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石田郷子『句集 万の枝』(ふらんす堂)より

  2024年 「椋」代表 「星の木」所属 第4句集   待春の風の眩しさただならず   さを鹿の食みゐる草の尖りかな   戸袋に戸がぎつしりや昼の虫   畝高く立ててあり春待つてをり   引き上げて緑映れるプルトップ   手庇のしばらくとらへ春の鷹   見られつつ飛んでくるなりあぶれ蚊は   冬麗や昨夜の星の見えさうな   初晴れにして干し物をはばからず   聴きとめて巣箱に鳥の入る音   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.16 Sun 13:56

北大路翼『句集 見えない傷』(春陽堂書店)より

  2020年 「屍派」家元 「街」同人 砂の城城主 第3句集   手触りが今年の髭になつてくる   刃物みな淑気に満ちて台所   靴下の生乾きなる初出社   足元に灯るヒーターレジを打つ   リムジンが曲がれぬ垣根の落葉焚き   風邪心地枕の下に手をいれて   一月の茶碗の中の山河かな   新学期画鋲の穴にまた画鋲   ぽかぽかもぱかぱかも春長ける音   亀鳴くやマッサージ後の揉みかへし   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.15 Sat 23:06

堀田季何『句集 人類の午後』(邑書林)より

  2021年 「樂園」主宰 第3句集   和平より平和たふとし春遲遲と   戰爭と戰爭の?の朧かな   麥藁の敷詰められて尋問室   片陰にゐて處刑臺より見らる   ミサイル來る夕焼なれば美しき   ひとりでに地雷爆ぜたり夜の秋   息白く國籍を訊く手には銃   ぐちよぐちよにふつとぶからだこぞことし   自爆せし直前仔猫撫でてゐし   小米雪これは生れぬ子の匂ひ   語るべし月の怪力亂?を &...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.13 Thu 18:50

夏井いつき『句集 伊月集 龍』(朝日出版社)より

  2015年復刊(平成11年初版) 「いつき組」組長 第1句集   遺失物係の窓のヒヤシンス   春眠てふひかりの繭にうづくまる   さへづりや会はねばすぐに忘らるる   桐は天のあをさに冷ゆる花なりき   滝みつめをるや眼球濡るるまで   蛍火のふいに二手に分かれけり   あぢさゐのためのつめたき花瓶かな   蔵二階まで夏蝶ののぼりくる   学生のずるずる歩く暑さなり   日盛や漂流物のなかに櫛 &n...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.12 Wed 19:18

池田澄子『句集 月と書く』(朔出版)より

  2023年 「豈」「トイ」同人 第8句集   秋祭ゆく水に灯の映りそむ   カマキリの初めましてという立ち方   冬木の芽さぞやこの世の怖からん   そよかぜのまぁまぁ春という感じ   花の下こっちこっちと手のひらひら   大概のことはどうでも飛花落花   鷹化して鳩となるなら我は樹に   梅園を歩き桜の話など   涼風と鈴かすてらという菓子と   めまといが居るらしあの手の振り方は   送...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.11 Tue 17:50

小澤實『句集 澤』(角川書店)より

  2023年 「澤」主宰 第4句集   木の家の窓も木の枠きりぎりす   みしみしと増ゆる人間冴返る   買はんかな山桜咲く島ひとつ   鳥除に鮑の殻や島の春   軽トラック荷台にわれら合歓の花   鯵の腸抜く鯵の桶腸の桶   さはやかに知多と渥美とむかひあふ   花冷や都電と都電すれちがふ   羽止めて夏燕なり滑空す   立ち上がらずよ草に這ひ草を引き   鍋深くスープ澄みをり冬籠  ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.10 Mon 17:41

梅沢富美男『句集 一人十色』(ヨシモトブックス)より

  2023年 第1句集   ライン引き残してつるべ落としかな   友ふたり卒業の日の病室に   空のあを富士の蒼へと飛花落花   何度目のオセロ薄目のこたつ猫   春愁をくしやと丸めて可燃ごみ   ナイターの売り子一段飛ばし来る   玉葱を刻む光の微塵まで   黒七味蕎麦に振り込む義士祭   冬木立シャンパン色にさざめきぬ   JUGEMテーマ:俳句

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.09 Sun 09:25

伊藤康江『句集 結び柳』(角川書店)より

  2020年 第4句集 「萌」副主宰   竹を割る音に始まる雪囲   口口に囃して野火を育てけり   手花火の終のしづくを愛しめり   航跡の白きを追ふも愁思かな   滴りの音を重ねて山静か   長き夜のいつしか問はず語りかな   禽声のはづむ小春の竹生島   故もなく人の声欲る夕桜   三伏の水生き生きと湧きゐたり   炎帝に一も二もなくかしづきぬ   眼力のまだ残りたる捨案山子   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.08 Sat 11:20

2025年10月に作った俳句_2

JUGEMテーマ:俳句   10/16 銀杏散る舗道に開く傘の色 水たまり紅葉ゆがむや店の前 濡れ落ち葉踏まれぬままの通学路   10/17 雨後の宵露まとう草きらきらし   10/18 秋深しスマホを伏せて風を聴く 秋読書紙めくる香を頬で受け 晩秋に通知ひとつの灯の重み   10/19 セルフレジ読みえぬ秋や立ち尽くす 木の実風指まごつかすレジ袋 野ざらしのカート夕日に身じろがず   10/20 皆スマホ車窓の富士は緋色かな 秋思なく視線はスマホに...

遅き日のつもりて | 2025.11.03 Mon 18:18

駒木根淳子『句集 夜の森』(角川書店)より

  2016年 「鱗」同人 第2句集   遠足児邪馬台国を駆けまはる   ジーンズの裾の重たき濃あぢさゐ   半夏生もう昼でなくよるでなく   遠郭公気を付けのまま寝袋に   びしよ濡れの少年とほる立葵   巨き荷とベンチに睡る冬帽子   六枚に散つて終りぬチューリップ   ひと蹴りに四隅の光る水馬   滑落の一瞬蛇の伸びきつて   付添ひの寝床のかたし後の月   取れかかる釦のやうな冬桜 &...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.10.29 Wed 22:35

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