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「奥沢。もっと良い所に連れっててやるよ。今度は俺とドライブとしゃれこもうぜ?」 阿鼻叫喚の形相でわめき立てる二人をベンツの後部座席に押し込むと、時村は「事後処理をしておきますんで、俺はここに落としていってください。終わり次第そちらに向かいます」と言いながら携帯を取り出した。 「分かった。おう、ヒロ。本家はやめだ。事務所に戻れ」 「はい」 後部座席は騒がしいからと、桐生が今度は助手席に乗り込んできた。窓を開けて時村に指示をいくつか出し、最後に「周りの学生さん達に怖がらせて悪かったと謝...
真昼の月 | 2018.08.19 Sun 08:01
「おい、どこにいるんだ!?」 佐世保の声に、ヒロが冷静に答える。 「2台先の車です。奥沢が運転して、後部座席に女がいました」 「あぁ!?お前、それ見間違いじゃねぇのか!?」 高速の高架下に位置する246号線だ。薄暗い上に、高架の柱が邪魔をして、反対車線とは距離もある。そんな状況で、ある程度の速度で流れている反対車線の運転席など、確認できるはずがない。佐世保や時村がそう思うのは仕方がないだろう。 「ヒロ、間違いないんだな?」 だが、桐生はそれを見間違いだとは思っていないように確認...
真昼の月 | 2018.08.18 Sat 08:02
JUGEMテーマ:JUNE/BL/ML 僕の家庭教師さま エピローグ(12) 雫は、総ての思考が停止してしまい身体に力が入らない。 悠に酷い事をされているとか、そういう肉体的な事とは関係なく、悠に言われた『一生』という言葉がズシンと重く圧し掛かっていた。 『一生』なんて言葉を誰かに言われたのはさすがにこれが初めてだった。 正直そこまでの事を考えた事は今まで一度だってない。 悠を好きだという気持ちに嘘はない。 だが一生添い遂げるとか、そ...
時の過ぎ行くまま(Rink's Cafe別館) | 2018.08.18 Sat 05:12
◇◇◇ ◇◇◇ その日は朝からバタバタと慌ただしかった。桐生も早く事務所に行けとヒロをせっつき、6時には桐生を乗せた車は事務所の地下駐車場に入った。事務所内は、ヒロが足を踏み入れた時にはもう、怒声が鳴り響いていた。 どうやら、いくつかの組の取り纏めを任せられていた奥沢という男が、縄張りの店舗から売り上げと女を連れて逃げたらしい。その女というのが若頭補佐、金町のバシタ(女)だったものだから、金町のメンツは丸潰れだ。金町派の連中は、昨日の夜から血なまこになって奥沢を追っているらしい。 「...
真昼の月 | 2018.08.17 Fri 08:01
JUGEMテーマ:JUNE/BL/ML 僕の家庭教師さま エピローグ(11)★ 酷く蔑み、そして優しく抱き締める、そんな風に抱かれて雫の身体は更に熱を増す。悠はその熱を感じて、心の底から癒されていた。 こんな雫をよく三枝が諦めてくれたと思う。 だがきっとそれ以上に三枝が抱えている問題の男…、吉澤譲の存在が大きかったという事だろう。 今さらながらに三枝がすんなりと雫から手を引いてくれた事に感謝するしかなかった。 ――本当に、俺はついているとしか、...
時の過ぎ行くまま(Rink's Cafe別館) | 2018.08.17 Fri 05:04
外回りや階段、エレベーターホールなどを掃除していると、組の幹部達に「精が出るな」などと声を掛けられることもあったし、幹部以外の構成員である若中達に用事を言いつかったり、溝口達のような下っ端に蹴りを入れられたり、階段から突き落とされそうになることもあった。 取り敢えず、ここのマウンティングはガチだということはよく分かった。ホストの新人いびりなど可愛い物だ。 それでも、死に場所を与えられるまではただ生きているだけだと思っているだけのヒロにとっては、そんな物は大したことではなかった。 ...
真昼の月 | 2018.08.16 Thu 08:04
JUGEMテーマ:JUNE/BL/ML 僕の家庭教師さま エピローグ(10)★ 雫は鎖に戒められて、身体の自由を奪われていた。 すぐ傍で悲しい顔をした悠の顔と目があったが、溢れる涙をそのままに、顔を背けるしかなかった。 悠の言う通り、雫の身体は三枝との情事に慣らされていた。慣らされたというより、雫の身体が順応しやすいだけなのだが、三枝の快感しか与えないセックスによって身体の感じ方が変わっていた事は事実だった。 「三枝の影を全部塗りかえるから… いい思い出...
時の過ぎ行くまま(Rink's Cafe別館) | 2018.08.15 Wed 14:30
写真立ての中には、表彰台の上でレーシングスーツを着た自分と駈が笑っている。アルバムの表紙をめくれば、幼い日の駈と、駈の妹の風子と3人で映っている写真も。 「……駈……」 俺はとうとうこんなところに来ちまったよ。お前はきっと、雲の上の綺麗な所で楽しくやっているんだろう。 「駈。俺のことは、もう、忘れてくれ。俺のことを、そこから見ないでくれ……」 そう言って写真立ての駈を指で撫でると、その上に涙が落ちた。 「駈……」 考え...
真昼の月 | 2018.08.15 Wed 10:46
写真立ての中には、表彰台の上でレーシングスーツを着た自分と駈が笑っている。アルバムの表紙をめくれば、幼い日の駈と、駈の妹の風子と3人で映っている写真も。 「……駈……」 俺はとうとうこんなところに来ちまったよ。お前はきっと、雲の上の綺麗な所で楽しくやっているんだろう。 「駈。俺のことは、もう、忘れてくれ。俺のことを、そこから見ないでくれ……」 そう言って写真立ての駈を指で撫でると、その上に涙が落ちた。 「駈……」 考え...
真昼の月 | 2018.08.15 Wed 08:04
JUGEMテーマ:JUNE/BL/ML 僕の家庭教師さま エピローグ(9)★ 雫の激白を聞いた悠のこめかみがピクンと動く。表情は凍てつく北の大地のように凍りついていた。 「やっぱりね…。何となくおかしいと思ってた。違和感みたいなのがあって…、雫…三枝さんとそんなSMまがいな事もしてたんだ…」 そう言うと悠は上体を起こしジャケットを脱ぎすてる。 それを気配で感じながらも雫は固まり動けずにいた。 衣擦れの音がシュルッとして『あっ...
時の過ぎ行くまま(Rink's Cafe別館) | 2018.08.15 Wed 02:41
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