[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]
追い詰められた男が葉巻に火をつけ、咥える。煙を吐き出して不敵に笑う。銃声。 水底のように薄暗い部室でシュノーケル音が三つ漏れていた。陸は端末に映る映画をぼんやり眺める。左に座る海は電子本の頁を手繰り、右の空は長机に突っ伏している。 「陸、それ面白い?」海が問う。 「普通」 「なんか面白いことない?」 「ない」 「そういえば」空が伏したまま呟く。「B組の森と原、付き合ってるだろ」 「嘘、原さんタイプだったんだけど」と海。陸が、はいはいと適当にあしらう。 「あいつら二人で〈鼻〉外したらしい...
水平線上の雨 | 2021.06.13 Sun 23:01
JUGEMテーマ:小説/詩 PCにてメールチェックをする。 マウスから手を離し、うん、と腕を上に伸ばして伸びをする。そのまま少しの間、天井を見つめる。 またPCに眼を戻し、社内SNSの新着記事を確認する。 マウスから手を離し、上体を左右に捻る。そのまま少しの間、窓から見える外の景色――会社は中心街から電車で小一時間近く離れた地区にあるので、窓からは低めの山とその麓の竹林が見える――を見つめる。 またPCに眼を戻し、取引先企業のWEBサイトのトピックスを拾い読みする。 マウス...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2021.06.06 Sun 17:38
JUGEMテーマ:小説/詩 新入社員たちは地道にこつこつと、またこつこつと、岩壁を叩き続けた。皆の口から出る言葉は、元からそう多くあるわけではなかったが、それでも次第にますます減ってゆき、ついには こつこつ こつこつ こつこつこつ という音だけが、宇宙開闢のときから未来永劫に到るまでただその音だけがこの世界にあったかのように、耳と、脳と、全身とに感知され続けた。 だが遂に、そこに変化が現れた。 がらっ それはそういう音だ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2021.06.01 Tue 18:06
彼女は、何も知らなかった。 それが自分に、何をもたらしてくれていたのかも。それが自分を、どう思っていてくれていたのかも。 確かにそれは、彼女にとって恐怖以外の何物でもなかった。見た目も、物言いも、考え方も、人のそれとは一線を画していたから。 そう、それは人間ではなかった。 その正体は最期までわからなかったのだけれど、それでも唯一断言出来たのは『それは人間では決してない』ということだった。 他人の生命など何とも思わず、その姿にともすれば自分もいつかそれに滅されるのではないか...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2021.05.30 Sun 23:47
『悲しみの時計少女』を、ようやく読み終えることが出来ました!! 前々からずっと欲しいと思っていたけれど、なかなか入手することが出来ずにぐぬぬしていた小説。先日ようやく執念で手に入れてはいたものの、読む小説がたまっていたのでそちらを読み終えてから読んだのですが、面白すぎて速攻で読み終えちゃいました。 ラジオドラマで内容は知っていたのですが それでもページを繰る手が止まらなかったです 著者はシンガーソングライターの谷山浩子さんで当ブログでも何度も書い...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2021.05.27 Thu 23:37
はじめまして。 または、いつもご訪問いただきありがとうございます。 成長中の女小説家です。 どうぞよろしくお願いいたします。 販売中の小説を、どうしてもたくさんの方に読んでいただきたく、 原稿の一部をこのブログでも紹介することにしました。 全編はnoteで販売しておりますが、 部分的にお読みいただいても楽しんでいただけるよう工夫しております。 無料部分の他は想像で補っていただく楽しみ方も、良いかと思います。 が、もしも気に入っていただ...
小説『廃屋の画家』を書いた人 | 2021.05.26 Wed 21:46
卯の花の 匂う垣根に 時鳥 早も来鳴きて 忍音もらす 夏は来ぬ 五月雨の そそぐ山田に 早乙女が 裳裾ぬらして 玉苗植うる 夏は来ぬ 橘の 薫るのきばの 窓近く 蛍飛びかい おこたり諌むる 夏は来ぬ 楝ちる 川べの宿の 門遠く 水鶏声して 夕月すずしき 夏は来ぬ 五月やみ 蛍飛びかい 水鶏鳴き 卯の花咲きて 早苗植えわたす 夏は来ぬ 唱歌「夏は来ぬ」 佐佐木信綱作詞・小山作之助作曲 どこかの大きな古い木の家の暑い縁側、寝転ぶ四歳の男の子。汗だくの体を...
小説『廃屋の画家』を書いた人 | 2021.05.26 Wed 20:29
全1000件中 571 - 580 件表示 (58/100 ページ)