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JUGEMテーマ:戯言 道端で、黒と白の斑模様の猫が、水たまりを覗き込んでいた。空の灰色は陰鬱なままで、今にも雨滴が落ちてきそうだったけれど、何故かゆるやかに吹く風は爽やかな感じがして、何かちぐはぐな現象が起こっているのかもしれないなどと、私は思ったりしていた。猫は前脚の先っぽで、水たまりの水面をやわらかく撫でる。そして首を傾げ、また水たまりを覗き込む。それを繰り返していた。近づいて、私も猫と一緒に覗き込んでみたかったけれど、そんなことをすれば猫を怖がらせてしまうだろうから、私は...
pale asymmetry | 2026.05.06 Wed 18:19
JUGEMテーマ:戯言 魔女が話を聞きたがっていると言われ、彼は少し緊張する。魔女が訊きたいのは彼の記憶なのか、それとも記録なのか。そのどちらなのかで、彼の発する言葉は全く違うものになるだろう。レジスターを抱えて彼は急ぎ足で街路を進む。もちろんキャッシュ・レジスターだけれど、それは領域や位相を制御する装置であって、内部のトレーにはコインや紙幣は入っていない。構造としてはとても複雑なもので、多くはオルゴールのシリンダームーブメントで構築されている。ということはもちろん音を発するわけ...
pale asymmetry | 2026.05.04 Mon 19:39
JUGEMテーマ:戯言 恐れを隠そうとする人は、とても奇妙な理論を振りかざし声を張り上げていた。けれどそれは奇妙すぎて理論として成り立っていないから、皆はただ不可思議な感覚に囚われただけだった。恐れを抱くことが恥ずべきことだとその人は考えているようだ。本当にそうだろうか。恐れがあるからこそ危険を回避できるし、恐れがあるからこと新たなスキルを身につけることが出来るのではないだろうか。少なくとも私はそう思うし、不可思議な感覚を抱いた者は皆、そう感じていたようだった。どんなに恐れを隠そ...
pale asymmetry | 2026.05.02 Sat 17:51
JUGEMテーマ:戯言 巨大すぎる象は、巨大過ぎるが故に重力に羽交い締めにされている。あまりにも躰が重く、歩くこともただ立っていることもままならない。横たわり、苦しそうに息をしている。太陽は西に傾き、けれどその鋭さはまだ揺るがない。ジリジリと陽光が象の皮膚を焼く。僕は象をすっぽりと包み込めるほどの傘を開き、象の傍らに立てかける。巨大な影が広がり、その躰は影に飲み込まれる。象は虚に塗れてしまった。もう世界と確かな絆を結ぶことは出来ないだろう。それでも、象は安穏を得たようだ。やわらか...
pale asymmetry | 2026.04.28 Tue 20:33
JUGEMテーマ:戯言 ストイックなバッタが勢いよく跳ぶ。それを見ていた別のバッタが、同じように跳ぶ。私はそのバッタたちを見下ろす。どんなに勢いよく跳んでも、バッタたちが私の背を越えることはない。私たちは同じ世界にいるようで、実は全く違う世界に属しているのだから、それは当たり前のことだ。バッタたちが何度も跳ぶ。勢いは増しているように見えたけれど、私はその跳躍の軌道を見下ろしている。バッタたちが私を見つめているように感じる。私を見つめて不思議がっているように思える。私がどのような法...
pale asymmetry | 2026.04.27 Mon 18:05
JUGEMテーマ:戯言 雨上がりに車を走らせていたら、ダッシュボードから小さな蜘蛛が話しかけてくる。 「雨が上がったのは、誰の絡繰りなのだろ?」 長い下り坂をゆっくりと下りながら、私は少しだけ考えるふりをしながら答えた。 「それを誰かの絡繰りに結びつけてしまうのは早計ではないだろうか?」 蜘蛛はダッシュボードの上で何度か跳躍する。その跳躍は時間を切断するような挙動に見えた。 「ところで絡繰りは世界から雨滴を振り払ってくれるのだろうか?」 私は問いを重ねる。一つの...
pale asymmetry | 2026.04.26 Sun 18:24
JUGEMテーマ:戯言 いくつかの事象を積み重ねていくことで、私は何を形作ろうとしているのだろうか。そのイメージはあまりにも曖昧模糊としていて全体像も一部の詳細も、何も見えてこない。全てが歪んだモザイクに過ぎず、しかもその紋様は蠢き続けているから、私の視界は不細工な世界を捉え続けているように思えてしまう。全てを疑って、その根本から捉え直すことが必要なのかもしれないけれど、それをすればイメージのなかに確かにある煌めきを曇らせてしまうような気がして、躊躇してしまう。何度でも一からやり...
pale asymmetry | 2026.04.24 Fri 17:59
JUGEMテーマ:戯言 取り敢えず解いてみる。ということは、それは結ばれていたということになる。それは結ばれていたのだろうか。でも結ばれていなければ解けないよ。なら結ばれていたはず。何者がいつ結んだのか。私ではない。では先達か。まあ、そう考えるのが妥当だろう。とにかくそれは結ばれた状態ですでに存在していたということにしよう。そこからでないと話が始まらないから。結び間は無数にある。いやもちろんそれは比喩的表現で、結び目は有限だ。数えればいつか数えきることが出来る。でもその気になれな...
pale asymmetry | 2026.04.23 Thu 18:18
JUGEMテーマ:戯言 小さな箱は宙に浮いているわけではない。それは壁に張り付いているわけでもない。奔放に転がっているわけでもない。地面に落ち着いているわけでもない。その箱は私が抱えているのだ。そして今日も雨は降っていない。でも明日には降り出すだろう。暖気と寒気の密やかな鬩ぎ合いが、この箱の蓋をポコポコと揺するだろう。隙間が出来れば私は中を覗き込むだろうか。いいえ、そんなことはしない。しないどころか、私は硬く目を閉じるだろう。その小さな箱の中は暗闇で満ちているから。きっとそれは凝...
pale asymmetry | 2026.04.22 Wed 20:06
JUGEMテーマ:戯言 紋様はまだ乱れたままだ。私はそれを調えなければいけない。でも私は調えたいと思っているのだろうか。どうやらそうではないようだ。むしろ今よりもっと乱してしまいたいと思っているのだ、本当は。もちろん際限なく乱すことを繰り返していては、私は手に入れなければいけないマテリアルを逃してしまうことになる。一方大きく乱したあとでないと、綺麗に紋様を調えることが出来ないことも解っている。では何処まで乱せば良いのだろうか。どのタイミングで調えを始めれば良いのだろうか。時間は永...
pale asymmetry | 2026.04.21 Tue 19:51
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