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茨木和夫『句集 潤』(邑書林)より

    平成30 「運河」主宰 第14句集   妻恐れゐし雀蜂打ち殺す   雷に手ごろな高さ神杉は   礁越す波は立ち来ず日の盛   朴落葉喜ぶ人のため拾ふ   狼に似る吠え方も狩の犬   磐座に鶏旦の日の届きけり   深吉野の余花を求めて歩きけり   片付けの後に酒出て地蔵盆   山上の月澄む東吉野村   末社へは抱かれて来たり七五三   橡の樹の熊の爪痕なまなまし   遅刻...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.04.07 Mon 21:45

小澤克己『風舟』(角川書店)より

    風船をついて少女の浮き上がる   いつまでも少年どこまでも夏野   聖五月フレスコ画より風生るる   朝の森薄刃のやうに涼気過ぐ   帯しかと締め炎天に崩れざる   炎天を来て一水を身に通す   錆鮎の釣られ瀬音の高まれり   嶺々を継ぎゆくひかり秋燕   ゆくりなく夜鹿の群れをやりすごす   秋灯に座し目こぼしの句を選りぬ   人に和を説き望月の嶺仰ぐ   心澄む真水に月を掬ひけ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.04.02 Wed 20:44

伊藤汀人『句集 止まり木』(ウエップ)より

  2015年 「燎」同人 第1句集   犇めきて流氷海を眠らしむ   妻今も八つ年下新茶汲む   セーターの赤を着てみし妻の留守   毛皮脱ぎ普段の妻に戻りけり   笹鳴や母の遺品に父のもの   初桜遠くへ行けぬ母と来て   しばたたく驢馬の睫毛や秋深む   塵ひとつなき僧房や今朝の冬   戦なき空澄みきつて赤とんぼ   眼の合ひしゴリラに御慶述べにけり   声掛けしばかりに雪を掻く羽目に ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.30 Sun 23:27

前田攝子『句集 晴好』(ふらんす堂)より

    2013年 「氷室」編集長 第2句集   吹くほどに風尖りゆく青芒   洗ひ髪海原の底歩きたし   いざ吹かむ孔美しき瓢の笛   紙雛ちんとならべて保健室   篳篥に舞ひはじめたる夜の桜   朝寒の山羊に食べさす豆腐殻   虫売に風の出てくる日暮かな   たれもかも花人といふ親しさよ   六道の辻をすたすた生身魂   盆波の暗き高さのととのはず   離任して出づる正門陽炎へる &...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.29 Sat 19:46

大高翔『句集 帰帆』(角川書店)より

    2015年 「藍花」副主宰   寒紅を逢ひたき人のあるやうに   鯨鍋ときどき触れる太き肩   ていねいに星散らしたる二月かな   一身に巡らせてゆく花の酒   競べ馬鼻先ぬつと追ひあげぬ   凭りあひて眠る自転車梅雨の月   釣る人と待つ犬のゐて夕涼し   きつぱりとそつぽ向きたる桔梗かな   秋晴やあんぱんの頬高くあり   冬晴やもつと歩くと赤い靴   菜の花を茹でる子が嬰を抱...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.26 Wed 21:35

鈴木厚子『句集 紙雛』(角川SSC)より

    平成21 「風」「雉」同人 第2句集   瀑布見て戻る歩幅の広かりき   茄子の馬四脚あげて流れけり   ひとり居の正座の母や青葉冷   黄落や肘水平に笛を吹く   しやぼん玉とんで夕日の海の上   雪吊の縄を抛れり加賀の空   茶の花や老いて明るき母のこゑ   臥待の月に匂へり樫の櫂   目に痛き道の白さや原爆忌   脚長き仏に近く涼しかり   黄泉よりの墨かぐはしき賀状かな ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.21 Fri 21:50

第402回坐忘会 令和7年弥生句会

JUGEMテーマ:俳句   開催日:令和7年3月16日(日) 場 所:本部道場 剣道場会議室 参加者:12名 投句者:6名 見学者:2名    春には寒い日であったが、前回に続き参加者が最高の12名。  加えて瀧口清韻、浦山みなみさんの見学が入り、大勢で大変賑やな楽しい句会となった。  最高得点者は、光舟さんでした。  今回の兼題は「雛」「霞」「雲雀」   ------各自の高得点句を紹介します。--------                          ※夕霞よりはみ...

座禅修行だより | 2025.03.19 Wed 11:26

佐藤文香『菊は雪』(左右社)より

  2021年 第3句集   靴べらに映つてゐたる冬の部屋   風船に角なき息のめぐりける   言へばいいことの氷つてゆくことの   寒雷や波のをはりは波頭   雲うすくのびてわかるる木の芽風   ここであける手紙に雪がふれにくる   日のまへに風ほろびけり瑠璃蜥蜴   冬日さす絵手紙展のポスターに   鎌倉や雪のつもりの雨が降る   松過のながら歩きの放つ光   夏終はる月刊たくさんのふしぎ ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.15 Sat 21:29

笹村政子『句集 初鼓』(文學の森)より

    平成22 「六花」同人 第1句集   大地震のことには触れず花の下   裸子のとびだし来たる客間かな   浮島となり流燈の闇に入る   傘の骨とび出してゐる神の留守   柚子寄せて弾いてよせて独り風呂   さくらんぼ私に確か娘あり   折れてより光の滝となりにけり   束の間の焚火の主となつてをり   棟梁の足で踏み消す夕焚火   鍋底の魚の目ん玉寒戻る   逃げたくて捕まり...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.13 Thu 21:27

岩切貞子『句集 帚木』(文學の森)より

    平成18 「風」「雉」同人 第1句集   秋立つや手触りあらき卵買ふ   産みの母育ての母の墓洗ふ   古き帆に膝をつつみて牡蠣打女   冬帽子深くかむりて無職かな   爆心地噴水高くあがりけり   牡蠣を割る指より潮のしたたれり   霜晴や糶らるる牛の湯気をあげ   鹿に水飲ませて角を切り落とす   修二会僧紙衣(かみこ)の膝のすり切れて   時の日のものみな影の濃かりけり   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.06 Thu 20:19

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