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藤原月彦『句集 貴腐』(深夜叢書社)より

  1981年 「渦」同人 第2句集   晩秋に消えし同行二人かな   日に夜に枕つめたき生者われ   契りしこと亡母(はは)には告げず秋のミサ   廻廊の果てに背視ゆわが背なる   誰の忌にわれは生れしや曼珠沙華   箱庭に人間の声さびしけれ   青蜜柑吸ひて未生の罪いくつ   天窓になほ遠火事の色残り   JUGEMテーマ:俳句

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.08.09 Sun 21:37

横山白虹『句集 海堡』(沙羅書店)より

  昭和13年 「自鳴鐘(とけい)」主宰 第1句集 うつむきて寒の鮒つる人ふたり 霧の奥灯るごとく月出でぬ よろけやみあの世の螢手にともす 暖房に手術をまつはみな佇てり ラガー等に二つの国旗ひるがへり 毛糸あむ娼婦をひとりふたり見し 螢を手に室燈(るうむらむぷ)を消してはしる 暖房をとほく尿瓶のおかれたる 手術まつ暖房の辺のあつすぎる 傷兵にヒマラヤ杉の天さむざむ   JUGEMテーマ:俳句

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.08.05 Wed 19:57

細見綾子『句集 桃は八重』(倦鳥社)より

  昭和17年 「風」同人 第1句集   そら豆はまことに青き味したり   初夏や草の伸びたる植木鉢   うすものを着て雲の行くたのしさよ   雲涼し人の言ふこと聞いてゐず   墓にさせば早やも散りけり小米花   菜の花がしあはせさうに黄色して   冬になり冬になりきつてしまはずに   幼きが草のやうにも昼寝する   新年 目出度しと言ふ人々にまじりけり   霞む日を戻りてものを言はざりし &nb...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.08.02 Sun 19:01

『沢木欣一(自註現代俳句シリー?期17)』(俳人協会)より

  昭和55年 「風」主宰   梨売りの頬照らし過ぐ市電の燈   天の川柱のごとく見て眠る   出征旗まきつけ案山子立ち腐れ   楼門は傾ぎ遊び場裸の子   山国の小石捨て捨て耕せり   汐汲むや身妊りの胎(はら)まぎれなし   カラカラのひとでを拾ひ三鬼亡し   土間涼し臼底にある杵の痕   群羊の一頭として初日受く   青空へもぐら顔出す二日かな   青き踏むみ仏踵上げ給ひ   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.07.30 Thu 20:19

東(三橋)鷹女『句集 魚の鰭』(甲鳥書林)より

  昭和16年 第2句集   菊白しその真白さを疑はず   一億の大き式典(みのり)の秋に居る   ひたすらに飯炊く燕帰る日も   あまきもの欲れり寒夜の燈に疲れ   夜々おぼろ皇ら御国は戦へど   戦死報着けりかまつか燃ゆるへに   鮎ほそく昼餉の卓に反りかへり   木犀の香にあり心あらがはず   忿り頭を離れず秋刀魚焼きけぶらし   じゆんじゆんと秋刀魚の焼かれからぶ音   蟷螂の貧しき...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.07.29 Wed 22:39

水原秋櫻子『句集 磐梯』(甲鳥書林)より

  昭和18年 「馬酔木」主宰 第8?句集   冬霧にぬれてぞ祈る勝たせたまへ   春の雪天地(あめつり)を浄め敵亡ぶ   いくさ神仰ぐ萬朶の花の下(もと)   瑠璃の影魚にしたがふ秋日和   案内する提灯待てり後の月   筆とりて我等立たなむ明治節   うちひらく傘にあかるき冬紅葉   戦捷つ小春や男の子生(あ)れにける   この男の子風邪な引かせそ国のために   ますらをの名をこそ仰げ紀元節 ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.07.25 Sat 19:50

室生犀星『句集 遠野集』(五月書房)より

    昭和34年 最終句集 序句:風呂桶に犀星のゐる夜寒かな 芥川龍之介   春の山らくだのごとくならびけり   雪ふると言ひしばかりの人しづか   枯草のなかに賑ふ春の雨   をとめごの菜引き見てゐる日永かな   昼深くありのぢごくのつづきけり   東(ひんがし)に芭蕉の花の向きにけり   馬の子はつながで行くよ秋の暮   鶏頭のくろずみて立つしぐれかな   そのなかに芽の吹く榾のまじりけり &...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.07.21 Tue 20:06

野見山ひふみ『句集 秋の暮』(創美社)より

  昭和33年 野見山朱鳥の妻 「菜殻火」主宰 第1句集   毛糸編むゆるき指輪のまはりがち   風邪の子の頬とりんごと並びある   麻酔打ち春爛漫を眠るなり   手袋をかんで映画を見て泣いて   洗ひ髪乾く間を子に絵本よむ   前髪のカールの額汗ばめる   病み臥せし日のままコートかかりをり   この家に住みつく心髪洗ふ   積る雪降る雪いまだ名なき児に   花冷やみどり児と居て吾れ大事 &nb...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.07.19 Sun 18:37

沢木欣一『句集 交響』(角川書店)より

  平成11年 「風」主宰 第11句集   「あとがき」より 「幼稚で凡俗な日常生活の私小説的な報告に終っていないかを怖れる」   着ぶくれてつまづくなかれ本の山   あめつちのみどりの極み雉子走る   うまごやし仔牛の脚のしなやかに   鰤起したちまち窓を打つ霰   み仏の木目に沁みる冬茜   食卓に睡眠薬とさくらんぼ   短夜の夢に追ひつめられてゐし   白肌の大松茸はカナダもの   細見綾...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.07.18 Sat 22:37

梶山千鶴子『句集 国境』(れもん社)より

  昭和47年 「れもん」同人 後「きりん」主宰 第1句集   国境の氷柱太りしまま昏るる   初しぐれ旅はをとこを饒舌に   大仏を仰ぐ青年陽炎へる   海女小屋に潮の重みの朝日さす   マシマロのやうな日が昏れ三日過ぐ   乳房まで灼け熱島の女肥ゆ   玉砕の崖へ西日のずり落ちる   椎の花匂ふや家庭裁判所   夕立や吉水院を降りこめて   残雪や佐渡金山を煌めかす   JUGEMテーマ:俳...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2026.07.17 Fri 19:28

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