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戯言

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戯言
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曇天と雨滴を吹き上げる風

JUGEMテーマ:戯言    湾の奥から吹く風が、細かな雨滴を吹き上げるように踊らせている。纏わり付くそのダンスに、少し戸惑う。水面の揺らぎは紋様として拡がっていて、そこに雨滴の装飾が落ちる。微かな波紋はその紋様を啄んでいるようにも見えるけれど、それほど雨滴が飢えているようには思えなから、きっと喰われているのは雨滴の方だろう。あるいはそう思っている私が一番飢えているのかもしれない。その本性が、世界の核を喰らおうと虎視眈々と狙っているのかもしれない。けれど私は自身の本性を把握していないか...

pale asymmetry | 2026.08.19 Wed 16:57

語ることで飾ること

JUGEMテーマ:戯言    陽光は、確かに銀色に染まっていた。空もまたその色に染まっている。けれどその向こう側に果てのない青があることも確かなことのように思えた。風景の輪郭には、黒雲で縁取られている箇所もある。だから雨も潜んでいることも確かなようだ。つまり真夏だ。永遠の真夏が、刹那に閉じ込められている。 「そういうわけで、僕があなたに語れば語るほど、全てが複雑になっていくように思えるのです」  山高帽の紳士に僕は語る。大きな黒い傘を広げた紳士は、僅かに首を傾げて僕を見つめる。その...

pale asymmetry | 2026.08.18 Tue 18:25

遠い場所と体内

JUGEMテーマ:戯言    低空を滑空するように朝を過ごす。それでも眼差しは銀河の向こう岸に向けたりして。遠い場所について考えてしまうのは、未知の事象への好奇心からばかりではない。日常の足元を確かな感触で捉えたいと考えたりしているからだ。例えば今日は雨は降らない。また真夏の熱を庭が放っている。数日は涼しげな気配が浮遊していたけれど、それは何処かに払われてしまったようだ。どちらが心地良いのかと問われたなら、どちらも心地良いと私は答えるだろう。大きな者が差配している事象というものは、全て...

pale asymmetry | 2026.08.16 Sun 16:29

波打ち際の綺麗な骨

JUGEMテーマ:戯言    早朝が干潮になる日を待っていた。そこに骨が横たわっていることは知っていた。でも波に身を晒せば溶けてしまうことが解っていたので、その骨に近づけなかったのだ。骨は嵐によってもたらされた。黒く穢れた骨だった。でも綺麗に穢れた骨だった。それはたぶん架空の偶蹄類の骨だ。長い角を二本有していて、前脚は異様に長く、後ろ脚は存在が疑われるほど短い。昨日までは、まだ波がその骨を洗っていた。ゆるやかで優しい波だったけれど油断できない。波とは、此処ではない異境へと掠っていく腕だ...

pale asymmetry | 2026.08.15 Sat 19:41

空白に引っかかる暗号

JUGEMテーマ:戯言    取り敢えず空間は無駄に余っていた。だから空白が空虚に漂っていた。例えば時間を再構築するためにそれが必要であったのなら、まあそういうものだろうと受け流すことが出来ただろうけれど、その空白は全く必要のない事象であるとしか思えなかった。少年と少女は向かい合い、沈黙を投げたり受けたりしているようだった。そしてそれに飽きてしまうと、互いの微睡みを空白に浮かべて、それが鬩ぎ合うことを望んでいるようだった。少女の方がやや用心深かったようで、微睡みからさらに沈みそうになる...

pale asymmetry | 2026.08.14 Fri 18:34

架空の鮮血

JUGEMテーマ:戯言    その人は揺らめいていたけれど、微笑んでいることは解った。懐かしい人というわけではない。見知らぬ人だ。けれど私のことはよく知っているような気がした。私がその人に詳細に教えたような気がした。初めて会った人だということは、確かな感覚なのに。その人は両手を私に差し出し、抱き寄せようとする。私は本能的に後退り、その手を逃れた。その人は首を傾げて、懐からナイフを取り出す。そして、自分の頬を切った。微笑んだままで。頬から滴ったのは?い血だった。けれどその黒は綺麗だった。...

pale asymmetry | 2026.08.13 Thu 18:15

水槽は満たされている

JUGEMテーマ:戯言    水槽はすでに満たされていて、そして私にはどうすることも出来ない。そこに満たされている液体の成分を変えることも、水槽の水位を増減させることも、もちろん溢れさせることも。水槽がすでに満たされていることも、私は全然知らなかったのだから、そういうことは何も出来るはずがないのだ。そういう意味でその水槽は宿命なのだろう。そして私に出来ることは向かい合うことだけなのだろう。何が水槽に満たされているのかを探究すること。その水位の増減を正確に把握する術を探究すること。出来る...

pale asymmetry | 2026.08.12 Wed 18:15

錯綜する感触

JUGEMテーマ:戯言    公式はすでに確立されていて、それは世界の至る所で蠢いていて、だからそこに数字を当てはめるだけで完成するべき事象は完成してしまう。どんなに奇妙な変数を取り入れたとしても、それで揺らぐような公式ではない。そのようなものは生き残ることなく淘汰されて、現在には公式として認識されることはないからだ。それならば私はそこに数字を、私が綺麗だと感じる数字を放り込んで、さらにその数式を綺麗に装飾することが最善なことなのだろうか。それとも不備のないはずの公式に、無理矢理に不備...

pale asymmetry | 2026.08.10 Mon 14:32

静かな嵐と蹂躙

JUGEMテーマ:戯言    静かな嵐はひたひたと蠢く。その存在は自明であるにもかかわらず、私はその存在を疑ってしまう。街角の自動販売機にコインを投入するように、少しの罪悪感を抱えながら疑ってしまう。扉を開けて外に出ればはっきりとすることだろう。そう思って外に出てみたりしたけれど、それでもよく解らない。それどころかかえって疑いが深まってしまう。これはつまり世界がどうしようもなく不確かだということだろうか。それともどうしようもなく不確かなのは私の方なのだろうか。そうだとするなら、私は次の...

pale asymmetry | 2026.08.07 Fri 10:40

剥離する清涼

JUGEMテーマ:戯言    老いた旅人は、少しの焦りを抱えたまま、起伏の激しい夜を彷徨っている。彼は月を探していたのだ。けれど自分の探しているその月が、どのような月なのかを彼は知らない。満月なのか新月なのか、半月なのか三日月なのか、あるいは立ち待ちや十六夜や二十三夜月なのか、彼は色々と考え思い描いてみるけれど、どれが自分の求めている月の姿なのかは解らなかった。その夜は暗く、今にも雨が落ちてきそうな濁りが空一面に拡がっていた。だから彼が探している月の姿が確定したとしても、それを夜の奥底...

pale asymmetry | 2026.08.06 Thu 18:07

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