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JUGEMテーマ:戯言 私の郷里では、お盆の初日に魂を迎え入れるために水を燃やす。幼い頃、水が燃えることを教えられてそれを信じていた。少し成長して水が燃えるはずがないことを知った。でもさらに成長して、水が燃えるのではなく水を燃やすのだということに気づいた。水が燃える、と水を燃やす、は全然違うのだ。前者は現象であり、後者は儀式だということ。それならば実際に水が燃えているわけではないのかというと、もちろんそうではない。水はしっかりと燃えているのだ。碧い炎を揺るがせて。その炎はひんやり...
pale asymmetry | 2024.08.13 Tue 18:45
JUGEMテーマ:戯言 庭の真ん中に象が佇んでいる。いや、この表現はおかしい。庭は小さくて、象がそこに収まると象だけで満たされてしまっていたから。だから象は真ん中にいたわけではなく、庭を埋め尽くしていたのだ。私は庭に面した縁側に座っていた。両腕で膝を抱えて体育座りしていた。脚を庭に投げ出すことは出来なかった。それをすれば象と融合してしまいそうだったから。庭への入り口は小さな木戸しかないから、象はきっと空から下りてきたのだろう。だから普通の象ではないはずだ。形は象のようだったけれど...
pale asymmetry | 2024.08.12 Mon 18:47
JUGEMテーマ:戯言 その小さな渦を、少年は握りつぶすことが出来ない。その渦が、彼の行動を不細工にする乱流を生み出しているのに。それどころか、その渦の存在そのものに彼は気づいていない。何故、自分が乱流に翻弄されているのかが理解できないようだ。足りない事象を明確にすることは難しいだろう。彼にも難しいだろうし、彼のメンターたちにも難しいようだ。彼には罪はないだろう。彼は無知だけれど、それは罪ではない。試行錯誤を怠っていることは罪かもしれないけれど、そのメソッドを誰も彼に教えていない...
pale asymmetry | 2024.08.11 Sun 19:04
JUGEMテーマ:戯言 仕事帰りに坂道を上る。息をするのが嫌になるほど空気が熱い。今日は仕事が早く終わったので、日はまだ傾いていない。だから殺人的な暑さのなか、坂道を上る。過剰に青い空のどこにも雲が見当たらない。立ち上がる白雲を求めて視線を全方位に彷徨わせるけれど、欠片も見当たらない。もう世界は滅んでいるのかもしれない。私たちはどこで間違えたのか。それとも間違えなかったからこんな風になってしまったのか。坂道を下ってくる影。黒い影。鳥だった。でも私と同じくらいの背丈の鳥だった。だか...
pale asymmetry | 2024.08.09 Fri 20:44
JUGEMテーマ:戯言 拡散する事象が痛みならば、それはもうどう仕様もないのだろうか。見えない傷は今だ無数にあって、かつてであればその傷は個々に自閉していたのだろうけれど、今や瞬きをする間に世界中に拡散されてしまう。それがあるはずのない傷のあるはずのない痛みであったとしても、拡散する過程で確固とした存在を獲得し、さらに強く増幅されてしまう。ましてや実際に刻まれた傷であるならば、時間と共に薄まるということもなく、痛みは際限なく濁りながら粘度を増して残り続けるのだろう。そこに足を踏み...
pale asymmetry | 2024.08.06 Tue 18:46
JUGEMテーマ:戯言 暑い夏は、平坦に過ぎていく。私は中性的に過ごしている。汗を滴らせているけれど、生きているという確信は持てない。足取りがフワフワして、やがて枯れてしまいそうだ。水分が足りないのだろうか。いやそうではないだろう。潤っていることは解っている。奥底には泉を抱えている。止めどなく澄んだ水が湧き上がっている。冷たく濃密な水だ。それでも時間は簡素なリズムから抜け出せない。だから私は退屈している。食事して、排泄して、眠る。夢を見たかもしれないけれど、すぐに忘れてしまう。す...
pale asymmetry | 2024.08.05 Mon 19:13
JUGEMテーマ:戯言 部屋の隅でスピンするスピネルは踊っているわけではない。部屋の空気や私の心を攪拌しているわけでもない。分厚いカーテンを閉め切った部屋は綺麗な薄闇に満ちていて、スピネルのスピンは輝いてはいない。それでも八つの色彩を纏ったスピネルたちの群が、その色彩を私に滲ませようとしている。レッド、ピンク、オレンジ、コバルト、ブルー、グリーン、パープル、ブラック。全ての色彩が私に染み渡ったとき、私は次のステージに翻るのだろうか。そしてどのように変化するのか。それは進化か。それ...
pale asymmetry | 2024.08.04 Sun 19:24
JUGEMテーマ:戯言 コヨーテと踊る。手を取り合って。つまりコヨーテは立ち上がっている。進化したコヨーテだ。二足歩行を始め、脳が肥大化している。私よりも随分と賢い。だからステップも正確。ステージに起こりうるあらゆる可能性を計算によって予測し、その全てに対応するための準備も怠らない。だから私を見て鼻皺を立てる。私の振る舞いに抜け落ちが多いから。でも私としてはそれこそが個性なのだと思っているから、コヨーテとの相性はよろしくない。いや、正直に言って最悪だ。それでも私はコヨーテと踊る。...
pale asymmetry | 2024.08.03 Sat 19:14
JUGEMテーマ:戯言 テーブルの上には大小様々なグラスたち。色も形も様々だ。適当に水を入れて、それぞれのグラスに個性を与えてみる。もうすぐ正午だから、部屋の中央にあるテーブルには日が差さない。部屋の端々で弾ける陽光のエフェクトだけでは十分な輝きを放つことはない。だからグラスたちは静かだ。おかしいだろうか。だってグラスはそもそも静かだ。叫んだり泣いたりはしない。唸ったりも囀ったりもしない。けれどいつだって内部に音を秘めているのだ。それは確かなこと。でもグラスの本性は空虚だから、取...
pale asymmetry | 2024.08.02 Fri 20:25
JUGEMテーマ:戯言 窓辺で、子猫が外を眺めている。ときおり、ガラス面を弱く引っ掻く。立ち上がり、何かをねだるように鳴く。外の世界に興味があるのだろう。そう思ったから、私は窓を開ける。子猫は外に飛び出し、すぐに視界から消えた。そして戻ってこない。もう永遠に戻ってこないだろう。いやこれは嘘だ。私の命は永遠ではないから、永遠に戻ってこないかどうかは解らない。子猫の命も永遠ではないから、ここで永遠を持ち出すことには意味がない。戻ってくるのか来ないのかより永遠の方が重要ならば、私は人魚...
pale asymmetry | 2024.08.01 Thu 20:24
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