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2021年 「春嶺」主宰 第1句集 花行脚桜絵巻を解くごとく 籐椅子に遺りし父の坐りぐせ 新酒利く珠のごときを舌にのせ 月光にかざし虫籠選びけり 牧草を刈つて火の国冬に入る 春昼や木に宙吊りのなまけもの 戦没者碑に水明り花明り ひとすぢの光さしこむ氷室かな もの言はぬ冬木の幹のあたたかし 飛花落花勝気な馬の耳うごく 見失ひしのすり日の矢にをどり出...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.11 Thu 09:45
2024年 「岳」主宰 第14句集 山笑ふ水の笑ふといふことも 切岸を伝ひ来盆の黒揚羽 仲良くもわるくもなくて鰯食ぶ うそ寒き首より上が人の顔 うしろから列車くる音憂国忌 枯るるとは根を鍛へよといふことか 貌鳥や飯島晴子死後永し 薫風に道といふものありにけり 霜の夜は満鉄全史繙ける 逝きしひと声から忘れ鳥曇 八十年は道草といふ薄暑 汗か...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.10 Wed 20:30
2022年 「鷹」編集長 第3句集 戸口まで蟹の来てゐる房事かな 卓の上伏せし団扇の少し浮く 魚速し水面の紅葉くぐるとき 教室をふいと出てゆく黒セータ しやぼん玉吹く子攫はれさうな首 ぶらんこを押してぼんやり父である 忘るるなこの五月この肩車 黄昏や蠍の如く寄る落葉 絨毯にパズルピースの青空が 胡桃割る一回きりのひびきけり 武者乗することなき馬の...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.07 Sun 20:48
2024年 第2句集 花あふひなじみになると店変へる 足にふむ夜濯ぎホテル三泊め 出汁吸うて揚玉ふとる夜寒かな 性欲満ちきれず菜飯食うてをる 息吐いて吸つてまた吐く日永かな 爽やかに車椅子駆る女かな 裸子の這ひ這ひ速し泣きながら 白玉のくぼみや明日は金借りな 春しぐれ釈迦も芭蕉も腹くだし 中腰に請求書読む寒さかな 裏がへり表がへりて蛇泳ぐ ...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.05 Fri 19:37
2024年 「麒麟」主宰 「古志」同人 第3句集 獅子舞の後ろ足より大男 手鞠唄影が濃くなり薄くなり 手で顔を触り蛙でありしこと 汚れてはをらねど掃除彼岸寺 靴の上に置く靴下や磯遊び 味噌醤油海女の営む何でも屋 風薫る古代ローマの服が欲し 虫売の細字すずむしくさひばり インバネス死後も時々浅草へ 淡々と金の話や懐手 荷風忌の音立てて切るメンチカツ ...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.04 Thu 19:36
昭和45 「鶴」主宰 「馬酔木」同人 第14句集 春の雪病み臥すものらさざめきて 水原先生 巨き掌を賜ひ新茶を賜ひけり かへり來し命虔しめ白菖蒲 蛍籠われに安心(あんじん)あらしめよ 骨つかみ看護婦裸拭きくるる 黄葉を見よと硝子を拭きくるる 萬兩や癒えむためより生きむため 書初の墨病室をかをらしむ 見舞びと妻も歸りぬ櫻餅 實櫻へ尾長鳥降下の尾羽を割り ...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.01 Mon 19:07
2017年 「天為」主宰 第10句集 細細と記して重し古日記 古人にもありしいにしへ春の雪 過ぎたる哉龍天に巻く大津波 滅ぶべきは亡びて万里霾れり 金亀虫父へ放れば母へ飛ぶ 銀やんまジュラ紀の空の青さかな タレースの万物は水澄みにけり 冷え冷えと神学大全月光に 九龍の舞ふ初暦開きけり マヤの森夏暁の月細し サーカスや白夜の空へ身を投げる ...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.30 Sun 19:04
2011年 「草樹」会員 第6句集 花の散るまでの日数に疲れたる 色淡き順に運ばれ夏料理 草虱与謝郡加悦よりつき来る 梟に会いしことのみ書き残す つるつると辷る挨拶三が日 むらさきのなんと執念き夜の桜 かぶとむし地球を損なわずに歩く 希望が丘緑ヶ丘より賀状くる 身の不遇託つ快楽よ花の下 夏ちかし幹は幹色葉は葉色 届かざる草矢たちまちただの草 &nb...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.29 Sat 21:17
2024年 「豈」「ことごと句」同人 第4句集 洗われし軍服はみな征きたがる 凍てぬため足ふみ足ふむ朕の軍隊 <近い帰国(スコーラ ダモイ)>いくたびも聞き日本海 「君が代」に起立不起立昭和の日 雨を掬いて水になりきる手のひらよ 人類の祭ののちや月揚がる 人にのみ祈る力よ 日よ 月よ JUGEMテーマ:俳句
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.28 Fri 19:20
2015年 「晨」代表同人 第9句集 どこからも大山見えて盆支度 本の中歩いて年が改まる 雪折の音いま止みし書院かな 永き日の大日寺といふがあり 橋流れ易きこの川ねむの花 朝風の通り道なる蓮かな みちのくや上りつめたる後の月 行く年の連山にとり巻かれをり 初日出てすこし止りて上るなり 日輪の傾ぎて懸る雪解かな 蝶飛んで土塀破れに破れたる ...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.27 Thu 19:12
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