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小説/詩

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小説/詩
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詩『アルラウネ:Alraune, A Woman』

月のよ、おとこがひとりとびおりた 彼女はしっている あめのあさ、おとこがひとりぶらさがった 彼女はしっている ひるともなれば、銃口をくちにくわえ、ゆうがせまれば、錠剤をいくつも嚥下する そうしてひとり、、またひとりといってしまう そのさまをじっとみまもるのが彼女だ 物語はそれでおわる 彼女はふしぎにおもう あのおとこたちはどこからきたのかと そして、さらにおもう そのためにそれまでかれらはいきてきたのだと 彼女は生も性もしらない 死、終焉のそのときだけをしっている

with a kiss, passing the key | 2020.05.03 Sun 00:00

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 70

JUGEMテーマ:小説/詩   「それで、このあとどうするの?」母が祖母にきいた。「妖精があらわれるまでずっとここで待つつもり?」 「いいえ」祖母は肩をすくめた。「どうやら粉送りたち、もうこの森の中にはいないようだから、場所を変えるわ。でもせっかくだから、ひとつやっておきたいことがあるの」そう言って祖母は、肩からななめにかけてある小さなバッグの口をあけ、中をのぞきこんだ。  ハピアンフェルがその近くに、ふわりと降り立つ。 「出ているわ」祖母がそっと言い、ハピアンフェルを見てにこりと笑う...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.04.28 Tue 13:22

葵マガジン 2020年04月25日号

JUGEMテーマ:小説/詩   ◇◆◇◆聡明鬼◆◇◆◇ 第97話 血の色(全100話)    他のどの鬼の姿も、眼には入らなかった。  その眼に見えているのは唯一足、刀を手に素早く移動し続けるテンニのみであった。  リューシュンはその姿を追い、焔を噴いた。  だがもどかしいことにテンニはいつも寸前でそれをかわし、不敵な笑みさえ浮べながらリューシュンから遠ざかる。  リューシュンは怒りの咆哮を挙げ、テンニを追い、焔で襲った。  その焔がテンニ以外の鬼どもを焼き殺そうとも、今のリューシュンに...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.04.27 Mon 11:58

詩『案山子:A Scarecrow』

みるともなくながめていた 車窓 そこにうつるのは田園 まさにそれだ みどりとあおの階調 そこにときおり朱や橙がまじる なにもない そうおもう これまでも そして これからさきも そこに くろいかげが不意におそう ほんの一瞬の出来事だ ふりかえっても とっくにみえない みちはまっすぐで 加速するばかりなのだ そのはやさとともに わすれさってしまえばいい だってみえないのだもの だってここは2度とこないのだもの でもずっとしこりとなってのこっている 不安とはそういうものだ 1点のようなちいさいもの それが次...

with a kiss, passing the key | 2020.04.26 Sun 00:00

魔法野菜キャビッチ3・キャビッチと伝説の魔女 69

JUGEMテーマ:小説/詩    かぐわしく香る色とりどりの花にはたちまち実がなり、花びらはおしげもなくはらはらと散り落ちていった。ああ、とため息をもらす人もいた。私も、こんなにあっという間に散っちゃうなんてもったいないなあ、と思った。 「フュロワ神が、時間を早くまわしているんだろうね」父がつぶやく。 「えっ」私はおどろいた。「時間を?」 「そう。花たちの時間をね」父がにっこりと笑う。「ぼくたちがあっというまに老人になったりはしないと思うから、だいじょうぶだよ」 「そうなんだ」私は少し...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.04.21 Tue 14:31

葵マガジン 2020年04月18日号

JUGEMテーマ:小説/詩   ◇◆◇◆聡明鬼◆◇◆◇ 第96話 夢祓え(全100話)    いくつかの種の植物には、悪夢を取り込むという力がある。  そういった植物の枝葉を用いて、人形を作る。  マトウは小さな紅い実をつける植物を好んで使った。  その小さな丸い実を、まるで眼のように人形の頭のところに刺しつけるのだ。  マトウはそれをする際、無論言葉もなく真面目くさった貌でやっていたのだが、リシは内心、つい笑いそうになるのを必死で耐えなければならなかった。  人形に、わざわざ眼をつける...

葵むらさき言語凝塊展示室 | 2020.04.21 Tue 14:14

溶解 11

「もうー、お姉ちゃんったらー。両親もー。」 「あはははは!」 「・・・笑っていいのか悪いのか、判断に迷う・・・。」 「・・・思い出したらおなかが痛い・・・。・・・でも・・・、そっか・・・。そうなんだ・・・、じゃあ・・・えっと・・・、バッグに入れてきたかな・・・。車の中だっけかな・・・。あ、バッグの中にあったあった。」  ・・・  お姉ちゃん、バッグの中から大事そうに小さい紙の袋を出すと、神妙な顔をして、私に差し出した。  ・・・ 「はい、これ。・・・今見てもいいし・・・。後で...

碧海 | 2020.04.19 Sun 16:43

溶解 10

「えへへ・・・。また泣けてきちゃった・・・。」 「・・・いっぱい泣きなよ・・・。一番つらかったのは奈津美なんだから・・・。よく耐えたよね・・・。」 「・・・ううん・・・。お姉ちゃんとお父さんとお母さんの方がつらかったよ・・・、絶対・・・。あたしなんか当事者なんだから・・・、耐えて当然だよ・・・。全然だよ・・・。」 「・・・そんなことないって・・・。」 「・・・3人がそばにいてくれたから・・・心強かったし乗り切れた・・・。耐えられたのは家族のおかげだから・・・。でも・・・、お姉ちゃん...

碧海 | 2020.04.19 Sun 16:17

溶解 9

「違うよ!捨てたんじゃなくって、生かしただよ!・・・」 「うんうん、ほんとそうだよね・・・。ほんとにそう・・・。お姉ちゃん、言ってくれたよね・・・あの時も・・・。」 「・・・」 「・・・」 「・・・」 「・・・諒ちゃんね・・・、まーちゃんの結婚式の次の日・・・、私にそういうこと・・・、ぼかしてだけど・・・、知ってたって・・・打ち明けてくれたの・・・。」 「・・・」 「・・・そしてね、そっと労わるように・・・手を握ってくれたの・・・。」 「・・・」 「・・・私、なんかもう泣...

碧海 | 2020.04.19 Sun 15:53

溶解 7

「・・・奈津美・・・。二階でちょっと寝てきなさい!熱がある顔してる・・・。」 「ぶっ!・・・だから、違うって!元気だってば!お姉ちゃん、心配性!それより、お茶入れるね!コーヒーが良い?」 「あ、そだね・・・、お茶にしようか。・・・飲んだらまじでお昼寝したら?飛行機、疲れたでしょう?・・・って、亜沙美と一緒だね!お茶、昼寝、夕飯コース!」 「言えてるー!」 「あたしがお茶用意するから、あんた、ここでマッサージでもしてなさい。」 「はーい、わかりました!よろしくお願いします。」  ・...

碧海 | 2020.04.19 Sun 15:14

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