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JUGEMテーマ:小説/詩 鯰(なまず)は、水の中に体を沈めた。丁度よい頃合に濁った水だ。鯰はこのくらいの濁り加減が好きだった。その水の濁り具合は、鯰の元いた場所を思い出させる。その場所を、何と呼べばよいのだろう。冥界? カオス? 天地開闢のはじまりの海? 「だいたいさ」ともかくも鯰は体をうねらせながら、また独り呟いた。「性格占いを血液型に固執するのとか、そうだよね。よりシンプルな形式に収束して、簡単に分かりやすい方に持っていこうとする。そーんな単純なもんじゃないのにさ」濁り水の...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2021.04.04 Sun 09:15
おんながしんだ みなみにむかう途上だった べつのみなみからきたおんなだった いずれもおんなのふるさとではない だが、彼女のおもいではみなみにしかなかった みとったのはあかのたにんばかりだった かれらは当然であるかのごとくてあつくほうむった おんなにはおとこがいた が、そのおとこは否定している つまでもむすめでもない そこまでかたってきたかたりべはそこで倦いてしまった もう充分でしょう、そういわんばかりだ しかし、それは彼女ならではのやさしさのあらわれなのかもしれない めのまえのたきびに...
with a kiss, passing the key | 2021.04.04 Sun 00:00
昔描いたイラストや漫画というのは今見ると悶えたくなるくらいに未熟さが際立って見えますが、文章だと若干感じ方が違うような気がします。 未熟棚と思うのは思うのですが、何というか…その時に使いたかった言葉とか、その時に書きたかったこととか、そういうのが如実に現れていて………言葉にするのは難しいな…こう、未熟ではあるものの当時の方が結構書きたいことを上手く書けていたな、という気もしております。 昔は自分の表現方法を広げる意味もあってぴくの小説企画に色々と参加していた...
雪乃に!サイコロ振らせろ!! | 2021.04.01 Thu 23:57
JUGEMテーマ:小説/詩 「ちきゅう?」結城が唇を尖らせて大きく繰り返す。「地球って、我々が住んでるこの」足下に向け何度も人差し指を突き下ろしながら叫ぶ。「ぼくらの地球?」 「――」天津は少しの間視線をさ迷わせたが「ぼくらの、と思っているのは結局、ぼくら側の方、なんですよね」と、結城のものと比べれば砂粒ほどの声量で答えた。 「つまり我々がイベントによって岩盤を開くための許しを乞うのは、地球に対してというわけですね」時中は質問を続けた。 「はい」この問いに、天津と木之花は揃って頷いた...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2021.03.27 Sat 22:33
JUGEMテーマ:小説/詩 「つまりリソスフェアの下部にはアセノスフェアがありアセノスフェアの下部にはメソスフェアがあります。リソスフェアを作るのがプレートというものでこれはアセノスフェアの対流に乗って水平運動をしている、というのがいわゆるプレートテクトニクス理論です」 天津はホワイトボードに描いた「地球の内部」の図を手で示し指で差ししながら三人の新入社員に説いた。 「テクトニクス論には他に、プリュームテクトニクスというのもあります。これはマントルの動きについての論で、マントル深...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2021.03.20 Sat 22:36
コロナ禍の暮らしが長引いています。先ほどは小池都知事が若年層、若い女性の自殺率が高くなっているとの情報を知って、東京で一人暮らしをしていた身としてわがことのようにも感じます。少し前には都の生理用品の無料配布にも長い列ができたと知ってこれは大変なことが起きていると直感しました。これから東京都はCMを流して一般人が声掛けして支えあうようにしようと動くみたいです。僕は現在アーティストとして過去に東京に傷けられた身として、弱っている人間、基本的な暮らしができていない状態では、大都市とは巨大な悪魔のよう...
誰でもないものの「区域」 | 2021.03.19 Fri 15:44
ぬきみのそれをさかてにかるくのせ いのるかのようにかかげ ひとみをとじる そのとき つかのさきはかろく ひたいに あたかもそんなそぶりが必要なのは つげてささげる対象がみいだせないからだ さもなければ、わがみをゆだねるべきそのあいてか そしてどうする いや なにも きたるべきものはいずれくるのだろう なさねばならぬものは いやでも なされねばならぬ そう だからこそ それらがなんであるのかはじつはわからぬ わからぬがゆえに かくごばする そのために おのれに じっと うちなるおのれだけに あいむかう...
with a kiss, passing the key | 2021.03.14 Sun 00:12
JUGEMテーマ:小説/詩 「許し?」 「許し?」 「許し?」 三人の問い返しが珍しくもまったくシンクロした。 「はい」木之花が頷く。 「許しって、誰の?」結城が目をまん丸くして訊く。 「洞窟の神様?」本原が真顔で訊く。 「――」時中は無言で小鼻に皺を寄せる。 「一言で言い表すのは難しいです」木之花は微笑みを維持したまま、変わらず静かに答えた。 「どうして?」結城が問う。 「洞窟には」木之花はゆっくりと瞬きをした。「神聖なる存在が数多く棲んでいます」 「神聖なる」時中が呟く。 「存...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2021.03.13 Sat 23:51
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