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阪西敦子『句集 金魚』(ふらんす堂)より

  2024年 「ホトトギス」同人 「円虹」会員 第1句集   藤棚を仰げば降りてくる香り   惜春の女の多き車両かな   身支度は誰より早く旅涼し   注がるる勢ひに乾し生ビール   振り向きて流れて汗と気づきたる   空蝉の本当によく出来てをる   秋雨にフランス人は傘ささず   短夜や車窓次々映すもの   ナイターの果ててゆらゆら帰りけり   溺れゐるごとくに西瓜食べてゐる   石橋も木...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.13 Sat 19:29

宇虚人(林望)『句集 しのびねしふ』(祥伝社)より

  平成27 作家 「夕星俳座」主宰 第1句集   汗臭し側へな寄りそをのこども   苺煮つつシャンソン歌ふ母なりき   香りけりしぐれ過ぎゆく畑の土   肩に落つひとひら花の重さかな   カメラ手に秋風吹くを畦に待つ   キリキリと螺子巻く音に午睡醒む   責められて目覚めて夢か夜は長し   天に月地に終電の客の列   生足のさむざむとゆく朝の道   脳天に棒刺さりたる暑さかな   母の...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.12 Fri 18:38

相子智恵『句集 呼応』(左右社)より

  2021年 「澤」同人 第1句集   我に吹く春一番や誕生日   ひやひやとさかづき指にくちびるに   手拍子に変はる拍手やクリスマス   掛けて父の背広の重し春の暮   夏シャツの我も戦士や残業す   まゐつたと言ひて楽しき夕立かな   熱狂は対岸にあり揚花火   壁紙の嘘の木目やそぞろ寒   にはとりのまぶた下よりとぢて冬   初雀来てをり君も来ればよし   鉛筆に手首汚れし夜食かな ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.11 Thu 18:44

伊藤晴子『句集 さくらさくら』(ふらんす堂)より

  2021年 「春嶺」主宰 第1句集   花行脚桜絵巻を解くごとく   籐椅子に遺りし父の坐りぐせ   新酒利く珠のごときを舌にのせ   月光にかざし虫籠選びけり   牧草を刈つて火の国冬に入る   春昼や木に宙吊りのなまけもの   戦没者碑に水明り花明り   ひとすぢの光さしこむ氷室かな   もの言はぬ冬木の幹のあたたかし   飛花落花勝気な馬の耳うごく   見失ひしのすり日の矢にをどり出...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.11 Thu 09:45

宮坂静生『句集 鑑真』(本阿弥書店)より

  2024年 「岳」主宰 第14句集   山笑ふ水の笑ふといふことも   切岸を伝ひ来盆の黒揚羽   仲良くもわるくもなくて鰯食ぶ   うそ寒き首より上が人の顔   うしろから列車くる音憂国忌   枯るるとは根を鍛へよといふことか   貌鳥や飯島晴子死後永し   薫風に道といふものありにけり   霜の夜は満鉄全史繙ける   逝きしひと声から忘れ鳥曇   八十年は道草といふ薄暑   汗か...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.10 Wed 20:30

高柳克弘『句集 涼しき無』(ふらんす堂)より

  2022年 「鷹」編集長 第3句集   戸口まで蟹の来てゐる房事かな   卓の上伏せし団扇の少し浮く   魚速し水面の紅葉くぐるとき   教室をふいと出てゆく黒セータ   しやぼん玉吹く子攫はれさうな首   ぶらんこを押してぼんやり父である   忘るるなこの五月この肩車   黄昏や蠍の如く寄る落葉   絨毯にパズルピースの青空が   胡桃割る一回きりのひびきけり   武者乗することなき馬の...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.07 Sun 20:48

川上弘美『句集 王将の前で待つてて』(集英社)より

  2024年 第2句集   花あふひなじみになると店変へる   足にふむ夜濯ぎホテル三泊め   出汁吸うて揚玉ふとる夜寒かな   性欲満ちきれず菜飯食うてをる   息吐いて吸つてまた吐く日永かな   爽やかに車椅子駆る女かな   裸子の這ひ這ひ速し泣きながら   白玉のくぼみや明日は金借りな   春しぐれ釈迦も芭蕉も腹くだし   中腰に請求書読む寒さかな   裏がへり表がへりて蛇泳ぐ   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.05 Fri 19:37

西村麒麟『句集 鷗』(港の人)より

  2024年 「麒麟」主宰 「古志」同人 第3句集   獅子舞の後ろ足より大男   手鞠唄影が濃くなり薄くなり   手で顔を触り蛙でありしこと   汚れてはをらねど掃除彼岸寺   靴の上に置く靴下や磯遊び   味噌醤油海女の営む何でも屋   風薫る古代ローマの服が欲し   虫売の細字すずむしくさひばり   インバネス死後も時々浅草へ   淡々と金の話や懐手   荷風忌の音立てて切るメンチカツ ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.04 Thu 19:36

石田波郷『句集 酒中花以後』(東京美術)より

   昭和45 「鶴」主宰 「馬酔木」同人 第14句集   春の雪病み臥すものらさざめきて   水原先生 巨き掌を賜ひ新茶を賜ひけり   かへり來し命虔しめ白菖蒲   蛍籠われに安心(あんじん)あらしめよ   骨つかみ看護婦裸拭きくるる   黄葉を見よと硝子を拭きくるる   萬兩や癒えむためより生きむため   書初の墨病室をかをらしむ   見舞びと妻も歸りぬ櫻餅   實櫻へ尾長鳥降下の尾羽を割り ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.12.01 Mon 19:07

有馬朗人『句集 黙示』(角川書店)より

  2017年 「天為」主宰 第10句集   細細と記して重し古日記   古人にもありしいにしへ春の雪   過ぎたる哉龍天に巻く大津波   滅ぶべきは亡びて万里霾れり   金亀虫父へ放れば母へ飛ぶ   銀やんまジュラ紀の空の青さかな   タレースの万物は水澄みにけり   冷え冷えと神学大全月光に   九龍の舞ふ初暦開きけり   マヤの森夏暁の月細し   サーカスや白夜の空へ身を投げる   ...

《本の出張買取》奈良・全適堂 店主ブログ | 2025.11.30 Sun 19:04

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