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2020年 「春野」主宰 第8句集 三寒の水面四温の田の面かな 音もなく舟の出てゆく朧かな 鳥影の引きも切らずや春障子 春泥にとびつかれたるランドセル ながながと水脈曳いて鴨残りけり 穴出でし蛇に全き空の青 浴衣着ておのづと夕べ待つ心地 暗がりを土間に積み上げ油照 天高らかに吊橋のよく弾む 案山子まだ傾ぎ足らぬといふやうに さへづりへ向けて宿下駄...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.25 Tue 20:03
2021年 「藍生」主宰 第1句集 ブレザーの金の釦の月昇る 古書市のテントをたたむ月光に 逆光に歩めば巨いなる鶴よ 店たたむあひだもまはり走馬燈 立読みのうしろに冬の来てをりぬ 白葱のひかりの棒をいま刻む 柚子湯してあしたのあしたおもふかな 鳥雲に島に十二の天主堂 亀の子のみなその石に執着す 胡弓弾きやまぬ越中風の盆 立読みの中のひとりや一葉忌 遠ざかるとき鮮やかに秋の虹 沐浴のサリーを遠く牛冷す ...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.24 Mon 18:39
平成16 「京鹿子」主宰 第5句集 ねむりたしたんぽぽの絮の真ん中に 木のことば草のことばに万緑す あづみのの道はすすきのなびくまま 皿におく呵々大笑の石榴かな 寒星や生者をしのぐ死者の数 波止越ゆる時寒濤の日をつかむ 初秋はうすみづいろの遠嶺かな 潮騒は夜ごとに花の京とほし 豆飯や里山まろく母まろく 山若葉霊場いつも濡れてゐし 一草に置くた...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.22 Sat 23:15
2017年 「群青」共同代表 「銀化」同人 第3句集 南風(みなみ)吹くカレーライスに海と陸 一枚の香水を着て働けり 働いてこの夕焼を賜りぬ いちじくの火口を覗く夜なりけり あをぞらの途中に烏瓜ふたつ 湯ざめして耳の捉ふる夜の川 姉を呼ぶ聖樹の隙間埋むるため 卒業や見とれてしまふほどの雨 花冷や人を悼むに化粧して 私にも二つの名前ライラック しん...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.20 Thu 19:22
2016年 第5句集 吹く風の緩めばのぼるはなびらよ 青葉木菟ほほうと違ふ方を向く サラダさつと空気を混ぜて朝曇 雨あがり芋の蔓さへ美しく 母あれば父あるごとく青簾 萎るるに身を尽くしたる月見草 巣づくりのその身にかなふ枝銜へ 一花のみ揺るるは蜂のとまりたる ただ祈るほかなく送る年なりけり 今生の息を噛みしめたる暮春 真下より見る白鳥の大つばさ &...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.18 Tue 22:34
2022年 「鷹」主宰 第6句集 元日や見渡すかぎりものに位置 雪になりさうと二階の妻降り来 暖簾出す女将たちまち髪に雪 摺足に季節移れりいぬふぐり 囀や客が世間の散髪屋 利休忌や刃短き花鋏 暮れてなほ白まさりけり山桜 花散るや柱親しき親の家 風鈴や降るぞ降るぞと暗くなる ボクサーの鍛へし腹の汗薄し 送り舟父は立ち子は走りけり 草ひば...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.17 Mon 18:50
JUGEMテーマ:俳句 11/1 雨去りて城址の笹の露眩し 11/2 小春日や子の襟正す妻の指 父の手の千歳飴より影長し 子の影の伸びて一礼七五三 11/3 吹奏楽落ち葉巻き上ぐフォルテッシモ 11/4 秋澄むやガラス拭き終え富士くきり 車窓拭く指の隙間に鱗雲 11/5 この星の果ての枝先柿ひとつ 11/6 藍の空社頭の菊は彫り深し 無人レジ通過してゆく秋の蠅 藤袴陽を蓄えて虫包む 11/7 立冬や遠く始発の音聞こ...
遅き日のつもりて | 2025.11.16 Sun 19:10
2024年 「椋」代表 「星の木」所属 第4句集 待春の風の眩しさただならず さを鹿の食みゐる草の尖りかな 戸袋に戸がぎつしりや昼の虫 畝高く立ててあり春待つてをり 引き上げて緑映れるプルトップ 手庇のしばらくとらへ春の鷹 見られつつ飛んでくるなりあぶれ蚊は 冬麗や昨夜の星の見えさうな 初晴れにして干し物をはばからず 聴きとめて巣箱に鳥の入る音 ...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.16 Sun 13:56
2020年 「屍派」家元 「街」同人 砂の城城主 第3句集 手触りが今年の髭になつてくる 刃物みな淑気に満ちて台所 靴下の生乾きなる初出社 足元に灯るヒーターレジを打つ リムジンが曲がれぬ垣根の落葉焚き 風邪心地枕の下に手をいれて 一月の茶碗の中の山河かな 新学期画鋲の穴にまた画鋲 ぽかぽかもぱかぱかも春長ける音 亀鳴くやマッサージ後の揉みかへし ...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.15 Sat 23:06
2021年 「樂園」主宰 第3句集 和平より平和たふとし春遲遲と 戰爭と戰爭の?の朧かな 麥藁の敷詰められて尋問室 片陰にゐて處刑臺より見らる ミサイル來る夕焼なれば美しき ひとりでに地雷爆ぜたり夜の秋 息白く國籍を訊く手には銃 ぐちよぐちよにふつとぶからだこぞことし 自爆せし直前仔猫撫でてゐし 小米雪これは生れぬ子の匂ひ 語るべし月の怪力亂?を &...
《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.13 Thu 18:50
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