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つ、とその丸みを帯びた柔らかそうな頬を流れた一筋の涙に、彼の心はずきりと痛んだ。 きっと、多分。今の自分の姿を見たら、彼女は泣いてしまうだろうと思った。それは、彼の本意ではなかった。出来ることなら、泣いてなんてほしくなんてなかった。 でも、多分。このまま自分がどこかに消えたら、きっと彼女は泣くだろうとも思っていた。それも、彼の本意ではなかった。どっちにしても泣いてしまうのなら、自分の見ているところで泣いてほしかった。 「ごめん」 我知らず、口からは謝罪の言葉が溢れ...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2023.03.21 Tue 23:51
JUGEMテーマ:小説/詩 「先輩お疲れっす」後輩の仁科が声をかけてきた。「ここ、いいですか?」ベンチに座ってコンビニ弁当をつつく亜一郎の隣を指差す。 そこは会社のすぐ近くにある公園で、仁科もコンビニの袋を提げていた。 「ああ、いいよ」亜一郎は箸を止め、頷いた。 仁科は亜一郎の隣に座り、唐揚げ弁当を膝上で開いた。 弁当を平らげた後もしばらく、近況報告や、半分は社交辞令であるところの飲み会提案などしつつ男二人隣り合わせで語り合っていたが、不意に、 「営業...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.03.20 Mon 09:00
JUGEMテーマ:小説/詩 会社に向かいながら、亜一郎はいまだともりゅんのこと――その本質、その行動、その結果、その笑顔――について、考えを巡らせ続けていた。 ――そうか。彼女は、“ロボット”では、ないんだ。 いつホームに電車が到着したのか、いつその車輌に乗り込んだのか、まったく意識に残っていないまま、亜一郎はそう思いついた。 ――だから、コマンド以外の……それ以上のサービスを、彼女自身の判断で、行うことができたんだ……何の、誰からの何らの命...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.03.14 Tue 16:34
JUGEMテーマ:小説/詩 翌朝も端末は、ゆっくりと緑色のランプを点滅させていた。 まだ完全に開いていない目で、画面を見下ろす。 『おはようございます 何かご用はありますか?』 という表示が出ている。 「おはよう」亜一郎はもごもごと挨拶した。「コーヒー入れてくれる?」 『おはよう コーヒー はい ただいま』記述が出る。 玄関のドアホンが鳴ったのは、その五分後だった。 「早いな」スラックスを履き終えたばかりのところだった亜一郎は、つい、着替えが間に合...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.03.05 Sun 12:33
JUGEMテーマ:小説/詩 「あはははは」バーチャル嫁ともりゅんは間髪を入れずに爆笑した。「なにその、何か企んでそうな呼び方は」 「ええ?」亜一郎はつられて笑いながらも軽い混乱に陥った。「ええと、あはは、と、ともりゅん」 ともりゅんはじっと亜一郎を見つめる。 「――さま」亜一郎はたまらずつけ足す。 「あはははは」ともりゅんはさらに爆笑する。 TVからは法廷ドラマのエンディング曲が流れ始めた。 「あ、終った」亜一郎はTVの方に顔を向けた。「結局あんま観なか...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.02.28 Tue 17:52
そこに 画像として 完璧さを誇る写真となって 緩さを身につけて、偽物の愉快さ 数々のリアルが 偽物のそれに変わり、その子を追い越したのか追い越されたのかもわからない 手に とって みる前に 浸透する黒い笑み、その片割れ、その破片、ゆっくりとした、もう言葉は聞こえない。 プリンセスの手話を見て解釈はなく、笑みのような瞳、その奥。 森を、そう。森林の中。いつもそう、暗かった。辛さを癒す暗闇を彼等から教わった。 彼女等の気配は腐敗してしまっているから、哀しみも同時に...
写真の余白に、 | 2023.02.26 Sun 20:09
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