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関登代子『句集 糸でんわ』(東京四季出版)より

    平成12 「峰」同人 第2句集   籠吊るす腰の豊かよのり掻女   夢に負ふ夫の重さや明易し   夫盗む天の盗人おぼろ月   一周忌かなしみ色の足袋を脱ぐ   紅葉散るしじま散らざるしじまかな   啓蟄やテレホンカード穴二つ   籐椅子に夫の残せし軋みかな   カクテルはピンクレディよ花火の夜   沈船のマスト八月十五日   緑陰にひとつはづせる胸釦   墓洗ふ亡夫の胸はここ辺り ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.05.27 Mon 20:53

第392回坐忘会 令和6年皐月句会

JUGEMテーマ:俳句     開催日:令和6年5月19日(日)   場 所:本部道場 南寮会議室   参加者:11名  投句者:7名    定着会員すべての投句で、126句から参加者10人が1句/人で選句した結果、最高得点者は幽谷先生、1点差で大元さんが続きました。  参加中の高得点者が3名 竜穏さん、蕉山さん、幽水さんでした。  今回の兼題は 「新緑」 「衣更」 「金魚」   ------各自の高得点句を紹介します。--------                         ...

座禅修行だより | 2024.05.24 Fri 17:31

平栗瑞枝『句集 花蘇芳』(ウエップ)より

    2010年 「渚の會」会員 第1句集   ふるさとの匂ひと似たる夏野かな   汗の手を握る集中治療室   四五日を手抜きしてをり夜の秋   夜廻りをせむとて酒の席を立つ   きつと来てくれる寒紅ひいてみる   相続のひとつは蝮多き森   軍艦のやうな子の靴休暇果つ   舞ひ終へてなほ神の所作里神楽   囀りや船長自転車で帰る   フラスコに逆さのわたし春深む   花火師の背中もつとも...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.05.20 Mon 21:11

大島幸男『句集 雪解』(青磁社)より

    2024年 「氷室」同人会長 第1句集   悴みし妻の釦を嵌めてやる   一抜けて二抜けて釣瓶落しかな   羚羊の一点にして動かざる   旅鞄曳く音のあり明易し   文豪をまねて頬杖夏座敷   天高し大河と言ひて筋ほどに   やみくもに線引きし書を曝しけり   夏の雨さらり約束反故となる   チンパンジー一人と数へ長閑なり   闇重く濡れ蛍の二つ三つ   石仏の其処は手をもて草を刈る ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.05.11 Sat 22:45

貞方義昭『句集 悠久』(文學の森)より

    平成29 「朴の花」同人 第1句集   切れさうで切れぬ草書や実朝忌   玄室の中まで花菜明りかな   かたづ飲む児等に等しく聖菓切る   今川焼うらもおもても巴紋   煮凝りや平和に馴れてゐる不安   花種採る妻のフリルのエプロンに   百選の水ふんだんに芋水車   洗礼の赤子を泣かす寒の水   紙風船たためば月の舟となる   終刊の「プレイボーイ」と日記買ふ   恐ろしき事を...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.05.03 Fri 22:32

木田千女『句集 初鏡』(本阿弥書店)より

    2014年 「天塚」名誉主宰 第6句集   人恐れ人を恋ふ日の春ショール   開戦日くるぞと挙手の遺影拭く   日本のどん底を生き昭和の日   気まぐれに鳴るよ千女の風鈴は   ちやぶ台の足ぽきと折る夜食終へ   懐炉三つ貼りて達者よまだ生きん   春怒濤われをゆさぶる一句欲し   涙つぶほどの日本よ鳥渡る   鳥雲に死なねば逢へぬ人ばかり   グーで負け今年も花の筵番   春灯にだ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.04.29 Mon 11:20

岡田万壽美『句集 夢のごとしと』(角川書店)より

    平成20 「雲の峰」同人 「春耕」会員 第1句集   太箸の我が名ゆたかに義父の文字   深炒りの珈琲香る久女の忌   とりあへず折れたるそぶり冷奴   まつさきに西瓜畑へ母者癒ゆ   七夕や一の願ひはてつぺんに   ラジオ消し波の音聞く秋はじめ   対岸の墓地を動かぬ秋日傘   無口なる夫と月と白ワイン   高原のミルクの色の霧まとふ   続投に沸くスタンドや雲の峰   三脚の春...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.04.26 Fri 19:52

菊地寿美子『句集 朴の花』(角川書店)より

    2017年 「未来図」同人 第3句集   夕ぐれの匂ひたぐれば朴の花   紫陽花やピカソに?の時代あり   初蝉の逢魔が時を試し鳴く   海の日の煮魚のまなこ取り落とす   学徒吾が十五の日記曝しけり   一つ陽を享け白芙蓉紅芙蓉   ふるさとの木々は素直に雪被る   朝三分夕べに五分の桜かな   万緑や明日香の里の石のこゑ   群にゐて独りたのしむ浮寝鳥   冬たんぽぽ地に貼りつきて全...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.04.18 Thu 20:20

第391回坐忘会 令和6年卯月句会

JUGEMテーマ:俳句    開催日:令和6年4月15日(月)  場 所:本部道場 南寮会議室  参加者:9名  投句者:8名    桜が早々盛りを過ぎ、突然夏が来たかのような日、いつもの熱い批評で賑やかな会でした。  最高得点者はダントツ“竜穏さん”でした。  今回の兼題は「春宵」「花祭」「仔馬」   ------各自の高得点句を紹介します。--------    虹高しさらに高きに母の顔   幽谷先生・  山笑う子供の声や大空に    霞山老師・   ...

座禅修行だより | 2024.04.17 Wed 09:28

林朋子『句集 眩草(くらら)』(北溟社)より

    2002年 「船団の会」「晩紅塾」 第2句集   外套の中を出たがるアフォリズム   母の家までに片寄るさくら餅   夏掛の母を流れてしまひけり   父と子と聖霊の御名により蓑虫   鮟鱇のかならず点る魚図鑑   後頭に柱親しき麦の秋   視野の端突いてゐたる金魚かな   家中のテレビ笑ひぬ夜の秋   一生に栞挟みて昼寝せる   この日暑きことも大事や敗戦日   梟も大僧正も居るには...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.04.10 Wed 23:24

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