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昭和50 「雲母」主宰 第6句集 冬深し手に乗る禽の夢を見て 茶の花の映りて水の澄む日かな 凍雪を踏みてこころの花模様 子燕が育つ雲雀の声のなか 花びらを重ねて寒の菊にほふ かたつむり甲斐も信濃も雨のなか 鱒池の隅に手毬の浮く暮春 山々に闇充満し夏に入る あるときはおたまじやくしが雲の中 涼しさに鳥が深山の声を出す 偽りのなき香を放ち山の百合 蛇笏忌の杉が屈託なく高し 茶畑の空はるかより鰤起し 破魔矢ゆきあとまたねむるなまこ壁 祖父の世...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.01.09 Tue 18:50
平成8 「風」「雉」同人 第1句集 秋の蝶吹かれて川を渡りきる 冬牡丹くづれて菰の広さかな 鬼追ひを瓦の鬼が見下ろせり 月食に傷舐めてをり恋の猫 酒倉の裏春泥の深轍 筍(たかんな)を一夜ねかせし土間濡るる 歩くより早く流れて落椿 亀石のあごの下より冬の草 湯の宿や花びら川を越えて来し 半蔀を上げて落花をみ仏に 青すだれ見合ひ疲れの足伸ばす 息白く言葉少なの別れかな 足場まづ祓ひ鉾立てはじまりぬ 初つばめ沖つ白波見て返す 蝉の声千年杉をあ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.01.03 Wed 21:02
JUGEMテーマ:俳句 開催日:令和5年12月24日(日) 場 所:本部道場 南寮会議室 参加者:9名 投句者:8名 令和5年納めの句会、ささやかに一杯のコップ酒で一年の無事を祝しました。 終わりには、今年の紅葉狩りで募集した句の選句も行いました。 最高得点者は“のりこ”さんでした。 今回の兼題は「冬霞」「湯豆腐」「障子」 ------各自の高得点句を紹介します。-------- ※湯豆腐...
座禅修行だより | 2023.12.31 Sun 09:46
1997年 「氷室」同人 第1句集 今朝もまた毛虫殺せし手を洗ふ 客去れば夫と二人や枇杷食うぶ 夢醒めて花野に一人立つも夢 むき出しにパンかかへゆく皮コート 命あらば逢はむといひて年の暮 門燈や落葉の好きな吹き溜まり 荒海をかたへに大根干されけり 家計簿を閉ぢたるあとの湯ざめかな またたける星の凍てたる蒼さかな 秋の蚊を目で追ひ受話器置きにけり 長閑けしやたゆたふ舟を句座として 日記果つ大切なこと書かぬまま わが胸に問ふ詩ごころ多佳子の忌 南...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.12.30 Sat 21:44
2007年 「京鹿子」主宰 第7句集 夏料理まづ風といふ一品を 満月の一願のごとかかりけり 木洩れ日のゆらぎに秋のひそみゐて 道しるべどこを指しても露ばかり 枯れきれば今日も日なたとなる中洲 遠回りして野の梅のまだ固し いしだたみ髄まで濡れて春めけり 信州の空ことごとく青りんご 鉾の灯のともりてなづむ山となる 鉾すすむその高さにて厄はらひ 手のなりに風をしづめのをどりなる あまさずに湖国を入れて秋天下 鳥ぐもり湖国はけふも遠目ぐせ チューリッ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.12.28 Thu 20:00
平成10 「京鹿子」主宰 第11句集 ハァーと唄ひ出す初春の島めぐり 兎千生んで辛夷は花の木に 柏餅剥き柏の木思ふかな 鮨桶を緊むあかがねとなるも良し 露散るや破片合はせて土器一壺 牡丹枯れ一木づつの花名札 雨をもて木を騒がすも目借どき いちじくや明治の母の口ごたへ 旧正の箒の先の紅の糸 あんず苗子育て終へて実育てに JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.12.23 Sat 18:48
平成14 「京鹿子」主宰 第4句集 雲とまた喋りはじめて四月の木 あまりにも度忘れ黄葉をのけてみる 点滴に春の雲溶けおりてくる 人きらふこと花冷にかこつけて 穴まどひそらのあをさにふと曳かれ ひとすみに余花あるそんな宇治の昼 ひとすぢの草ひとすぢの糸とんぼ 白日傘入れてはじまる森の午後 さくらんぼグラスに沈め晩婚論 ただならぬ目つきは瀧を見しゆゑか うららかな野のまん中の途中下車 いなづまや百鬼のをどる草の上 コスモスはただいま多重放送中 ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.12.18 Mon 20:53
1998年 「京鹿子」同人 第1句集 柚子に刃を入れてわたしは浮かんでいる 榠樝投げ榠樝とる子ら空うてり 寒林をまっすぐ抜ける角度あり コスモスを泳ぎふるさと遠すぎる いちにちは雪の白さのままでいる 鉄線花別れ話を図解して 飲んでも呑んでも凍星がついてくる いち日を激しく茄子はやわらかく 遠花火恋のくだりは顎をひき 白菜を裂く音だけで今朝はいい さっきまでの椿の空間が重い 夏掛や遠からずくる死の形 こすもす揺れる行きたいところあるよ...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.12.14 Thu 19:41
平成31 「京鹿子」同人 第1句集 受験子の入りて校門静もれり 花明り小橋それぞれ名を持てる 月見草寄せ来る波のうら翳る 筆太の城主の手紙紙魚走る 夫の捥ぐ梅エプロンに受けにけり あぢさゐや捨てると決めしピアノ弾く 天平の塔より高き夏の蝶 新米の旗翻り近江晴 教壇を去る日の近く日脚伸ぶ たこ焼を生業として冬の汗 紙漉の水重くなる夕茜 湖北なる暑さ二寸の大根焚 小春日や神馬の鞍の干してあり 初春の一刀彫の馬匂ふ 花すすき安土の風をは...
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.12.11 Mon 22:33
平成23 「笹」同人 第一句集 春光や刷り上りたる夫の著書 夫帰り牡蠣グラタンの煮え滾る なでしこの切れこみ深くなびきけり 観覧車てつぺんに来て春の海 茜空残りてをりぬ夏料理 初ものの林檎これより信濃路へ みちのくのひとめぼれなる刈田かな 白鳥の舞の始終をみとどけぬ 母の日や花屋の角に待ち合はせ 東の空の明るき桜かな 稜線や羽根をななめに鷹渡る JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2023.12.07 Thu 23:33
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