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JUGEMテーマ:戯言 パーキングでは慌ただしい人たちが行き交っている。タイムリミットがすぐそこまで迫っているような表情。でもそんなものは本当は存在しないことを私は知っている。流れは途切れることなく、新たに上書きされることもなく淡々と続いていく。たぶん永遠に続くわけではないだろうけれど、私たちのような短命な生命からすれば、それは永遠と同じくらいの長さだ。それでも扉をくぐり抜けたがる人たちがいるようで、街には幾つも扉が設定されて並べられる。一つ抜ければすぐに次の扉が設定され、その度...
pale asymmetry | 2024.12.23 Mon 18:58
JUGEMテーマ:戯言 濁った青空は、世界がとっくに終わっていて、全ての風景は世界の亡霊なんだと告げているようだった。それでも風は澄んでいたから、少年はその青空からのメッセージはフェイクだと確信した。 「そうだね、世界はまだ始まってさえいない」 少年の足下で、機械仕掛けのカエルが言う。少年を見上げて、軽く跳ねる。 「なら、僕らは今世界にいないの? 僕らは今どこにいるの?」 機械仕掛けのカエルが高く跳ね、二度三度とスピンする。着地した瞬間に、何かが作動するクリック音を少...
pale asymmetry | 2024.12.19 Thu 21:31
JUGEMテーマ:戯言 その人の問いかけがよく解らなかった。もちろんそれが見知らぬ言語だったわけではない。聞き慣れた言葉で、だから言葉自体に不明な箇所は全くなかった。それを定形として捉えるのならば、定形の返事は私のなかにあったし、そのバリエーションも無数にあった。でもその人と定形の会話をする意味が私には解らなかった。その人は私に興味がない。私もその人に興味がない。だから何故その人が私に興味のある振りをするのかが、よく解らなかったのだ。あるいはそれは私の思い違いで、その人は私への興...
pale asymmetry | 2024.12.18 Wed 18:49
JUGEMテーマ:戯言 失われた事象は、文字通り失われてしまっているので、それを取り戻すことは出来ない。ではそれは、取り戻さなければいけない事象なのだろうか。あるいは、それは失われてはいけない事象だったのだろうか。あるいは、失われてはいけない事象などあるだろうか。哀しいくらいに全てが失われていくこの世界で。今この瞬間、瞬きする一瞬で、無数の事象が失われている。それはまごうことなき現実。そしてそれこそが世界の本質なのかもしれないと思える。私たちはそういう世界に両足を付けているからこ...
pale asymmetry | 2024.12.15 Sun 18:47
JUGEMテーマ:戯言 逆回転の可能性を探る行為。許されるのか道なのかは解らない。切断を嫌っているのは私だけではないだろう。電子の水面にはそういう類いの波紋が重なり合っていたから。 取り敢えず避難する。無限の空転が、収まりそうにないから。全てをうっちゃって眠ってしまっても良いけれど、それだと上手に眠りを手繰り寄せられないように思えてしまう。そういう弱さを私は抱えているのです。それにプレパラシオンで張り詰めたままでは先に進めないし。エネルギーは解き放たれなければいけない...
pale asymmetry | 2024.12.15 Sun 18:44
JUGEMテーマ:戯言 それは一見難解なパズルに思えた。だから慎重に指先を伸ばし、見えるものの裏側を探る。見えるはずの無いものは、存在しないものと同じだけど、それを指先でなぞる。触れている感覚なんてしない。見えていないから本当になぞっているのかも解らない。それでもゆっくりと指先を動かし、ひょっとしたら幻影かもしれないそれを形作る。全ては出鱈目かもしれない。私の身勝手な絵空事かもしれない。けれど見える風景に現れたのは、私がパズルの完成形として描いた風景と相似だった。私は上手になぞれ...
pale asymmetry | 2024.12.12 Thu 21:31
JUGEMテーマ:戯言 「その熱量は自分には関係ないわ」 彼女は淡々とした口調で言う。その表情にも感情は浮かんでいない。 「私にも関係ないわ」 私は言葉を返す。それは私の本心で、その熱量にとくに興味はない。けれどその熱量が誰かを傷つけていることは確かなこと。あるいはその熱量を放つ本人も痛めつけているかもしれない。 「プログラムを全て組み替えましょう」 彼女が指先を躍らせながら宣言する。 「全てではなく一部で良いでしょう。その方がスマートだわ」 私が言うと、彼女...
pale asymmetry | 2024.12.11 Wed 20:39
JUGEMテーマ:戯言 朝の陽光は、何かを企むような揺らぎを秘めているように思えた。時間は加減速を繰り返し、私を翻弄しようとしているように感じた。夕べの雨の余韻は風景の端々にも見当たらず、何か大切な事象が世界からすでに失われていうような危うさを感じた。もちろんそんなことはあり得ない。だから失っていたとしても、それは私が失っているだけのことだろう。そんな私の醜態を、世界は笑っているかもしれない。私に背を向けてこっそりと声を殺して。風は冷たかったけれど小刻みに跳ね回っていたので、庭の...
pale asymmetry | 2024.12.10 Tue 18:25
JUGEMテーマ:戯言 「北は女王の方角だから、北に向かえば女王に会えるわよ」 水銀ガエルが大真面目な顔でそう言うから、僕は笑ってしまう。 「だって北は冷徹な方角で、そして同時に公明正大な方角でしょう」 水銀ガエルは僕を真っ直ぐに見つめ、そしてすぐに地面へと視線をそらし、そこに染み込んだコードの解読を始める。 「あるいはあなたは滞っているのかもしれないわね。それなら南に向かいなさい」 水銀ガエルがその場で飛び跳ね、低い宙でトンボを切る。その曲率はどこか滑稽で、やっぱ...
pale asymmetry | 2024.12.08 Sun 18:47
JUGEMテーマ:戯言 たぶん無理をさせているのだと思う。本当は解放しなければいけないのだと思う。そのデバイスは途方に暮れているのだ。袋小路で行く先を見失っているのだ。負荷に痛めつけられ、それでも稼働を強いられ、ただただ空転して停滞するしかないのだろう。与えられた幾つものタスクは、その一つ一つが重く硬い。それを解析しつつ転がしていくためには、自身が傷つくことを受け入れなければいけないのだろう。そしてそれを無条件に受け入れて、デバイスは自滅への道をひた走る。立ち止まることも出来るし...
pale asymmetry | 2024.12.06 Fri 21:25
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