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大高翔『句集 帰帆』(角川書店)より

    2015年 「藍花」副主宰   寒紅を逢ひたき人のあるやうに   鯨鍋ときどき触れる太き肩   ていねいに星散らしたる二月かな   一身に巡らせてゆく花の酒   競べ馬鼻先ぬつと追ひあげぬ   凭りあひて眠る自転車梅雨の月   釣る人と待つ犬のゐて夕涼し   きつぱりとそつぽ向きたる桔梗かな   秋晴やあんぱんの頬高くあり   冬晴やもつと歩くと赤い靴   菜の花を茹でる子が嬰を抱...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.26 Wed 21:35

鈴木厚子『句集 紙雛』(角川SSC)より

    平成21 「風」「雉」同人 第2句集   瀑布見て戻る歩幅の広かりき   茄子の馬四脚あげて流れけり   ひとり居の正座の母や青葉冷   黄落や肘水平に笛を吹く   しやぼん玉とんで夕日の海の上   雪吊の縄を抛れり加賀の空   茶の花や老いて明るき母のこゑ   臥待の月に匂へり樫の櫂   目に痛き道の白さや原爆忌   脚長き仏に近く涼しかり   黄泉よりの墨かぐはしき賀状かな ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.21 Fri 21:50

第402回坐忘会 令和7年弥生句会

JUGEMテーマ:俳句   開催日:令和7年3月16日(日) 場 所:本部道場 剣道場会議室 参加者:12名 投句者:6名 見学者:2名    春には寒い日であったが、前回に続き参加者が最高の12名。  加えて瀧口清韻、浦山みなみさんの見学が入り、大勢で大変賑やな楽しい句会となった。  最高得点者は、光舟さんでした。  今回の兼題は「雛」「霞」「雲雀」   ------各自の高得点句を紹介します。--------                          ※夕霞よりはみ...

座禅修行だより | 2025.03.19 Wed 11:26

佐藤文香『菊は雪』(左右社)より

  2021年 第3句集   靴べらに映つてゐたる冬の部屋   風船に角なき息のめぐりける   言へばいいことの氷つてゆくことの   寒雷や波のをはりは波頭   雲うすくのびてわかるる木の芽風   ここであける手紙に雪がふれにくる   日のまへに風ほろびけり瑠璃蜥蜴   冬日さす絵手紙展のポスターに   鎌倉や雪のつもりの雨が降る   松過のながら歩きの放つ光   夏終はる月刊たくさんのふしぎ ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.15 Sat 21:29

笹村政子『句集 初鼓』(文學の森)より

    平成22 「六花」同人 第1句集   大地震のことには触れず花の下   裸子のとびだし来たる客間かな   浮島となり流燈の闇に入る   傘の骨とび出してゐる神の留守   柚子寄せて弾いてよせて独り風呂   さくらんぼ私に確か娘あり   折れてより光の滝となりにけり   束の間の焚火の主となつてをり   棟梁の足で踏み消す夕焚火   鍋底の魚の目ん玉寒戻る   逃げたくて捕まり...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.13 Thu 21:27

岩切貞子『句集 帚木』(文學の森)より

    平成18 「風」「雉」同人 第1句集   秋立つや手触りあらき卵買ふ   産みの母育ての母の墓洗ふ   古き帆に膝をつつみて牡蠣打女   冬帽子深くかむりて無職かな   爆心地噴水高くあがりけり   牡蠣を割る指より潮のしたたれり   霜晴や糶らるる牛の湯気をあげ   鹿に水飲ませて角を切り落とす   修二会僧紙衣(かみこ)の膝のすり切れて   時の日のものみな影の濃かりけり   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.03.06 Thu 20:19

第401回坐忘会 令和7年如月句会

UGEMテーマ:俳句   開催日:令和7年2月16日(日) 場 所:本部道場 剣道場会議室 参加者:7名 投句者:11名    前回の参加者が最高の12名であったが、一転7名の寂しい会となった。その分、投句者が多く、句の総数はたっぷりあった。  少数精鋭で活発な発言が続き、賑やかに盛り上がった。  最高得点者は、桃雲でした。  今回の兼題は「春寒」「梅の花」「笹鳴」   ------各自の高得点句を紹介します。--------                          ※...

座禅修行だより | 2025.02.27 Thu 15:05

辻恵美子『句集 萌葱』(角川書店)より

    2009年 「風」同人 「栴檀」主宰 第2句集   幹に根に注射を打たれ老桜   朝と昼音の異なる木の芽雨   葬の家鳴らぬ風鈴吊つてあり   神無月紙屑ばかり溜まる家   喇叭型巨大補聴器身に入むる   薔薇色の雲を遠くに冬木かな   風鈴の夜の彼方に鳴つてをり   黄落を浴び来し咽の渇きかな   白鳥のおらぶ首曲げ首伸ばし   白鳥を見て来しといふ泥の靴   ハイヤーで花野に...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.02.26 Wed 21:49

『山頭火句集』(ちくま文庫)より

    1997年   ひとりで蚊にくはれてゐる   まつすぐな道でさみしい   涸れきつた川を渡る   あの雲がおとした雨にぬれてゐる   枝をさしのべてゐる冬木   うしろすがたのしぐれてゆくか   笠へぽつとり椿だつた   雪へ雪ふるしづけさにをる   ながい毛がしらが   何が何やらみんな咲いてゐる   うつむいて石ころばかり   石をまつり水のわくところ   びつし...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.02.23 Sun 21:45

廣瀬雅男『句集 素描』(ウエップ)より

    2008年 「やぶれ傘」同人 第一句集   渦巻きて雪の降り来る高千穂峡   地の人と地鶏の鍋を春の宵   春泥の道を産土詣かな   高みより花の散りくる舟くだり   秩父路や花の下出て花の下   一隅の苔にも春の光かな   春風やアメリカを向く龍馬像   海苔舟の影の連なり朝の川   ぶつかけの讃岐うどんや山笑ふ   下闇や熊野古道の石畳   日曜日一家総出の昆布干し   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.02.12 Wed 19:27

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