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JUGEMテーマ:戯言 その地図は正確ではない。というか、正確な地図など存在しない。この世界の地図ではないのだから。しかしここで言う正確さとは、そういうことではない。その地図が固定されないことに対する不正確さのことを言っているのだ。その地図は、際限なく変態している。だから油断していると、自分の現在位置を見失ってしまう。そして進むべき方向も解らなくなってしまう。もちろんその地図に描かれている世界を、私は旅しているわけではない。それでも、その地図をもとに進まなければいけないのだ。地図...
pale asymmetry | 2025.05.29 Thu 18:11
JUGEMテーマ:戯言 壺は取り敢えず完成していて、それは壺として機能している。けれどそれが注文者の期待に合致しているのかが解らない。合致しているとしても、どのくらい合致しているのかが解らない。それは教えてもらえないから。もちろん全く合致していないのなら、私はこの壺を放り投げて砕き、新しい壺を作り直さなければいけない。その時間的な余裕があるかといえば微妙なところだけれど、不可能だと断言するほど切迫しているわけでもない。けれどだらだらと判断を先送りすれば、その時間は失われていく一方...
pale asymmetry | 2025.05.25 Sun 15:54
JUGEMテーマ:戯言 探求に明け暮れる者たちは、長い時間の果てにその領域に辿り着いたのだろうと思われる。その裾野は広く、とても希薄でとても粗である。そんな風に私は考えていたのだったけれど、よくよく観測すると、それはとても密であり、幾つもの素子が関連する紋様を描いていたりするから、幸せな気分になる。探求に終わりがないことは確かなことだけれど、探求によって何を得ようとしているのかがよく解らなくなると、探求者は探求することを探求し出すようだ。これも詳細な観測によって感じられた結論。つ...
pale asymmetry | 2025.05.24 Sat 20:09
JUGEMテーマ:戯言 路地の奥から猫が私を見つめていた。その眼差しは高貴で、知性に満ちているように思えた。けれど同時に、何にもこだわらない愚者のそれにも思えた。どちらも同じくらい孤高で軽やかだから、どちらであったとしても、あるいはどちらも一緒に抱えていたとしても、矛盾は生じないだろうと思えた。だから羨ましかった。私は立ち止まり、鋭い日差しをうなじに感じながら、猫と対峙する。風はなく、静かな午後だった。もう世界はとっくに終わっているのかもしれないと思えるくらいに静かだった。私とあ...
pale asymmetry | 2025.05.23 Fri 17:42
JUGEMテーマ:戯言 遠い声に耳を傾ける。幾つもの声が遠くから直線的に降り注いでいるから。言語は、人の数だけあるのではないだろうか。そんなことを考えながら、一身に声に耳を傾ける。大切な言葉が放たれているのだということがよく解る。だって、私もそうだから。大切な言葉を放っているんだ。恐れ戦きながら放っているんだ。誰かに届いて欲しいと思いながら、誰にも聞かれたくないと思ったりもしている。矛盾する想いを天秤に乗せて、二つの皿が踊るように揺れ動くのを凝視したりしている。この声の人たちもそ...
pale asymmetry | 2025.05.22 Thu 19:19
JUGEMテーマ:戯言 たぶん私は、今ゆるやかに失っているのだ。ひんやりとした流れに包まれながら、そんなことを思った。纏っていたスキルをゆるやかに失うことによって、新たなスキルをゆるやかに得ようとしてるのだと思えた。おそらく獲得と喪失とは、そういう関係で成り立っているのだろうと思う。つまり、喪失が先なのだ。何も失うことなく、何かを得ることは出来ないのだろう。生命科学的に言うのならば、トレードオフのようなもの。錬金術的に言うのなら等価交換のようなもの。失うことによって私の内に空白の...
pale asymmetry | 2025.05.21 Wed 18:09
JUGEMテーマ:戯言 指先から膨れ上がる血を見つめる。紅玉のような鮮血を舌先で舐め取ると、綺麗に錆びた歯車の味がした。それは噛み合ったまま軋むだけで、回転を生み出すことは出来ない。生み出されない回転は、何を踊らせることも出来ないから、私の血はただ濃密な記号とかして無闇矢鱈に私の奥底に滲み広がるだけだ。この場合の無闇矢鱈というのは、濃密な血の意志ではなく、もちろん私の意志でもなく、傍若無人なあの人の我が儘のことだ。あるいはあの人は甘えているだけかもしれない。あるいは自分に都合の良...
pale asymmetry | 2025.05.20 Tue 18:16
JUGEMテーマ:戯言 取り敢えず、庭の一角を掘ってみる。けれどそこにFを発見することは出来なかった。そこにFが眠っていたという形跡もなかったし、これからそこにfが芽生えそうな気配もなかった。だから私は海辺まで歩いた。波打ち際で、濡れた砂を掬ってFを探してみる。指の隙間からボサボサと落ちる砂に、Fが混じっているような感じはしなかった。足下に落ちて散らばる砂がfを放つような様子もなかった。きっとこういうことではないのだ。そう私は思い直す。私が世界の何処に意識を向けても、そこにはFはない...
pale asymmetry | 2025.05.19 Mon 17:56
JUGEMテーマ:戯言 彼が何をしたいのか、私にはよく解らなかった。多分彼自身にも、よく解ってはいないようだった。混乱していたのかもしれない。そして混乱している自分が嫌いで、その感情がさらに混乱を増幅させていたのかもしれない。事態はとてもシンプルだった。彼は探していたのだ。探し物は小さな箱の中にあるはずだった。けれど彼がどんなに目を凝らしても、箱の内には何も入っていなかった。箱は空っぽだったのだ。でも彼は諦めることなく、箱の内を凝視し続ける。もちろんそうし続けていれば、いつか探し...
pale asymmetry | 2025.05.18 Sun 17:35
JUGEMテーマ:戯言 自由にやって良いのだよとその人は言うけれど、明確なルールがそこには存在するのだとも言う。それはつまりどういうことなのだろう。自由ではないと言うことなのか、ルールはあるけれど自由だと言うことなのか、それともルールがあるから自由に振る舞えるのだと言うことだろうか。「君たちは、ルールがなければ自由に振る舞うことが出来ないだろう?」と問われているようだ。ルールの枠の中にだけ自由が存在するのならば、それはきっと不細工なルールだろうなと思ってしまった。もちろんそういう...
pale asymmetry | 2025.05.17 Sat 20:28
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