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JUGEMテーマ:戯言 微細な月を探す。そういう月が空にあるのだと聞いた。日暮れまで雨が降っていたので、星もまばらだ。きっと薄雲が夜と戯れているのだろう。仮にそういう戯れがなかったとしても、微細な月は見つからないだろう。私はその月のことを何も知らない。どちらの方向に目を見張れば良いのかも解らないし、どのくらい微細なのかも知らないのだ。けれど、少しばかり高揚している。くだらない毎日を過ごしていると、そういう高揚が必要になる。月が、正確にはこの惑星の衛星が、複数になることがあるのだと...
pale asymmetry | 2024.10.06 Sun 21:23
JUGEMテーマ:戯言 たぶん与えられたのはありふれた空間。そして過剰なデータ。記述して保存することは不可能で、もちろん暗記することなんて出来ない。まあ、そんなことは端から考えていない。勧められた椅子の座り心地は悪くない。アクリルプレートは磨き上げられていて、どんな変換にも対応していそうだ。私から投げかけるコールは何もない。本当は無限にあったけれど、戸惑いばかりが先行してコールを放つことが出来ない。そして雨のように放たれるデータ。そこからコールを選別する。静かに流れているはずなの...
pale asymmetry | 2024.10.05 Sat 18:52
JUGEMテーマ:戯言 ガラスの向こうのテーブル席から、少女が真っ直ぐに私を見つめている。迷いのない視線。でも私が何者かを計りかねている。ここは地面から十分に離れた宙空だから、そんなところで澄まし顔でガラスを拭いている私を上手く理解できないのだろう。ましてや私の背中から生え広がる一対の翼が何を意味するのかもよく知らないのだろう。たぶん初めて見るのだ。私のような存在を。少女はガラスの向こうで母親らしき人物に話しかける。私のことを指差しながら話しかけているから、私が何者なのかを母親に...
pale asymmetry | 2024.10.04 Fri 21:33
JUGEMテーマ:戯言 そういうわけで、傘を忘れてしまった。私が忘れてしまったということは、傘の方も私を忘れていることだろう。雨は強くはなかったけれど、一粒一粒が大きくて、押しつぶされているような気分になる。そんな私を見下ろして、カラスが「ワウワウ」と鳴く。カラスを見上げて私も「ワウワウ」と鳴いてみる。けれどその声は泣き声のように響いてしまった。それはきっと雷鳴のせいだ。そうであるならばカラスが鳴いているのは雷鳴に対してなのだろう。その眼差しは確かに私に向けられているけれど、私に...
pale asymmetry | 2024.10.03 Thu 20:37
JUGEMテーマ:戯言 それは致命的な死角だよ。彼にそう言いかけて言葉を飲み込む。言ったところでたぶん理解してもらえないだろうと思ったから。例えばホワイトボードに図式を記してその死角を証明したとしても無駄なことだ。死角の存在を認識することは出来るのだけれど、その死角が何を意味するのかが理解できないのだから。確かに死角は存在しますけれど、それがな何か? というような反応をされることは目に見えている。だから私は何も言わなかった。何も言わなくても世界は回転し続ける。その死角が重大な事態...
pale asymmetry | 2024.10.02 Wed 21:12
JUGEMテーマ:戯言 くだらないな、と小さく呟いて紛らわしてみる。問題は何を紛らわしているのかが解らないこと。それを探ろうとすると吐き気に襲われる。吐いてしまえば楽になるのかもしれないなと考えつつも、吐き出すことが出来ない。それは失ってしまうことが恐いのだと思う。何も失いたくないのだ、私は。出来れば際限なく過剰に装飾を身につけていきたいのだ。でもきっとそういう想いこそが吐き気の原因なのだろう。失ってしまえば良いのだ。失ってしまうものは、失っても良いものなのだから。それは失うこと...
pale asymmetry | 2024.09.29 Sun 21:16
JUGEMテーマ:戯言 少女は旅立ったのだという。心臓の裏側がチリチリと疼いていたのはそのせいだったのかもしれない。いや、そんなの偶然だ。何にでも意味を見いだしたり、理由を考えたりしても仕方がないのだ。そんなに世界は理路整然とはしていない。いつか少女が言っていたじゃないか。「応答せよ、出鱈目な世界」と。私はそれに応えたくて、思い切り背伸びしてみたりしたけれど、高い塀の向こう側は全く見えなくて、だから結局蹲って微睡んでみたり。そのせいで少女のことが希薄になり、しばらく他ごとに捕らわ...
pale asymmetry | 2024.09.27 Fri 18:59
JUGEMテーマ:戯言 断続的に雨が降る。強く斜めに降る。機能的に可変的に降る。そして私を承認しようとする。堪えきれずに笑ってしまう。その承認は不必要。私が欲しいのはそれではない。どちらかと言えば嘲笑だ。私もそれに嘲笑を返す。そうやって世界を機能させたいのだ。本来の滑稽さで。だってそういうものでしょう。私やあなたの相対的な世界ではなく、絶対的な世界の話。どこまでいってもくだらないステップ。気まぐれな旅にも苦労する。窮屈というわけではないけれど、窮屈だといわなければ変人扱い。でも風...
pale asymmetry | 2024.09.25 Wed 18:27
JUGEMテーマ:戯言 顎を上げれば半月。今朝の予報では絶え間ない雨だったはずなのに、空は薄雲と青。その薄雲と同じくらい白い月。方舟ならば転覆している。生命は世界から失われている。でもそれを見つめている私は生命。だからそれは異なる世界線の話。そこから顔を覗かせている月なのだろう。転覆する方舟の世界には、もう青空しかない。その青空を見つめる生命はいない。その生命を見守る神様もいない。遠い銀河の真ん中から知性体が訪れたとしても、魅力を感じずに立ち去るだろう。そして私はこちら側。方舟が...
pale asymmetry | 2024.09.24 Tue 20:31
JUGEMテーマ:戯言 「翼なんていらないよ」 灰色の鳥は言う。コバルト色の瞳は私を見つめていない。私もその鳥と視線を絡めたりしない。鳥はどこにも存在しないし、同じ意味で私も存在しない。空の半分は鬱々とした分厚い雲に覆われていて、残りの半分はパステル調の青が広がっている。どちらも本物の空だというのなら、同じ強度でどちらも偽物だろう。あるいは双方が双方に擬態しているのかもしれない。その結果として入れ替わっただけという可能性も否定できない。何にしても私と鳥との距離は、微妙に近く微妙に...
pale asymmetry | 2024.09.23 Mon 20:58
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