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JUGEMテーマ:小説/詩 二つの手紙を手に入れた。一つは今年2月中旬、もう一つは3月上旬、──警察署長に送られたものだ。今から説明する。 第一の手紙 ──警察署長様、まず何より先に、私の精神状態は良いと信じて下さい。神や仏、神聖な全てに誓います。なので、どうか私の精神に異常がないと信じてください。そうしないと、この手紙が無意味になります。私は何に苦しんで、こんなに長い手紙を書くのでしょう。 私は切羽詰まっています。困っています。某宗教が私達を集団で尾行し...
Japanese Book Report:-) | 2023.03.24 Fri 22:28
つ、とその丸みを帯びた柔らかそうな頬を流れた一筋の涙に、彼の心はずきりと痛んだ。 きっと、多分。今の自分の姿を見たら、彼女は泣いてしまうだろうと思った。それは、彼の本意ではなかった。出来ることなら、泣いてなんてほしくなんてなかった。 でも、多分。このまま自分がどこかに消えたら、きっと彼女は泣くだろうとも思っていた。それも、彼の本意ではなかった。どっちにしても泣いてしまうのなら、自分の見ているところで泣いてほしかった。 「ごめん」 我知らず、口からは謝罪の言葉が溢れ...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2023.03.21 Tue 23:51
JUGEMテーマ:小説/詩 「先輩お疲れっす」後輩の仁科が声をかけてきた。「ここ、いいですか?」ベンチに座ってコンビニ弁当をつつく亜一郎の隣を指差す。 そこは会社のすぐ近くにある公園で、仁科もコンビニの袋を提げていた。 「ああ、いいよ」亜一郎は箸を止め、頷いた。 仁科は亜一郎の隣に座り、唐揚げ弁当を膝上で開いた。 弁当を平らげた後もしばらく、近況報告や、半分は社交辞令であるところの飲み会提案などしつつ男二人隣り合わせで語り合っていたが、不意に、 「営業...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.03.20 Mon 09:00
JUGEMテーマ:小説/詩 会社に向かいながら、亜一郎はいまだともりゅんのこと――その本質、その行動、その結果、その笑顔――について、考えを巡らせ続けていた。 ――そうか。彼女は、“ロボット”では、ないんだ。 いつホームに電車が到着したのか、いつその車輌に乗り込んだのか、まったく意識に残っていないまま、亜一郎はそう思いついた。 ――だから、コマンド以外の……それ以上のサービスを、彼女自身の判断で、行うことができたんだ……何の、誰からの何らの命...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.03.14 Tue 16:34
JUGEMテーマ:小説/詩 翌朝も端末は、ゆっくりと緑色のランプを点滅させていた。 まだ完全に開いていない目で、画面を見下ろす。 『おはようございます 何かご用はありますか?』 という表示が出ている。 「おはよう」亜一郎はもごもごと挨拶した。「コーヒー入れてくれる?」 『おはよう コーヒー はい ただいま』記述が出る。 玄関のドアホンが鳴ったのは、その五分後だった。 「早いな」スラックスを履き終えたばかりのところだった亜一郎は、つい、着替えが間に合...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.03.05 Sun 12:33
JUGEMテーマ:小説/詩 「あはははは」バーチャル嫁ともりゅんは間髪を入れずに爆笑した。「なにその、何か企んでそうな呼び方は」 「ええ?」亜一郎はつられて笑いながらも軽い混乱に陥った。「ええと、あはは、と、ともりゅん」 ともりゅんはじっと亜一郎を見つめる。 「――さま」亜一郎はたまらずつけ足す。 「あはははは」ともりゅんはさらに爆笑する。 TVからは法廷ドラマのエンディング曲が流れ始めた。 「あ、終った」亜一郎はTVの方に顔を向けた。「結局あんま観なか...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2023.02.28 Tue 17:52
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