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坂本和加子『句集 水辺』(北溟社)

    平成13 「浮野」同人 第2句集   すぐとまるおもちやの汽車に冬の蝿   子育てを吾娘にあづかる蝶の昼   師を乗せてたくあん匂ふ愛車かな   蝶の昼ボタン摑みて寝に就く子   ハンドルを野に向け月に向けてをり   病気にも恋にも無縁夏帽子   しろがねの水くろがねの虫の声   としよりの中に母ゐて冬うらら   仏守り孫守る家居日脚伸ぶ   恋妻も共に老いつつさくらんぼ   ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.02.07 Wed 20:06

北川あい沙『句集 風鈴』(角川マガジンズ)より

    平成23 無所属 第1句集   春の野を子供は転ぶまで走る   空色の目をしてしやぼん玉を吹く   ひとの声してをり朝寝してゐたる   木蓮の版画のやうに咲いてをり   春風のそよいで人の居ない部屋   父の日のみづうみを見て帰りけり   蛇の棲む庭美しき花の咲き   夕顔のひらいて猫の帰らぬ日   風鈴の音色はきのふよりはるか   草の実のとんでひとりにやさしい日   紅葉のして...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.02.03 Sat 00:11

千鳥由貴『句集 巣立鳥』(ふらんす堂)より

    2023年 「香羽」同人 第1句集   身ごもれることなど知らず磯遊   小説にならぬ人生苔の花   歳月はここにも流れ蝉の穴   風鈴をすべて鳴らしてひとつ買ふ   木には木の言葉のありて木の実降る   育児書に引く傍線や明易し   夢でなほ吾子にかしづく良夜かな   去り際に祈りの言葉クリスマス   亀鳴くや勾玉に目のごとき孔   みづからの呼ぶ風に散り山桜   筍に長幼の序のご...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.01.30 Tue 19:01

柳井梗恒子『句集 面晤』(邑書林)より

    2006年 「幡」会員 第1句集   汁椀をおきて黙祷原爆忌   つぶらなる眼の蓑蟲と出会ひたり   泥の中高野聖の足掻きゐる   麥埃腕にはりつく眞晝かな   空中庭園借景は雲の峰   娘生れたり数へ日のそのひと日   井伏鱒二逝く はんざきや?き雨など降らすまじ   眼に鱗飛ばせて鰯選別す   料峭のことばやさしく拒まるる   貴船路は木にも石にも鴨足草   走り根の行きつくところ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.01.29 Mon 22:13

第388回坐忘会 令和6年睦月句会

JUGEMテーマ:俳句     開催日:令和6年1月14日(日)   場 所:本部道場 南寮会議室   参加者:8名  投句者:6名    令和6年の初句会で蕉山さんが実力を示しました。  特出しの句が無く、6句が3点句で並びました。  最高得点者は“蕉山さん”でした。    今回の兼題は「雪」「小正月」「寒玉子」   ------各自の高得点句を紹介します。--------                         ※ラーメンは誰でも出来て小正月 ...

座禅修行だより | 2024.01.23 Tue 08:41

名和直子『句集 月の浪』(東京四季出版)より

    平成23 「浮寝鳥」同人 第1句集   例年の茸狩り誘ふ母の文   挿木より育てし乙女椿かな   念入りに手鏡ふきて業平忌   麩まんぢゅう届き新茶の封を切る   鳰の子の波のひかりに紛れけり   柿を選る婆一疊の日の筵   十夜鉦とゞめの一打ありにけり   角を伐る神官鹿の口に水   リュックより犬が顔出す紅葉狩   極月の禪堂に日の映りきし   墨とばし鶴一文字の吉書かな &...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.01.22 Mon 19:15

植山露子の俳句

私ことお父さんは、昨年(2023年)暮れに、俳人・水原秋櫻子の『近代の秀句―新修三代俳句鑑賞』という本を古本で買ったのだけれど(名著だが現在は絶版のため、少々高かった)、その中で「植山露子(うえやま つゆこ)」という女性の俳人の次の句に心惹かれた。   電車ゆき夏草なびく夜のふかさ   植山露子とは聞いたことのない名前だったので、ネットで検索してみたが、あまりはかばかしい結果は出てこなかった。そこで、「この世のすべてがそこに置かれている」で有名な、国立国会図書館デジタルコレクションで...

お父さんは今だいたいこんな感じ。 | 2024.01.17 Wed 01:48

阪脇文雄『句集 鉤引』(文學の森)より

    平成17 「運河」「三重俳句」同人 第2句集   厚さ増す妻のカルテや春寒し   耕せり枯野の端を捲るごと   山国に暮らせば寡黙冬木立   涅槃図の嘆きの外にゐて嘆く   蟋蟀の黒目に見つめられゐたる   訃を知らす硬貨の冷えをにぎりしめ   伏して嘆く仰ぎて嘆く涅槃絵図   釈迦像を残し剥落涅槃絵図   川瘦せて鮎も終りのころなりぬ   母死にて寒夜どやどや人が来る   ...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.01.15 Mon 19:59

辻田克己『句集 ナルキソス』(ふらんす堂)より

    2007年 「幡」主宰 第8句集 雪消えて森や林や田や畠 教育大構内(キャンパス)にあり蝌蚪の国 筆立にぎしと団扇も挿してあり 虫売の目の高さまで子は跼む しぐるるや都大路は昆布の艶 風邪の子に鶴折つてやる薬包紙 マスクの息熱く京大俳句展 目薬をさせば一転クリスマス これしきの石に躓く年の暮 絶食の他なく寒く寝る他なし 扇風機どちら向いても顔ばかり FAXがでれでれ休暇明けに来る 冷まじや火を免れし般若経 妻の手より宙跳び蜜柑われに来る 凩の中...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.01.15 Mon 10:47

飯田龍太『句集 山の木』(立風書房)より

    昭和50 「雲母」主宰 第6句集 冬深し手に乗る禽の夢を見て 茶の花の映りて水の澄む日かな 凍雪を踏みてこころの花模様 子燕が育つ雲雀の声のなか 花びらを重ねて寒の菊にほふ かたつむり甲斐も信濃も雨のなか 鱒池の隅に手毬の浮く暮春 山々に闇充満し夏に入る あるときはおたまじやくしが雲の中 涼しさに鳥が深山の声を出す 偽りのなき香を放ち山の百合 蛇笏忌の杉が屈託なく高し 茶畑の空はるかより鰤起し 破魔矢ゆきあとまたねむるなまこ壁 祖父の世...

《本の出張買取》京都・全適堂 店主ブログ | 2024.01.09 Tue 18:50

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