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地下通路を歩いていた。湿気と黴、すえた臭い、淀んだ空気。でかい屋敷だとは思ったが、義母の実家の下にこんな空間があったとは。先を行く老婆は見るからに齢八十を超えており、ごつごつした石だらけのトンネルをすいすい進む様はどこか妖怪じみている。彼女の持つカンテラ型の懐中電灯が、格子状の木組で補強された岩壁を照らす。私は取り残されぬよう必死についていく。 突きあたり、赤黒く錆びた鉄の扉。両開きで腰ほどの高さしかない。老婆は扉を少し開き、前に掛かっていた紐を外した。屈んでくぐるとなかは意外に広い。 ...
水平線上の雨 | 2022.10.19 Wed 23:59
JUGEMテーマ:小説/詩 この理不尽さ加減はどうだろう。 前述の、その暴挙の中で、私の脳裡にまた別の想いが生まれたのだった。 ――こいつは、俺に“供養”をして欲しいのではないのか? そう。 この足は、私を頼って、頼りにして私の前に(というか正確には背後にだが)現れたのではないのか。 私に何かしら依頼したくて、期待を込めて、こんな風に蹴り続けることで訴えかけてきたのではないのだろうか。 なるほどそれならば、そうであると考えるならば、塩を撒くなどもっ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2022.10.07 Fri 20:47
あれもいらない これもいらない 同行はふたりでいい 帰国をうながすこえはきこえる それは常識にとらわれること むかうさきは修羅でよい そこであえるのだろうから そこで愛せるだろうから さしてさきのある生ではない かぎられたもの おわされたものだ ただまにあうのか そればかりがきがかりだ 愛児はあのひとにゆだねればよい まさにみひとつ あれはいらない これがいらない
with a kiss, passing the key | 2022.10.02 Sun 00:00
とある動画を観て、『雪乃が最初に書いた小説って、どんなだったかなぁ』と考えてみました。………そんな感じの動画でして(笑) 雪乃が本格的に小説を書き始めたのは、ぴくを始めた少し前………だったかな?その時に書いたオリジナルの小説は、過去に描いた漫画のスピンオフでした。過去に記事にした作品なのですが、とある帝国の実験体とその保護者のお話三本の中の、『男前でおっぱいのついたイケメン女性と天邪鬼で毒舌厨二病な少年』のストーリーです。 いちおう最...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2022.09.28 Wed 23:38
JUGEMテーマ:小説/詩 この理不尽さ加減はどうだろう。 足は、私の腰をさっきから蹴りつづけている。 いつからだろう。 いや、腰を蹴りつづけられているのがではなく、この、足が私にとり憑いているのは。 きっかけは何だったか。 バグか。 ウイルスなのか。 もしかしたら、エロ動画を堪能した報いの―― と、そんなことを布団の中で横向きに寝転んで考えながら、私は腰を蹴りつづけられている。 随分と余裕たっぷりに対応できるようになったものだ。 ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2022.09.26 Mon 15:53
JUGEMテーマ:小説/詩 「なんなんすかねえ、あのおっさん」結城が建物に向かって歩きながら口を尖らせる。「本原ちゃんが怒るのも無理ないよ」 「ははは」女型依代の天津は元々の天津と同様に苦笑した。「まあ、いろんな人がいますから」 「申し訳ございません」本原が謝った。「神さまに対して、あまりにも許し難い行為だと思ったので」 「いえいえ」天津は歩きながら手を振った。「ありがとうございます」 「ああいう人間に対しても、神は感謝を抱くのですか」時中が質問する。 「はい」天津は淀み...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2022.09.22 Thu 16:37
彼女はわかっていた。彼が、自分になんて恋愛感情を微塵も持っていないことを。 そりゃそうだ、と思う。私なんて、単なるクラスメイト。まぁ、“クラスメイト”よりは仲はいいとは思うけれど、でもそれだけ。そこに恋愛感情があるかと言われたら、誰が見たってNOだと思う。 でも、それで良いと思っていた。今まで通り仲良く話せて、たまにどこかに出掛けてご飯でも食べて遊んで、彼が自分のことを『遊んでいて一番楽しい相手』と思ってくれれば僥倖だって。 人間は、欲張りだ。 一度満たされたとし...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2022.09.18 Sun 22:22
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