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JUGEMテーマ:戯言 至らない人が小さく叫ぶ。極々小さく叫ぶ。囁き声のような叫び。でもその声には嘲りが色濃く織り込まれていたから、叫びに違いないのだ。糾弾されても知らぬ顔で、至らない人は叫び続けている。そうしていれば大抵のことはやり過ごせると思っているのだ。実際にそうやって今まで多くの事態をやり過ごしてきたのだろう。そのせいで何も身につかず、今もまだ至らないままなのだろう。そしてこの先も至らないままなのだ。だって、本人は至らない事に対して何とも思ってはいないのだから。それどころ...
pale asymmetry | 2025.09.24 Wed 18:12
JUGEMテーマ:戯言 失ってしまった事象があるような気がしても、そう思ったときにはすでにその事象は失われているのだから、失われた事象が何だったのかは解らないし、失われた事象が本当にあったのかすら解らない。私の腕は二本で、私の指は十本で、だから自ずと抱えられる容量には限界があるのだ。たくさんの事象を抱えようとすれば、知らぬ間に零れ落ちる事象だってあるだろう。その瞬間を見逃さなければ、それが何だったのかが解るかもしれないけれど、そんなことにばかり気を配っているわけにはいかない。だっ...
pale asymmetry | 2025.09.22 Mon 18:15
JUGEMテーマ:戯言 船団は、黄昏の水平線に向かってゆっくりと出港した。ある船は大量の酒を積み込み、またある船は大量の宝石を積み込んだりして。この航海の計画は秘されていたから、それぞれの船がそれを推測しなければならない。だからある船は何も積み込まず、またある船は多くの書物を積み込んでいた。何が役に立つのかは解らないから、ある船はたくさんのネズミを積み込み、ある船はたくさんの猫を積み込んだりしていた。何を推測し何を積み込むかは自由だったから、その選択肢は多すぎて、それ故に迷い惑う...
pale asymmetry | 2025.09.20 Sat 20:32
JUGEMテーマ:戯言 そこに何かが存在しているわけではないのに、そこに何かが存在しているような圧力を感じるのは、何かが存在する可能性が渦を巻いているからかもしれない。それは独楽のように、渦を巻くことで安定し、より高速の渦を巻くことを繰り返す。それが際限なく繰り返されれば、取り巻く風景の細部が破綻して、そのせいで生じたささくれが独楽を痛めつけるのに、それでも独楽は回転をやめられない。どこまでも回り続けることで洗練されていくのだと信じているのかもしれない。独楽がではない、私がそれを...
pale asymmetry | 2025.09.19 Fri 20:12
JUGEMテーマ:戯言 横たわる朽木は、もう一欠片の生も感じ取ることの出来ないほどどす黒い色彩に染まっていた。今にも腐敗臭が漂ってきそうだったけれど、もちろんそういうことはなかった。そういう臭いは、きっと裏返って別の世界に流れ込んでいるのかもしれない。陽光はまだ東の低い位置にあり、空気はひんやりとしている。その冷ややかさが、腐敗臭を裏返らせているのかもしれないと思った。近づいてみる。痩せ細った幹は、黒焦げの骨のように見えた。死してなお重要なコードを伝達し続ける脊髄を思わせる。しか...
pale asymmetry | 2025.09.18 Thu 18:24
JUGEMテーマ:戯言 温くなったペットボトルの水で、噛み砕いた錠剤を飲み込む。それは指示に反する振る舞いだけれど、私のことを一番知っているのは私だから、タイミングは私が決めるしかない。風がゆるい日が続いている。午後に通り雨が降るときも、真っ直ぐに雨滴が落ちてくる。疲れた私を潤してくれるのは、それが本当に真っ直ぐに落下してくるからだ。真っ直ぐに落下するそれは、どこからも飛来していない。ただ私が信じる中天から落ちてくる感じがして、だからそれは純粋な潤いのような気がして、癒やされる感...
pale asymmetry | 2025.09.16 Tue 18:18
JUGEMテーマ:戯言 沈黙の部屋では、会話が交わされている。囁き声で、ここではない何処かの様子が語られている。沈黙の部屋では誰も沈黙していなかった。それが当たり前のことのように、この世界から乖離した風景について話し合われていた。誰もが平坦なイントネーションで話し、語気を強めることも声を荒げることも一切ない。もちろん熱を込めて語る者もいなかった。そう言う意味で、そこは沈黙の部屋なのだろうと私は理解した。つまりそこで交わされていた会話は、あるいは囁かれていた言語は、全く必要のない会...
pale asymmetry | 2025.09.15 Mon 17:51
JUGEMテーマ:戯言 早朝の空は立ち上がる白雲に縁取られていて、世界の輪郭はまん丸なのだということを私に教えていた。そのまん丸の中心点はまさに中点にあって、そこには青白い半月が鎮座していた。今朝のこの風景はあの半月が支配しているのだと私は気づく。あるいは、その半月が私を支配しているのだと理解する。だからどこにも行けない。私はここに立ち尽くして、行く末を思い描かなければいけないのだ。自分がどのような過程を経て終わりに向かうのかを、事細かに空想しなければいけないのだ。そしてそれは完...
pale asymmetry | 2025.09.14 Sun 18:17
JUGEMテーマ:戯言 蝶について考える。頻繁に考えてしまう。それが舞い飛ぶ風景についてだとか、そのパタパタが伝播する効果についてだとかではない。そういうことではなくて、蝶そのものの奥底について考えてしまうのだ。だから私が考えているのは、本当は蝶についてではないのかもしれない。それは例えばネズミについてなのかもしれない。カエルについてなのかもしれない。あるいは天使についてなのかもしれないし、人魚についてなのかもしれない。でももちろんそんなことについて考えているわけではない。これは...
pale asymmetry | 2025.09.12 Fri 20:25
JUGEMテーマ:戯言 庭の漆が仄かな朱に染まっている。暑い日々が続いているのに、この子は秋を感じているのだろうか。それとも私たちよりもずっと切実に秋の訪れを願っているのだろうか。早朝から陽光は鋭利で、肌を切り裂いてくる。でも庭の植物たちはそれを真っ向から弾いて煌めいている。人間はどこまでも脆い生命体なのだなと思う。その中でも私は本当に脆い。風がゆるやかだから、空気は真っ直ぐ上昇しているように感じる。庭から中天に色々な事象が奪われているようだ。あるいは様々な事象が捧げられているよ...
pale asymmetry | 2025.09.10 Wed 17:48
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