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ようやく、朝晩の風も少し優しく私たちの気持ちを少し緩ませるほどに、季節も夏の終わりを感じさせるようになってきました。それにしても今年の夏は暑かったですね。猛暑という言葉では足りなく、「酷暑」という言葉を近年目にするようになってきて、気候変動は私たちの皮膚感覚でもしつかりと感じられるほどに年々過酷になってきている気がしてなりません。 私が高性能住宅を意識して住まいづくりを始めた35年ほど前は、「断熱」といえば防寒具を身にまとうことと同じで、寒さ対策だという認識がどちらかといえば強かったと思...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.31 Wed 07:31
できれば、住まい手の暮らしがその住まいで始まれば、創り手である私たちの存在はできる限り希薄であって良いと思っています。私たちはあくまで黒子ですから、メンテナンスやリノベのご相談などの時に、さっとサポートできる体制を取れていさえすれば、普段の存在は希薄で良いのが本来だと思います。かつてのバブルな時代には、住み始めてからも家具の配置や色彩の部分で建築家然とした縛りを住まい手に与えるような強者の諸先輩方もよくお見受けしました。ただ、「住まい」というものはあくまで住まい手の幸福を紡ぐための空間です...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.30 Tue 06:51
私はそういう意味では、あまりにも創り込み過ぎることを、あえてしないように心かけています。なぜかというと、それをやってしまうと、私たちの匂いというか、気配がいつまでも残ってしまう気がしてしまうからです。完成時の出来具合を70% と言いましたが、何も未完成のままに引き渡すということでは決してなくて、それくらいの空間の濃度に仕上げておくことが、住まい手の暮らしの変な邪魔にならないような気がするからです。もちろん、建築という崇高な言葉の意味を理解すれば、一度世に出す自分の仕事は徹底して創り込んで完璧を...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.29 Mon 07:05
人間の幸福というものは、記憶に織り込まれたプロセスを感じるということではないかなとよく思います。メンテナンスでお邪魔するずっと以前に住まいを建てさせていただいたお客様のところでは、あの時はこうだった。あの時はこんなことを皆でしたというように。その住まいが建てられていくプロセスを振り返りながら和やかな会話が続いていくことが多いです。皆さんその記憶を現在進行形で継続して楽しまれていて、その記憶に更に見合う今と未来を紡ごうとしておられる。住まいに対する愛着というものも、そういう部分から徐々に育っ...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.28 Sun 07:33
例えば住まいの豊かさを、出来上がった瞬間に照準を当てて考えれば、それはそれで一定の評価基準になるとは思うのですが、「住まい」という奥深いものを考えるときになかなかそれだけの価値基準では著しきれないものもあるなぁと思ったりするのです。私は常にプロセスが大切だというお話をしますが、住まいづくりも完成という瞬間もその一過点でしかないことをよく感じます。おそらく、住まい手の皆さんが、自分の住まいを持ちたい、建てたいと思ったところからその壮大な物語は連綿と続き、おそらくは住まい手と共に永遠に続くので...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.27 Sat 07:30
とかく不安定な社会情勢の中で、昨日もお仲間とのオンラインイベントで建設費高騰の話題になりました。まあ、さまざまなものが短期間に異常な高騰しているということは間違いないのですが、果たしてコロナや戦争だけがその要因かと少し考えると、あながちそうとばかりも言えない部分があるのではないかと私などは思います。過去の私のドイツなどの拙い視察体験でも、建設コストを比較しても、日本のそれは格段に今まで安かったし、要はスクラップアンドビルドを繰り返してきた中で常識化してきた「安普請」の方が基準だっただけ...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.26 Fri 06:33
いつの間にか、さまざまなものを端折り、一見効率やコスパが良く、損得勘定ではプラスのような印象の所作に終始する近年の思考の傾向は、案外豊かさというものからは真逆に遠のいているような気がして、そんなイメージのことを書いてみました。経済性が最大の価値観になって、この傾向がこの国を支配し、ともすると倫理観や常識論すらも歪めてしまいそうな昨今の状況は、少し改めて言った方が皆豊かになるのにと思わずにはいられません。 どんなに反対意見があっても、権力側の見立ての都合上、実がない国葬にする。戦争は、戦...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.25 Thu 07:10
食事に限らず、住まいの中で繰り広げられる一挙一動の中には、効率や経済性では片付けられないものがたくさんあります。なんだか便利で効率的なものが最良という概念の虜になってしまっている私たちは、無駄というものを異常に嫌悪しますが、きっと私たちはその無駄を省きに省きまくった結果として、なんだか安らがない空気感を自ら作ってしまっている気がします。 例えば、お若い方とお話をしていて、彼らは音楽もスマホの中からお手軽に探しては気に入ればすぐダウンロードし、常に持ち歩きイアホンで聴くという所作だそうで...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.24 Wed 07:17
私などは寄る年並みになり、いよいよ食べるものへの執着が一層強まりました。一食の食事も、できればゆっくりと演出をして美味しく頂きたいという気持ちが強くあります。繁忙に任せて時にはジャンキーな食事も掻き込むように取りますが、出来れば質素でも本質的に気持ちを込めた料理をいただきたい。贅沢ですが、それが生きている証の様な気分があって、疎かにできない思いが強いです。好きなテーブルセッティングで、好きな器で、好きな料理をちゃんと味わう時間は、命をいただくイメージがして力が湧きます。逆にそこが疎かになる...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.23 Tue 07:13
もう10年以上も前のことですが、空間系のデザイン専門学校で非常勤の講師を仰せつかっていた時期がありました。 これからデザインというものを生業にしていく青年たちに何を語ろうかと講義の冒頭に枕話として時々話していた話題ですが、その頃「牛丼をお持ち帰りで買ってきても、そのまま食べるな」と切り出していました。若者たちはこういう言い方をすると食い入るように聴いてくれるもので、要はこういう内容のお話なのです。およそこれからデザインというものを生業としていくからには、一般の方よりも微に入り細に入りもの...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.22 Mon 07:05
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