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世界に平和が訪れた時。 そこには、貴女だけがいなかった。 またどこかで会える。貴女はこの世界のどこかにいる。そう信じていた。信じている振りをしなければ、進むことも立っていることも出来なかった。誰よりも、何よりも貴方の幸せだけを願ったのに、その世界に貴女がいないだなんて、そんなの。 日々の忙しさで貴女が傍にいない悲しみを紛らわせて、余計な思考を全て忘れて、今日まで生きてきた。 だけど。 いつからそこにあったのか。その日、コックピットのシートの裏に一通の手紙を見つけ...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2021.12.21 Tue 23:52
JUGEMテーマ:小説/詩 到頭、金が底を尽き、 後、一月の間、飲まず食はずの生活を強ひられるが、 それでもおれは楽観的だ。 所詮、生活のことなど取るに足りぬ問題でしかなく、 そんな窮乏の状態にあっても俺は、 尚も問はざるを得ぬのだ。 その周りをぐるぐる回って Waltz(ワルツ)を踊るやうに どうも優雅な気分でゐる。 ――いいか、よく聞け、其のものよ! おれはお前の尻尾は摑んだが、それでも俺はお前に問ふ! 其は何ものぞ! そいつは不敵な嗤ひを残して姿を消した。 俺は霞を喰ら...
My First JUGEM | 2021.12.20 Mon 20:08
JUGEMテーマ:小説/詩 「城岡部長、すみませんでした、怖い思いをさせてしまって」天津は誠意を込めて謝罪した。「それは多分、我々の行う業務の影響による幻覚症状だと思います」 「――」城岡部長は絶句した。「――幻覚……?」そっと、訊き返す。 「はい」天津は深く頷く。「幻覚です。ただ、まあ、あまり騒ぎにはしたくないので……虫の好いお願いではありますが、どうか今回の事は内密にしておいて頂ければ」もう一度深く、頭を下げる。 「――」城岡部長は自分がへたり込んでいたコンク...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2021.12.17 Fri 09:38
商品の棚の上に並べられた色紙、シルバー ガム 時間があった 毎日の時間が、安心をもたらせた。不満があるのなら不理解、それは言葉 視線。 誰もなく、 ひとり 行く先、帰り道。 誰かいたような、 それで満足だった。 見守られていた。諦めていたからか。 共に見守っていたのだ。
写真の余白、葉の上へ | 2021.12.15 Wed 12:06
一段落から一ページ(四〇〇〜七〇〇文字)で、形容詞も副詞も使わずに、何かを描写する語りの文章を書くこと。会話はなし。 図書室の隅に幽霊の席があります。ある秋の黄昏時、そこにひとりの男子が座っていました。一定のリズムで本の頁を捲っています。グラウンドから野球部の掛け声が、体育館からブラスバンド部の練習する音が聞こえます。図書室にいるのは私と彼だけでした。私はカウンターの内側で、好きなミステリ作家の新刊を読んでいました。 探偵が死体を発見した時でした。顔を上げると、幽霊の席の男子がカ...
水平線上の雨 | 2021.12.12 Sun 00:44
とじこめられた いつ なぜ だれもうおぼえていない 恋人たちともうひとり そうだったはず 勝者と敗残者 そうだったのかもしれず もうふたしかだ むしかえしても せんないばかり いまは ひとりとひとりとひとり 3人ですらない 糧食はついえ 所持金は無意味だ とっくに 努力は徒労であり 死はかつての恐怖だ 時間だけが永遠なのだ さとるときもあれば おびえるときもある そしてあらそいたくなればいつだって それをぼくたちはじっとみている みるしかない なぜって ここもそことおなじ まっくらやみのまっただなかさ
with a kiss, passing the key | 2021.12.12 Sun 00:00
JUGEMテーマ:小説/詩 「あー……っぶなかったぁ」低く囁くように声を洩らしたのは住吉だった。 「まこと」石上も安堵に肩を落とす。「罪なき人の命の無益に奪われゆくところであった」 「ってかあいつ」伊勢は苛立ちを顔に表していた。「どこに隠れていやがんだ」 「地球に」大山がぼそりと提案する。「……は、わかるのかな」 「地球に?」皆が訊く。 「うん」大山は頷く。「スサノオのいる、場所が」 「鯰」天津が洞窟の中で声を張り上げる。「地球と話せるか」 「え...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2021.12.10 Fri 14:42
JUGEMテーマ:小説/詩 彼らの話はこうだった。 片方の男の彼女がコンビニで働いているが、その店に、里帰りした不動産屋のひとり娘が幼娘(おさなご)を連れてよく買い物に来ていたという。一歳ちょっとのその子は、ありさという名前で、とてもかわいいのでよく覚えていたらしい。 あの地震のとき、その彼女は高台へ逃げ、そこでその子を見かけたそうだ。赤ちゃんが激しく泣くのでまわりを見ると、若い男が懸命にあやしている。不動産屋の子だと気づいて助けてやろうと近寄ったが、迷惑そうにスッと離れ...
狙われた男 | 2021.12.10 Fri 11:16
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