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JUGEMテーマ:戯言 少年は魔術を身につけようとしているのだろう。つまり魔術の実在を信じているのだろう。そしてそれを身につける能力が自身にあるのだということも信じているのだろう。あるいはある意味、自分は選ばれた者なのだという思いもあるのかもしれない。コミックのヒーローみたいに。でも魔術なんてないのだ。世界は魔術によって構築されているわけではない。あるのは技術のみ。魔術ではなく技術で世界は回転している。そのせいでその回転はひどく歪なものかもしれないけれど、それでも技術が絶え間なく...
pale asymmetry | 2025.02.23 Sun 20:59
JUGEMテーマ:戯言 彼あるいは彼女は、壁から張り出したコンクリートの上で丸まっていた。それはとても小さなスペースだったけれど、彼あるいは彼女は器用に全身をそのスペースに填め込んでいた。彼らは液体であるという説を何処かで聞いたことがあったな、とふと考えて、私は足を止める。その張り出しは斜め下、私の膝下くらいの高さ。物干しから風に掠われた衣類が重なり落ちた上に、彼あるいは彼女は丸まったまま目を閉じていた。淡い茶色の縞模様。とても明るいトーンだったから、淡いオレンジと言っても良いく...
pale asymmetry | 2025.02.22 Sat 18:47
JUGEMテーマ:戯言 冷たい雨が風景の全てを装飾していたので、出かける予定を全部キャンセルした。例えば毛布に包まって、一日中うつらうつらしていても良いのだけれど、それを望むほど疲れは感じない。昨夜早く眠りにつき、たっぷりと眠ったからかもしれない。それならとヒーターを強めて、カーテンを開き、ついでに部屋中に傘を開いて並べた。特に意味はない。雨の装飾を、私も纏いたかったのかもしれない。でも冷たい雨は嫌。だから架空の雨を取り込むことにしたのだ。傘は全部で七つ。一つ足りないな、と何故か思...
pale asymmetry | 2025.02.21 Fri 17:49
JUGEMテーマ:戯言 眠気にのし掛かられて、私はキーを打つ。眠気に纏わり付かれて、私はキーを弾く。眠気に巻き取られて、私はキーを連打する。降りそうで降らない雨が、その眠気に拍車をかける。たぶんそういう状況が、現実感を希薄にするからだと思う。つまり踊り出しそうで踊らない雨の気配が。あるいは、歌い出しそうなままいつまでも沈黙を守る雨の暗躍が。けれどこれは宝石のような眠気。だから決して眠ってはいけない。だって眠ってしまったら、あとは泥に落ちるだけだ。あるいは泥に堕ちるだけだから。この...
pale asymmetry | 2025.02.20 Thu 17:51
JUGEMテーマ:戯言 不在の人は、当然ながら何の影響も及ぼすことは出来ない。その上誰もそんな影響など求めていないから、なおのこと不在の人の面影は遠のいて行く。遠のいて逝くと行っても差し支えないほどに。誰かが涙しているような気がする。けれどその涙には何の感情も織り込まれてはいないだろう。だからそういう人がいたとしても、その人は自分が涙していることに気づいていないかもしれない。そしてそれはそのままで良いのだと思う。涙していることに気づかなくても、その人が道を違えることはないだろうか...
pale asymmetry | 2025.02.19 Wed 21:00
JUGEMテーマ:戯言 私はとくに傷ついていない。そのことが少しだけ物足りなかった。そのことによって、見失ってしまいそうな気がしたのだ。けれど何を見失うと思ったのかは解らない。見失いそうな何かを自分が抱えているのかどうかも解らない。解らないものは解らないままで良いような気もするけれど、何となく解りそうな気もして、そうなると某かの探求が必要なのではないだろうかとか考えてしまう。しかしもちろんどんなに探求しようとも、件の何かを特定することなどは出来ないのだ。その事にも薄々気づいている...
pale asymmetry | 2025.02.18 Tue 20:26
JUGEMテーマ:戯言 外を照らす広角の照明のおかげで激しい雨ははっきりと見えていたけれど、その雨音は建物の中には全く響いてこなかった。降り始めからの雨量が半世紀ぶりに更新されたと、夕刻のニュースが伝えていた。それから五時間ほど経過した今も、雨脚が弱まりそうな気配はなかった。その夕刻から、つまりテレビモニターを眺めていたその時刻から、ずっと私は空港内に閉じ込められていた。乗り込むはずの機体の準備はとっくに済んでいたのに、それを飛ばすためのクルーが市街のホテルから空港に辿り着けなか...
pale asymmetry | 2025.02.17 Mon 21:40
JUGEMテーマ:戯言 それはきっと水彩の言語。壁は決して高くはない。でもその厚みは無限大。砕くことは出来ないから、必ず乗り越えなければいけない。もちろん引き返すことは可能。あるいは、壁の前で一休みしたり。ティーブレークだってオッケー。横たわって夢想することも。時間は限られているけれど、それに縛られる必要はない。有限だけれど、時間は伸び縮みするものだから。流れているのはやわらかい言語。滲んだりぼやけたりする言語。色鮮やかだけど、尖りはなく冷たさもない。明晰さもないけれど、ふわふわ...
pale asymmetry | 2025.02.15 Sat 18:48
JUGEMテーマ:戯言 冷たい流れを心地よく感じる。そんな自分自身に、少し恐れを抱く。そして恐れを抱いていることに気持ちよさを感じたりもする。自分が何処かに向かっていて、でも何処に向かっているのか解らなくて、それを理解する方法すら曖昧で、理解する必要があるのかすら解らなくなって、何となく流れに身を任せることに、複雑な感触を持て余しているのかもしれない。頭上には水面のような空。青と白灰色の斑模様。優しい模様だなと思いながらも、何かが足りないなと考えてしまう。でもそれが色についてのこ...
pale asymmetry | 2025.02.12 Wed 20:44
JUGEMテーマ:戯言 群がる黒点を前に、私の呼吸が走り始める。焦ってはいけない、もっとスローペースで。そう自身に言い聞かせても、上手くいかない。立ち止まり、天に目を向け、思考を止めてみても、結局コントロールを取り戻すことは出来なかった。その無数の黒点の一つ一つが深すぎたのだ。それは点だから一次元であるはずなのに、何処までも底なしの深度を有していて、だから二次元を通り越して三次元だったのだ。いや、それはさらに多数のディメンジョンを随時増殖していたから、油断していると四次元になり、...
pale asymmetry | 2025.02.11 Tue 19:49
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