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小説/詩

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小説/詩
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魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 65

JUGEMテーマ:小説/詩    翌日、私は父と母といっしょに――父はけっきょく、母の箒のうしろに乗っていくことになった――聖堂へと向かった。  大工と、聖職者と、キャビッチスロワーを百人ずつ――フュロワ神のいいつけどおりに、たくさんの人びとが集まってきていた。  もちろん全員が聖堂の庭に入れるわけもなく、その周囲の道の上、つまりキューナン通りに、集められた人びとはあふれかえっていた。  それにしても、すごいなあと思う。  たった一日――いや、半日で、みんななにもうたがうことなく、神の...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.03.27 Fri 10:08

葵マガジン 2020年03月21日号

JUGEMテーマ:小説/詩   ◇◆◇◆聡明鬼◆◇◆◇ 第92話 最期(全100話)    風の音を、予測していた。  天心地胆を抜け陰陽界に入れば、いつものごとく風の音が聞えるのだろうと。  だが此度、それは聞えなかった。  否、聞えていたのかも知れないが、スルグーンの耳には届かなかったのだ。  何故ならば、そこには鬼どもがひしめき合っていたからだ。  鬼どもが、ぎゃあぎゃあと喚き声を挙げて我先に陽世へ抜けんと押し合いへし合いしていた。  スルグーンは翼を広げ、鬼どもの頭の上にするりと...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.03.27 Fri 10:07

今という時代に。

JUGEMテーマ:小説/詩   尖っていた。 誰もかれもが若かりし頃に、何かにもがきながら   青春の日々、怒涛のような悩みの日々なのに笑いに興じていた。 カッコよく煙草を吸いたかった、アイテムという名の煙草。   時に、てめえなんざの顔に吹きかけてもやった煙を 自分でも深く吸い込みながら、チャラつかせる「火」というアイテム。   喧嘩するしか能がない、常にの陣取り合戦。お前より俺が上だろ?なめんなよ?のポーズ。   美学に育まれ、美学の中で生きる。 ...

Jupiter〜夢を失わずに〜 | 2020.03.22 Sun 14:37

詩『いえのなかにある人形:For The House A Doll』

ずっとなにもかわらずによどんでいる それがここを支配している ふえることもないかわりに、なくなりはけしてしない そして、だれもきづかない そうやって、そこでくらしている そして、ふとおもう このそとにはいったいなにがあるのだろう、と これからさきいったいなにがおこるのだろう、と だがじっさいはいたずらにときがすぎていくだけだ ゆめはみることができる しかし、ここでのくらしとさほどかわらない ひがのぼりひがおちる よるにねむればあさにおきる 時間は残酷だ かがみをみるまでもなく、かくじつにとしお...

with a kiss, passing the key | 2020.03.22 Sun 00:00

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 64

JUGEMテーマ:小説/詩    フュロワはにこにこしながら三人のアポピス類を地上に下ろしてあげたけれど、三人はおたがいにしがみつき合ってなかなかはなれずにいた。 「お前ら、この人が神さまだって知ってたか?」ユエホワがラギリス神を(本当に失礼なことに)指さしながらきくと、三人は無言で首を横にふった。 「えっ、知らないの?」私は目をまるくした。「なんで?」 「だって俺たち、ずっと人間界にいたから」ケイマンがぼそぼそと答える。「なにも知らないんだ……アポピス類のことも、地...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.03.17 Tue 10:03

葵マガジン 2020年03月14日号

JUGEMテーマ:小説/詩   ◇◆◇◆聡明鬼◆◇◆◇ 第91話 欺瞞(全100話)  焔を吐く。  左右に、そして上下に頸を振り、魔焔を渦のごとくに撒き散らす。  鬼どもの壮絶な悲鳴が焔の向こう側から轟いてくる。  消し炭と化したその者どもは瞬時に粉となり、焔の熱が生んだ風に散らされていずこへともなく散ってゆく。  背の上に落ちてくるものは揺さぶって振り落とし、尾に掴まろうとするものはそのまま締め上げて龍の頸の硬い鱗にぶつけ落とす。  龍馬たちはそれぞれに、空の天心地胆から降って来る無数の鬼ども...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.03.17 Tue 09:58

詩『逃避行:Escaping From ... 』

わたしをのせた列車ははしりつづけている いま、なすべきはそれを停め、ここからおりてしまうことだ 選択肢はそれしかない そしていく そしてはしる そしてそこへとむかう 身の危険はあるだろう 悪漢におそわれるやもしれぬ やすめる場所もない くうにくえないときもつづく 服はやぶれ けがをしないともかぎらない みちにまよい 所持金はわずかだ いまあるもの いま保障されている一切はきっとうしなわれる だがそこへとむかうしかない 骰子はとっくにとうじられたのだ しかも むくわれるともかぎらない たとえそこにたど...

with a kiss, passing the key | 2020.03.15 Sun 00:00

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 63

JUGEMテーマ:小説/詩   「えっ」私は目をまん丸く見ひらいた。「地母神界にも神さまがいるの?」 「うん。いるよ」フュロワはなにも迷わずまっすぐにうなずいた。「といっても“神”と呼ばれるようになったのはつい最近のことだけどね」 「どういうことだ?」ユエホワが眉をひそめてきいた。「それまでは神じゃなかったってことか?」 「そう」フュロワはまたうなずいた。「鬼魔だったよ」 「ええーっ」私は山火事を発見したときのように大声でさけんだ。 「鬼魔って……アポピ...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.03.10 Tue 21:39

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 62

JUGEMテーマ:小説/詩   「俺ここで待ってるから」ユエホワは肩をすくめて言った。「神たちにこっちに来るよう言ってくれよ」 「なにいってんの」私はまた頭にきて緑髪鬼魔をびしっと指さした。「なんで神さまがあんたのために歩かなきゃならないの」 「歩けとはいってない、ひょーって飛んでくりゃいいだろが」ふくろう型はまた肩をすくめた。「神なんだから」 「そういうことじゃなくて」私は首をふった。 「ポピー」祭司さまがおだやかに私を呼んだ。 「はい」私は返事をして祭司さまを見た。 「...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.03.10 Tue 21:34

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 61

JUGEMテーマ:小説/詩    アポピス類の三人は、人間と見た目は変わらないから、昼日中でも堂々と歩いて通りキューナン通りを抜け、聖堂の門をめざした。  問題はユエホワで、いくら姿形は人間と同じでも、緑色の髪と赤い目、金色の爪で、ひと目で鬼魔だとわかってしまう。  なのでこんな明るい日中には通りを歩けない。 「だからってなんであたしとならんで飛ぶの?」私は眉をひそめ箒にまたがりながらきいた。 「おばあさまのいいつけだろ」ユエホワは私の横を自力で飛びながら答えた。「俺をよくよく...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.03.10 Tue 21:27

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