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JUGEMテーマ:小説/詩 そして夜になった。 祖母は、いつもと同じように過していればいい、といったけれど、やっぱり皆そうもいかなくて――私もふくめて――なんとなく、リビングから出て行けずにいた。 ソファにすわる者、床の上に直接すわる者、窓辺にたたずむ者、皆それぞれに、不安そうな顔でだまりこくっている中、祖母はとくに不安げでもなく、刺繍をしていた――そう、私と母の服の刺繍だ。 「美しいでございますですね」祖母の手もとを見てそっとそういったのは、サイリュウだった。「どなたのお召...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.01.30 Thu 23:05
JUGEMテーマ:小説/詩 ◇◆◇◆聡明鬼◆◇◆◇ 第84話 問答(全100話) どうやって戻ったのだろう―― 目醒めて最初に見えた天井をじっと見つめながら、リューシュンが最初に思ったのはそのことだった。 どうやって――そこが山ではないこと、さっきまで自分が山にいたこと、山に行く前は陰陽師マトウの邸にいたこと、それらは鬼の頭の中に残っていたのだ。 だがその山から、今またマトウの邸――この天井はそこのものだ、それも頭に残っている――に戻ってきているが、その間のことを覚えていない。 ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.01.27 Mon 11:24
JUGEMテーマ:小説/詩 ディナーのとき、祖母は「でも、まさか本当に四日以内に呪いが解けるとは思ってなかったわ。ほほほほ」と、楽しそうに笑っていった。 「えっ」私はミートパイをほおばるところを止めた。「じゃあ、何日で解けると思ってたの?」 「うーん。それはまったくわからない」祖母は首をふった。「そうとしか思っていなかったわ」 「あの」ケイマンがおずおずとたずねた。「もし、ほんとうに四日で解けなかったら、ぼくたちはほんとうにずっとここに住むことになってたんでしょうか?」アポ...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.01.21 Tue 22:30
JUGEMテーマ:小説/詩 ◇◆◇◆聡明鬼◆◇◆◇ 第83話 喪失(全100話) 「ムイ、だと」テンニは瞬きもせず、リューシュンの手の中の甕を凝視した。 「ああ、そうだ。ムイだ」リューシュンもじっとテンニを見る。 「――」 元降妖師は、しばらく言葉を忘れたかのように黙り込んだが、やがて口元をにやりと広げ、肩を揺すり始めた。 「くく、くくくく」 「何が可笑しい」リューシュンは甕を持ち上げたまま、訊く。 「ムイか」テンニは肩を揺すって笑いながら言った。「それで儂のこの体が元に戻るとい...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.01.21 Tue 21:36
JUGEMテーマ:小説/詩 此夕溪山對明月,不成長嘯但成嗥 このゆうべ けいざん めいげつに むかい ちょうしょうを なさずして ただ ほゆるを なす 今宵 山谷の中 名月に向かい 声 長く引き 歌うこともできず ただ むなしく吠えるだけ 迷子の迷子のお巡りさん わんわん
「今は廃墟の懐かしい場所」 絵と漫画制作 | 2020.01.20 Mon 14:11
JUGEMテーマ:小説/詩 『喰らえ、取り敢えず』 ただ今、無料キャンペーン実施中です。 1月22日まで、単品でも無料でお読みいただけます。 1月23日以降も、Kindle unlimited読み放題でお得にどうぞ! 長編SFコメディ……というか、ギャグです。 黒ネタ満載。 スプラッタあり。 エロは無し……あ、若干さわり程度には。すいません。 葵 むらさきの著書
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.01.20 Mon 12:19
笑顔をひょうするくちもとの そのはじにうすく歯がのぞいている りょうの目尻はじゅうぶんだが それにささえられるまなこはつめたい そのひとからこぼれるのはうらみごとばかり だけれども だからこそ かちえるのはきくもののわらいばかりだ つまり道化にてっしているのである だれも本心はわからない だれも正直にはかたらない そのひとはそれでまんぞくしているのだ おのれの過去の失態をおもしろおかしくかたり すくなくともその場のだれひとりきずつかない すべてはなごやかにはじまり そして なごやかにおわ...
with a kiss, passing the key | 2020.01.19 Sun 00:00
JUGEMテーマ:小説/詩 君に支えられし日々を忘れない。 君が支えてくれる己に それほどの価値があるのかと 自己に問うてもわからないくらい 何のものでもなかった我に 差し伸べられし手の温かさと潔さに いつかの恩返しを誰かにするべしと誓った 恩は流れて 我から誰かへと 受けた恩を先へつむいで成り立ち 我は君にひたすらに感謝の思いで そう、感謝の思いなんだ 他者のために剣をふるう 守りたい誰かのために ひたすらに 迷...
Jupiter〜夢を失わずに〜 | 2020.01.16 Thu 12:20
JUGEMテーマ:小説/詩 ハピアンフェルは、しばらく何も言わなかった。 私もそれ以上のことは言えずにいた。 「そうかも知れないわね」やがてハピアンフェルが、小さな声で言った。 私はハピアンフェルをちらりと見た。 「けれど、たいがいの大人は――そうね、何十年も前には、いまのあなたと同じような、つらくて苦しい思いを抱えていたのよ」 「――」私は顔を上げて、ハピアンフェルをちゃんと見た。 「大人は年をとるにつれて、昔のことを忘れていくと思われがちだけれど、そんなことは決し...
葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.01.16 Thu 05:16
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