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平田繭子『句集 合歓母郷』(牧羊社)より

    1989年。 「風樹」同人。第一句集。 嬰の歯の乳房にふるる合歓の昼 喪帰りのたもとの重き葛の風 ひとり居の膝をかかへて雪をんな 春寒や鶏肉に毛ののこりをり 花明りして石仏に母のかほ 山の日を水車が廻す遅日かな 秋冷の門とざされて女人寺 流燈をはなせし闇の深さかな 一掬の水に日の散る紅葉寺 葬列をひとりはなれて寒椿 春雷や眼の罅割れし仁王像 石磴に日の坐りゐる昼の虫 息止めて闇へ打ち込む除夜の鐘 夫の居ぬ一夜紅つく青林檎 落人の屋根の合唱法...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.09.28 Sat 23:03

片岡めぐみ『句集 平城山』(ひこばえ社)より

    昭和63。 「ひこばえ」同人。第1句集。 ゆく年の平城山を越ゆ鐘のこゑ 鳥雲に青春の書の革表紙 冬芒てのひらほどの湖光る ひと言でこと足る夫婦柿を剥く よき顔となられ日向のちやんちやんこ 万緑の底に眼鏡をはづしをく 顔が出て手がでて大根掛けらるる おだやかな三日も過ぎて夜の雨 土に還る母に故郷の雪の丈 風花や父の遺愛の革命書 抱かれ児の粽むんずと摑みけり 野の花を束ねて母の日の夕べ マッチ箱のやうびつしりと梅雨の雨 流燈のかなた生活...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.09.21 Sat 22:29

右城暮石『句集 上下』(四季出版)より

  昭和61。 第2句集。 干し布団厚きは稀の客のため 草矢よく飛びたり水に突きささる 曼殊沙華咲くほか何も無きところ 風邪の牛ごぼごぼ減らす注射液 一身に虻引受けて樹下の牛 万緑に坐せし新聞凹みしまま 氷菓売る老婆に海は無き如し 人声の稀に落ちくる蟻地獄 恵方神多し日本の神多し 裸に取り巻かれ溺死者運ばるる 氷かく音もう山を下り来て 作業帽作業服にて鯊を釣る 入学の少年母を摑む癖 新雪を来て返しゆく郵便夫 蟻地獄まことにしづかなる地獄 養老の...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.09.08 Sun 22:33

7/9 小田原吟行

今回は大遠征で小田原まで行ってきました。 あまり作句のことばかり考えていると楽しめないので、今回は物見遊山して、句は後日提出という形式です。   まずは駅前で食事をして、小田原城に向かいます。     小田原城は蓮の咲く堀や紫陽花の名所でもあります。ミニSLなども走ってました。       そのまましばらく行くと海に出ます。     バンドのCDジャケットのような写真が撮れました。 そのあと、無添加で有名な干物屋さんにお土産を買い...

小金井句会記 | 2019.09.06 Fri 23:52

岡本多可志『句集 熱気球』(邑書林)より

    1993年。 「木語」同人。第1句集。 団栗を拾ふ背中に又団栗 夕焼を掬ひて水車廻りけり 毛糸玉転がつてより猫のもの 春以外立入禁止花菜畑 春服の少女道々よく話す なぞなぞの降参ばかり鰯雲 秋空へ光る鏡や引越しす 白萩を風と見るまで呆けをり 着水の一気に鴨の池となる 鴨川へなだるるさくらさくらかな 十弁を重ねて軽し白牡丹 のけぞつてやりすごしたる鬼やんま 曼殊沙華播但線を浮き立たす 新涼や長き定規の透きとほり 葉桜のくだんの川となりにけり ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.08.31 Sat 22:13

玉置仙蒋『句集 吉野川』(鳥影社)より

    昭和59。 「かつらぎ」同人。第1句集。 桜鮎光りつなぎてのぼりくる 髪ほつれ顔匂ふ夕遍路 麻雀の裸四つの明易く 金剛の滝は行者の衣かな 狐火や双娘斉しく化粧せり 丸木橋影が躍つて渡られず 蠛を息で払ひて鎌を研ぐ 岩清水よろこぶ喉の仏かな ふはふはと滝溯る深山蝶 歩成つて王を攻めたつ端居かな 翡翠の潜るいづこに浮かぶかと 掌を脱けて鰻は店を逃廻る 自惚のやがてがくりと初句会 いつまでも見習士官霊祭 上座して尻こそばゆし生身魂 鯥...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.08.27 Tue 23:25

波多野爽波『句集 一筆』(角川書店)より

    平成2。 「青」主宰。第4句集。 春着の娘骰子投げて渡すとは 一八のほかにはこれといふ花も 脇息に倚れば直ちに牛蛙 墓参ほめられし句を口ずさみ 次なる子はやも宿して障子貼る 雲ケ畑大きく洟をかみ捨てぬ 行々子殿に一筆申すべく 浴衣干すあたりが隣との境 手が冷た頬に当てれば頬冷た 雑巾を干して帰るや弓始 卒業のまつすぐ馬場に来てゐたり そのむかし書生部屋とか釣忍 席替へてここはふつくら夏座布団 五山の火燃ゆるグランドピアノかな 犬入院猫退院の...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.08.20 Tue 21:48

山本歩禅『句集 森の鹿』(私家版)より

    昭和59。 「かつらぎ」同人。 群羊のねむるはいづこ月の原 外套を脱げば胸なるクルスかな 地を蹴ればはや天のもの寒鴉 子を負へば耳に舞ひをる風車 涅槃図はひろびろと目のとどかざる 泉あり遠き神代に恋ありき 炎天に即して松のいさぎよし 学問の純粋を恋ひ落葉踏む 桜貝かざせば空の広さかな 葛湯吹きつつも渡独のこと思ふ うるはしき五月ハイネもかく詠みき かの古城葡萄黄葉の丘を統べ 胸の辺にとまる夜の雪とまるまま 雪霏々として殉教者フスの像 囀の...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.08.14 Wed 22:35

杉本雷造『句集 昨日の翳』(卯辰山文庫)より

    平成3。 「頂点」代表同人。 第3句集。 老梅を撫でれば眼窩ありにけり 手を拍(う)ちて雪が降りだす伊賀の里 仏顔のすこし見えたり凍雑巾 絵日傘をゆっくり廻す爆心地 流星のあとの暗がり水子塚 北枕してよく見える紅葉山 いちまいの経木となりて囀れり 赤ん坊の熟睡(うまい)のつづき鳥交る 秋の雨ふっと千人針が顕(た)ち のどちんこ見せては嘆く盆の家 海鼠を噛む私のなかの他人なり 十指みな耶蘇名が欲しき寒茜 垂直の影と歩いて降誕祭 倒立のイエスを...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2019.07.23 Tue 21:58

6/18 ギャラリー双句会

  だいぶ間が空きました。   六月は梅雨でなかなか吟行もいけないだろうということで「雨」をテーマに句を作り持ち寄るという形で句会を開きました。 しかし六月は思ったほど雨が降らず、七月になってから雨続きになってしまいました。   ◆慧   我一人静かにおりる雨音を聴く   雨の雫苔の粒子も芽吹くかな   石が映え緑が映える文月の雨   滲むる雨屹っと立つかな紀元杉   雨の中屋久杉立つよ鹿跳ねる   屋久杉に篠つく雨...

小金井句会記 | 2019.07.22 Mon 09:36

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