めて、寧音を育てることに決めたんだ」 「……それで、あの母親に寧音の事を話したんだな……?」 ...
真昼の月 | 2022.03.22 Tue 00:10
◇◇◇ ◇◇◇ それからどれだけの時間が経ったのか。 寧音は大成と二人で自分達の部屋に戻り、奏は彼を心配した大雅の部屋で、大雅に向かい合っていた。 「俺はね、音楽一家のあの家の中で、ずっとひとりぽっちだった。俺にピアノやバイオリンを教えてくれた先生達は、どの先生も素晴らしい音楽家だったし、素晴らしい人格者だったよ。でも……俺が何を弾いても、母さんはいつも、兄さんはその年でもっと上手に弾けた、とか、誰それの子供はお前より小さいのにコンクールで賞...
真昼の月 | 2022.03.21 Mon 00:57
その日、律は大学の練習室で、遅くまで教授の指導を受けていた。ショパンコンクールで主席を取った律には、多くの仕事の依頼が来ていた。その日も次のコンサートに向けて練習をしていたのだ。 帰りが遅くなる事を心配したセインは、律を大学まで迎えに行く約束をしていた。だが、いつまで経っても約束の場所に現れない律を心配したセインが、律がいつも使っている練習室に行くと、あり得ない出来事が起きていた。 練習室の防音ドアの向こうで、忌まわしい事件が起きていたのだ。 「セインさんは...
真昼の月 | 2022.03.19 Sat 23:24
その当時の事を思い出し、奏が口を閉ざすと、寧音が震える唇を震わせた。 「じゃあ、やっぱり私は……」 だが、すぐに奏は首を振った。 「聞いて。最初はね、俺も何が本当の事なのか分からなくて、少し混乱していたんだ。それで……恥ずかしい話だけど、俺は今まであの部屋の姉さんの遺した物を、怖くて触れなくて……。ごめんね、寧音。俺は姉さんに向き合うことが、ずっとできなかった。勇気が無かったんだ。でも、……今回荷物を整理していた...
真昼の月 | 2022.03.17 Thu 23:41
◇◇◇ ◇◇◇ 部屋の中はしんと静まりかえっていた。誰も、一言も声を発することができなかった。寧音の顔色は痛々しいほど真っ青で、そんな寧音を大成がそっと抱きしめる。 「寧音」 「わたし……私は……」 「寧音、母さんの話は、あれは全く事実無根だ。母さん達は姉さんの話を聞かずに、自分達の想像した話を事実として勝手に思い込んでいるだけなんだ。今まで、何の話もしなくて悪かった。座って、俺の話を聞いてくれる?」 奏がまっすぐに...
真昼の月 | 2022.03.16 Wed 22:59
「チャチな名声を振りかざすのが大好きなお母様に教えて差し上げますよ。名声や権威というのはね、こういう風に利用するものです。さぁ、どうしますか?あなたが俺の愛しい家族である奏と寧音に今後二度と近づかないと誓うなら、クレールへの口利きを考えてやらないでもありませんよ?まぁ、クレールが彼を使ってくれるかどうかは、あなたの素晴らしいご主人の実力次第ですがね」 握りしめた美弥子の手が、ブルブルと震えている。言い返せない自分が悔しいが、このチャンスを棒に触れるほど恵まれているわけではない...
真昼の月 | 2022.03.15 Tue 23:32
「つまりあなた達は、娘が犯罪被害に遭ったという話が世間に出れば潰される程度の音楽家であると、自覚しているわけですね?だからこそ、そんな小さな傷を揉み消そうと必死でいらっしゃる。ああ、そうそう。自分の娘を見殺しにしても全く良心の痛まないような人でなしであると、そのドキュメントには付け足してもらわないと」 「無礼な!」 美弥子の顔は今やどす黒く変わっていた。大雅の台詞に思う所であるのだろう、その顔はますます醜く歪んだ。 「ネットを見てご覧なさい。高橋誠一郎にしても、高...
真昼の月 | 2022.03.15 Tue 00:02
「やめろ!あなたはそうやって、姉さんの話を一度も聞かなかったくせに!」 「何を聞けというの!?こんな事が世間に知られたらどうなると思ってるの!?私達の音楽家としても名声が、お前なんかの為に地に落ちることになるのよ!律を殺しただけじゃ飽き足らず、私達にまで仇なそうとするなんて!お前なんて、呪われた悪魔の子よ!」 「ふざけるな!!」 ショックの為に足に力が入らなくなった寧音を、大成が後ろからしっかりと抱きしめた。 「寧音、二階に行こう」 「でも……!」 &nb...
真昼の月 | 2022.03.13 Sun 23:45
しばらくすると、玄関のチャイムが鳴った。大雅が玄関を開けると、確かに先日の女────高橋美弥子がそこに立っていた。 「どうぞお入り下さい」 「……ずいぶんちゃんとした所に住んでいるのね。驚いたわ」 美弥子はぶしつけな態度で部屋の中をぐるりと見回した。 「何のご用ですか?どうやってここの住所を手に入れたんです?」 母にはアパートの住所すら教えていないのだ。まだ移り住んで間もないここの住所を、何故母が知っているのか。 「高...
真昼の月 | 2022.03.12 Sat 22:56
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