そろそろ、タイトルの種明かしをしましょうか。「快適」とは刺激がないということなのです。つまり、何も感じないこと。「あったかーい」と感じるのもつまり刺激ですから、長く続けば不快になるのです。住宅展示場の床暖房に数十分の見学で感動して、それを快感と思い込んでしまうのは少しずれてしまうことに他ならないのです。 私は高性能を習いに北海道に伺っていた頃に先輩たちによく言葉の端々を間違えるなと薫陶を受けました。「あったかい」ではなくて「寒くない」を目指しなさいとよく言われたものです。一般の方のイメ...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2021.10.30 Sat 06:11
例えば、こたつやホットカーペットという採暖器具がこれから登場する季節ですが、あったかーいとその刺激的な暖かさに喜ぶのは瞬間なのです。みなさん少しお酒を飲んで、ホットカーペットの上で寝てしまって、起きた時の感覚を味わった方も少なくないのではないでしょうか、喉はカラカラ、なんだか頭は痛いし、気だるく不快極まれない。口の悪い私などはポップコーン状態とよく表現しますが、床から煎りあげられた人間の体はほとんど水分ですから、どんどん干からびていくような不快感が否めないのだと思います。 このように、...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2021.10.29 Fri 07:19
寒くなれば、あったかいものが恋しくなるのは当然で、そろそろ暖房機に入ると昔でいえば、いささか刺激的な灯油の燃焼ガスの匂いや窓ガラスの曇りも、なんだかあったかさの象徴として、イメージが私たちの記憶に深く刷り込まれています。それは当然の感覚なのですが、水を差すような言い方をすれば、私たちの言う高性能住宅の領域では、灯油燃焼の匂いが立ち込めるなどという状況は、換気が十分にされていない空気の鮮度が心配な状態であったり、窓ガラスが曇るということは表面温度が極端に下がり露天温度に達しているということで...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2021.10.28 Thu 07:19
私はよく、住まいの耐久性の一番の要因は、「愛着」だと言います。どんなに頑丈に作られたところで、愛着のないものを手入れをして住み継ぐことがあるでしょうか。私は「メンテナンスフリー」という言葉もまやかしだとずっと言っています。5年、10年というと短い時間スパンで言えば、多少成立するかもしれませんが、住み継がれていく時間スパンを考えれば、そんな短い時間では話にならず、問題はどうやってメンテナンスをし続けていくか、どれだけメンテナンスが楽かということの方が大切になってくるのです。メンテナンスの動機...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2021.10.25 Mon 07:07
いつの頃からか、日本の住まいはバタバタと建てて、最も簡単に壊す消費の対象になってしまいました。戦後の混乱期の住宅難に仮設的に建てられるものならばいざ知らず、戦後80年も経って未だプレファブの仮設住宅のようなものが量産されているのは異常な事態です。世の中が拡大傾向に広がっていく成長期ならいざ知らず、時代は少子高齢化、国力も下降の一途を辿っていくことが現実になってきている今になっても、ストック社会とは真逆の莫大な予算を投じた消費物を大量生産する矛盾にもうそろそろ気づかなければならないのではないか...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2021.10.24 Sun 07:15
もう一つの出来事は、ある日どこからかけたたましいコンクリートなどの掘削音が聞こえてきて、地鳴りがするほどの振動と騒音が終日続いた日がありました。弊社よりももっとお近くの方からは、きっと苦情が出たのではないだろうかと思えるレベルです。どこが発生源かそれからしばらく気づかなかったのですが、後日それは、某ハウスメーカーの新築住宅の現場からのものであることがわかりました。ひと月ほど前から造成工事を行い、基礎が出来上がったなと思っていた現場から、出来上がったばかりのコンクリートの基礎がなくなっていた...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2021.10.23 Sat 07:09
最近、弊社の周りの風景でで二つほど出来事がありました。一つは見慣れた風景の中のとある住まいが、建て替えのためなのか解体が始まったということ。瀟洒なレンガタイル張りの大きめの住宅でしたが、私の記憶では20年経っていたかどうか。もったいないものだなぁと思っていると、みるみる外皮の部分が取り払われていき骨組みが露わになっていきます。見るとそれは軽量鉄骨プレファブの住まいでした。まあ、職業柄、断熱材はどれくらいのものが入っているのだろうとか、そんなところを見てしまうのですが、あえてそういうことには触...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2021.10.22 Fri 07:17
住まいと現実の暮らしの折り合いをつけることは、大変重要なことであることなのですが、皆さんは住まいの性能向上が、あたかもここを完璧に補ってくれるツールのように過信して、しかも限られた情報から性能の一部を表す数値のみに終始する住まいづくりは少しばかり危ないと思っています。そこにはご家族一人一人のキャラクターを配慮したご家族固有の練られた間取りの担保はありませんし、プロセスの一々が端折られている可能性すらあるわけです。「高性能住宅」という言葉の中には、これまでの数値化できなかった温熱性能を計算に...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2021.10.21 Thu 07:20
小窓の情報が正しいか間違っているかという問題は、視野角が狭いだけに往々にして起こりそうです。このことだけにあまりにも偏るとは判断を謝ります。皆さんは病気でお医者様にかかるときに、医学部の勉強を自らされるでしょうか。自分の顧問弁護士を雇うために法学部の専門的な勉強をされるでしょうか。現実的にはネット情報でこれをされようとしておられる、あるいはしたつもりで納得しようとしている方が最近増えています。矢継ぎ早のご質問は参照元が皆同じような非常に近視的な内容で、私に言わせればバランスを欠いていること...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2021.10.20 Wed 07:16
学校や職場という、第二第三の自分の居場所(元々は逆転していたのかもしれませんが)が全て自分の住まいの中に入り込んできたこの数年が、完全に元の形に戻ることがあるのだろうかと時々考えます。「アフターコロナ」ではなく、「ウィズコロナ」だとはよく言われますが、明らかに日常の時間のかなりの割合がなだれ込むように自分の住まいの中に押し寄せてきて、これまでのように戻らないのではないかと思い始めると、今までのようにはいかなくなって、自分の住まいを深く考え始める。このところの「高性能住宅ブーム」は、そんなニー...
建築YA「髭」のCOLUMN | 2021.10.19 Tue 06:37
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