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「あの、そういう話、無理にしなくて良いんだぞ?こないだのことは、俺も大人げなかったし、もう気にしてないから」 「え?俺が言いたかったら話しただけだし。荷物、適当に詰めちゃって良い?」 「あ、うん。ありがとう。あ、俺の荷物は別によけておいてくれる?」 「なんで?取り敢えず一度うちに運んで、そこで分別すりゃ良いじゃん。あ、仕事の道具は別にしないと困るよな」 とんでもない美貌がリンゴや煎餅の段ボールに荷物を詰めていく様子に、なんだか申し訳なくなってくる。それに、何故か彼は奏を自分の部...
真昼の月 | 2022.01.24 Mon 15:52
でも、そろそろ向き合うときなのかもしれない。 寧音が一人前になって結婚するのだ。自分だって、ちゃんと姉と向き合わなければ。 奏は、姉の写真を手に取った。自分よりもずっと若い姉は、写真の中で幸せそうに微笑み、幼い寧音を抱きしめている。 「……姉さん。寧音、結婚するよ。花婿さんの大成君は、病院で癌細胞とかの検体検査っていう、立派な仕事をしてるんだよ。寧音もオペ看として、執刀医の先生方や同僚からも信頼されて、毎日勉強だって頑張ってるんだ。姉さんの娘は、...
真昼の月 | 2022.01.24 Mon 15:51
◇◇◇ ◇◇◇ 取り敢えず、奏は自分たちの部屋の荷物をまとめることにした。どのみち、近日中の立ち退きをお願いされているのだ。どこに住むことになっても、荷物はまとめておかなければならない。 この部屋は、寧音が生まれてから姉が亡くなるまで、二人が住んでいた部屋だった。姉が亡くなり、奏が大学を辞めて寧音を育てることになったとき、姉の相談に乗ってくれていたケースワーカーさんが、そのままここに住めるように取り計らってくれたのだ。 大家のばあちゃんも...
真昼の月 | 2022.01.24 Mon 15:50
「でも、ほら、俺、ゲイだからさ。娘婿の兄貴がゲイでも気にしないかもしれないけど、一緒に暮らすとなると、話は別だろ?」 「は?いや、別に君が誰と付き合っても俺は気にしないし、そんなことで同居を嫌がってると思われるのは、ちょっといやなんだけど……」 「そう?じゃあ、なんでいやなの?」 大雅の濡れたような美しい目で見つめられると、どうして良いのか分からなくなる。肉食獣を前にした捕食動物というのは、こういう気持ちになるのかもしれない。 「……たまに会...
真昼の月 | 2022.01.23 Sun 22:03
「あの、そういう話、無理にしなくて良いんだぞ?こないだのことは、俺も大人げなかったし、もう気にしてないから」 「え?俺が言いたかったら話しただけだし。荷物、適当に詰めちゃって良い?」 「あ、うん。ありがとう。あ、俺の荷物は別によけておいてくれる?」 「なんで?取り敢えず一度うちに運んで、そこで分別すりゃ良いじゃん。あ、仕事の道具は別にしないと困るよな」 とんでもない美貌がリンゴや煎餅の段ボールに荷物を詰めていく様子に、なんだか申し訳なくなってくる。それに、何故か彼は奏を自分の部...
真昼の月 | 2022.01.22 Sat 22:50
でも、そろそろ向き合うときなのかもしれない。 寧音が一人前になって結婚するのだ。自分だって、ちゃんと姉と向き合わなければ。 奏は、姉の写真を手に取った。自分よりもずっと若い姉は、写真の中で幸せそうに微笑み、幼い寧音を抱きしめている。 「……姉さん。寧音、結婚するよ。花婿さんの大成君は、病院で癌細胞とかの検体検査っていう、立派な仕事をしてるんだよ。寧音もオペ看として、執刀医の先生方や同僚からも信頼されて、毎日勉強だって頑張ってるんだ。姉さんの娘は、...
真昼の月 | 2022.01.21 Fri 22:10
大成が先頭に立って部屋の中を案内してくれるので、どうせならと色々覗かせて貰った。奏の真横はちゃっかり大雅がキープしている。 寧音と大成の新居だというフロアだけで3LDKだ。大雅の部屋は、これと同じタイプの物だという。どんだけ広いんだよ。リビングの広さが十二畳はあるだろうか。八畳一間に親子二人で住んでいる身としては、身の置き所がなさすぎる。 「こっちの部屋が私と大成の寝室で、こっちがパパの部屋。ほら、ベッドの他にデスクを置けるから、ここでも仕事できるよ?」 「いや…&hell...
真昼の月 | 2022.01.21 Fri 16:18
◇◇◇ ◇◇◇ 取り敢えず、奏は自分たちの部屋の荷物をまとめることにした。どのみち、近日中の立ち退きをお願いされているのだ。どこに住むことになっても、荷物はまとめておかなければならない。 この部屋は、寧音が生まれてから姉が亡くなるまで、二人が住んでいた部屋だった。姉が亡くなり、奏が大学を辞めて寧音を育てることになったとき、姉の相談に乗ってくれていたケースワーカーさんが、そのままここに住めるように取り計らってくれたのだ。 大家のばあちゃんも...
真昼の月 | 2022.01.20 Thu 22:16
大成が先頭に立って部屋の中を案内してくれるので、どうせならと色々覗かせて貰った。奏の真横はちゃっかり大雅がキープしている。 寧音と大成の新居だというフロアだけで3LDKだ。大雅の部屋は、これと同じタイプの物だという。どんだけ広いんだよ。リビングの広さが十二畳はあるだろうか。八畳一間に親子二人で住んでいる身としては、身の置き所がなさすぎる。 「こっちの部屋が私と大成の寝室で、こっちがパパの部屋。ほら、ベッドの他にデスクを置けるから、ここでも仕事できるよ?」 「いや…&hell...
真昼の月 | 2022.01.19 Wed 22:08
「お兄さんは、年の半分くらい海外なんですよね?」 奏の焦りにまるで気づいていないかのように、寧音が笑顔で大雅に話を向ける。 ……この美貌を前にしても、寧音の笑顔には緊張感がない。きっと寧音は、もう大雅のことを『大成の兄』として受け入れているのだろう。いや、この美貌を前にして、他の男に目が行かない娘は、正直偉いと思う。 「そう。仕事は色々あるからね。春夏コレクションと、秋冬コレクションのファッションウィークだけじゃなくて、その間にプレタのショーもあるし...
真昼の月 | 2022.01.18 Tue 23:15
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