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住まいにほしい、あったかいもの 1

 この国の場合、ほとんどの戸建住宅は「住宅産業」と言われる、さまざまな微妙に異なる立場で住まいづくりをしている業態が渾然一体となって、年間何千何万と言う全体の新築棟数を担っているのが実情です。良し悪しは別として、全体の数としては圧倒的に大手ハウスメーカー、ビルダーの生産数がほとんどで、そう言う言い方をすれば私たちが日々取り組んでいることなど数のうちに入らず、それがごまめの歯軋りにもならないのは残念ながら自明のことです。必要な数だからこそ、売られ、買われ、生産されているのでしょうからその是非は...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.08.01 Mon 06:26

高性能住宅が目指す普通のくらし 5

 これから、なんちゃって高性能に惑わされないためにも、高性能とはあくまでベースだと言うお話をしました。少なくとも、お打ち合わせの中で、「これくらいでいい」「これ以上はいらない」と言うような表現をするプロがいたとしたら、その方のお話は少し眉に唾して聞くべきでしょう。省エネにゴールがないように、高性能にもゴールはありません。これくらいで良いと言う基準があるのではなくて、今あるさまざまな条件下ではこれがベターという落とし所があるだけです。私はそう思って、お客さまに説明することにしています。そして、...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.07.31 Sun 07:21

高性能住宅が目指す普通のくらし 4

 穿った見方をすれば、言葉が形骸化していけば、今後は「大したことない高性能」とか、「言うほどでもない…」とか、「実は粗悪な…」というようなものがカオスのように現れてくると言うことです。25年ほど前に、一時的に高気密高断熱ブームがありました。急速に知名度が上がり、北から列島を下がってきて、地域の風土にそぐわないものや、少しスペック不足のようなものが出て、挙句のはてに「これは九州には向かない」とか「ここまでいらない」「気密は室内空気汚染の元凶」などと不評も起きてブームは下火になりま...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.07.30 Sat 06:08

高性能住宅が目指す普通のくらし 3

 いつもよく言うことですが、しばしば言葉というものは軽々しく消費され、元からあった深い意味も、だんだん希薄になって、時間が過ぎればその後、形骸化していってしまう傾向は否めません。「高性能住宅」という言葉が連呼されるたびにその範疇は広がり、さして高性能でないものまで取り込まれていくという傾向は否めないと思います。本来であれば、一つの住宅が一定の快適領域の温湿度を保つためには、それなりの消費エネルギーを費やさないと実現は不可能で、その消費エネルギーをどう極限まで下げていくかという命題は、決して一...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.07.29 Fri 07:00

高性能住宅が目指す普通のくらし 2

 前回の項で「快適」とはノンストレスであるということを書きました。要は室内の温度を快適領域に温存する性能であり、なおかつそのために消費するエネルギーも極限まで下げられた住宅を「高性能住宅」と定義することについてはあまり反論は出ないと思います。ただ、その明確な定義は今のところないために、この巷の「高性能…」という言葉も使われっぱなしで、その出来にさまざまな幅があるために、どんなものを指して言っているのかわからないし、混乱をしているというのが現状なのです。解釈する消費者の側も、高性能ならど...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.07.28 Thu 07:01

高性能住宅が目指す普通のくらし 1

 世の中に流布する住まいの情報は、今、エコ・省エネ・高性能という言葉が多用され、そういう言葉を見ない広告を見ないほどに消費者ニーズにそったマーケティング戦略が花盛りです。もちろん、皆さんが関心を寄せている分野がどんなものでも加熱するのは時代の淘汰が始まりますし、悪いことでは決してありません。この流れのおかげで、一時は立ち消えた2025年の省エネ基準全棟義務化は大きく現実のものになりましたし、流れはきているなという実感は私などにもあります。  ただ、一つ考えなければならないのはこと「住まい」とい...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.07.27 Wed 07:01

私的に見る住まいと公的に見る住まい 5

 諸外国が火力や原発よりも、再生可能エネルギーの方が安価な時代に入っているというのに、未だこの国のエネルギー事情は、20世紀ままだというのは信じられないことですが、要は既得権益を頑なに守ろうという勢力が衰えないシステムが元凶だと言わざるを得ないのです。パネルとバッテリーがコスト高で、個人を苦しめるくらいならまだつけない方が良いかもと私などもずっと言ってきましたが、再三の話ではなくて公のシステム打開のためにも、今は一棟でもパネルを上げたいというところです。既成事実として、再生エネルギーの絶対量を...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.07.26 Tue 06:38

私的に見る住まいと公的に見る住まい 4

 さて、内と外という意味では、個性的な間取りやデザインという以外にも、内には断然、快適を担保した省エネ性能という事もあると思います。快適性とは、前回のお話でもそのことをお話ししてきましたように、すなわち日々ノンストレスであるという事です。良い季節ばかりではないから、外部は人間にとって不快なストレスがたくさん待ち構えている事が多いです。室内を断熱性能という意味で、まず外界と切り離し、空調換気システムで温湿度を整えていきます。システムには最低限のエネルギーが必要ですから、このエネルギーが少しでも...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.07.25 Mon 06:45

私的に見る住まいと公的に見る住まい 3

 住まいというものは住まい手の「巣」である以上、内部に関してはもっともっと住まい手のためだけにカスタマイズした個性的なもので良いというのが私の思いです。でなければフィット感に希薄さが残ります。むしろそうあらねばならないとさえ思います。お仕着せのスタイルブックに見るような何となく生活感のないような空間で、あまり想像的な暮らしを楽しめないのでは何にもなりません。そういう意味では、あくまでも唯一無二のものであるべきだと思います。住まい手のあらゆる情報をインプットして、自由にプランするべきだと考えて...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.07.24 Sun 07:23

私的に見る住まいと公的に見る住まい 2

 日本の住まい事情からすると、この公私の、言い換えれば内外の考え方が少し逆転してしまっているのではないかなと思うほどに違和感を感じてしまうことがあります。内部空間は、もっともっと個性的で良いはずですし、他と一律になる必要性はないのですが、みなさん無難な方向性を選択しがちです。一転、外部に関しては、お隣さんの壁がグレーだから、こちらはちょっと変えて目立つようにブラウンにというような事が案外平気で行われている。住宅団地と言われる街並みが、なんとなく不揃いで、でもなんとなく個性もなく雑然とした佇ま...

建築YA「髭」のCOLUMN | 2022.07.23 Sat 07:24

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