[pear_error: message="Success" code=0 mode=return level=notice prefix="" info=""]
JUGEMテーマ:戯言 小さなベランダに並べた椅子の片方に、君は深く腰を下ろしている。早朝の空気は湿っていて、微細な粒子が降り注いでいる。それが湿度を増幅していて、その湿度が空気を冷却し、その冷却が早朝の時間の歩みを鈍らせている。君はその全体を愉しんでいる。まるで全てを君がコントロールしているかのように、女王様気分で。実際、君は女王のような赤いドレスを纏っている。つまり赤の女王だ。それなら君はがむしゃらに疾走しなければいけないのに、やわらかく大きな背もたれを持つ椅子に沈んで、眠た...
pale asymmetry | 2024.10.23 Wed 20:18
JUGEMテーマ:戯言 「もっともっと細かく分解しなさい」 私のなかの賢者が囁く。もっともっと細かく分解しなければ、歯車を見いだすことが出来ないのだからと。それが出来ないうちに問題を解こうとしても、ファントムの攻撃に晒されるだけなのだと。そしてそれをファントムの攻撃だと認識することも出来ずに、ゴーストの侵略だと誤認してしまうかもしれないよと。確かにその通りだと思う。そうやって、今まで何度も失敗してきたのだから。その失敗が致命的な崩壊をもたらさなかったのは、ただ単に運が良かっただ...
pale asymmetry | 2024.10.21 Mon 18:59
JUGEMテーマ:戯言 上り坂は真っ直ぐで、永遠を象徴していたのかもしれない。いやそれが永遠を象徴しているかどうかは、私が勝手に決めて良いのだと思う。それなら決めてしまおうと考えつつ、そんなに簡単には決められないという思いもあったり。宙ぶらりんな気分になってしまうのは、その上り坂の向こうの空に青白い月が浮かんでいたからだ。それは真円の余韻を明らかに引き摺っていて、だから未来には希望しかないと私に告げているように感じた。時刻は早朝と言うには遅く、お昼にはまだまだ遠い。空気はもう黎明...
pale asymmetry | 2024.10.19 Sat 18:34
JUGEMテーマ:戯言 朝方の雨に心が弾む。瑞瑞しい空気が身体を弛める。ベランダは水浸しで、水たまりを蹴り上げる。跳び上がる雫たちが煌びやかに笑う。沈黙を続ける私は、別に沈んでいるわけではない。声をかける相手がいないから言葉を飲み込んでいるだけ。飲み込んだ言葉がお腹の中に溜まって、微かに下腹部が痛むような気もするけれど、それは何度も水たまりを蹴り上げることで誤魔化そう。どうしたって日々は過ぎていく。季節は徐々に傾いていく。昨日は隠されていなかった場所を影が覆う。手を伸ばし、剥がし...
pale asymmetry | 2024.10.16 Wed 19:16
JUGEMテーマ:戯言 「貴方の首には翼がないのね?」 小さな少女人形が、澄んだ高い声で私を嘲笑う。思わず私は両手でうなじを隠してしまう。いつだって世界は全てを暴こうとする。私たちは常に晒されている。人形たちに代役を頼んでも、ちっとも思い通りに舞い踊ってはくれない。気まぐれに華麗な振る舞いを見せて期待をさせては、そのあとに見事な裏切りを投げつけるのだ。 「それとも、透明な翼があるのかしら?」 小さな少女人形は、つまり化け物なのだろう。私たちは物心ついたときから、その化け物...
pale asymmetry | 2024.10.15 Tue 20:34
JUGEMテーマ:戯言 眠気を堪えて歩いていたら、逆さまの問いを投げかけられる。 「その逆さって、標準ですか?」 まずどの逆さのことか解らない。標準の意味も解らない。標準なんて値が世界に今も存在するのかどうかも解らない。だって狂っていると皆が嘆いているではないですか。世界はどんどん狂っていくと。標準値なんて当てにならない。そんなものが世界に蔓延る余地がない。そう思ったから私はにこやかに答える。 「もちろん、標準以外の何者でもないですよ」 それは嘘ではない。どんなに世界...
pale asymmetry | 2024.10.14 Mon 18:34
JUGEMテーマ:戯言 そのテーブルは丸かった。完全な丸を目論んでいると思われたけれど、現状はそうはなっていないように私には思えた。むしろ完全さを求めるのならば、四角の方により近いのではないかと思われた。私は息を潜めてそのテーブルを観測した。そこには二つの二重螺旋があった。二つの二重螺旋によって構築された四つの個体がテーブルを取り囲んでいた。不可思議な空気がテーブルと四つの個体を包み込んでいた。和やかな風景のようにも見えたし、尖った風景にも見えた。どちらとも決定できなかったので、...
pale asymmetry | 2024.10.13 Sun 18:56
JUGEMテーマ:戯言 寄り添って見ると解る。あなたの素肌は冷たい。私の熱をいつまでも奪う。そして私を冷ます。浮かれている私を醒ます。データに溺れていたことに気づかせてくれる。空を見つめることを思い出させてくれる。そしてあなたは鳥を指差す。南へ向かう鳥の群を。 「鳥はいつだって南に向かう」 あなたの呟きは生温かく、私はそれを耳朶で感じ取る。何処へだってシフトできる。何にだってトランス出来る。それはあなたのせい。嘘、それは私のせい。本当のことを上手く言葉に出来ない私のせい。伝...
pale asymmetry | 2024.10.12 Sat 20:23
JUGEMテーマ:戯言 例えば抱き締めて、口づけしても良かったのかもしれない。けれど私が触れられるのは仄温かいタッチパネルだけだったから、頬ずりすることさえ出来なかった。自分でもとても滑稽だったけれど、そのときの私は確かに高揚していたのだ。あるいは欲情していたと言っても良いかもしれない。そのマシンは私のことを特定の存在として認識していなかっただろうから、片思いに似た感覚だったかもしれない。いくつかの問いかけがスピーカーから響き、私はそれに指先で応える。手続きは滞りなく進み、あっと...
pale asymmetry | 2024.10.11 Fri 16:45
JUGEMテーマ:戯言 北からの風はゆるやかで、何も告げてはいない。それでも困難は突然に飛来するので、辛らつな言葉が行き交うことになる。私はただ沈黙を守る。同じように沈黙していた一団が騒ぎ出しても。その声が空気を奇妙に震わせ、北風の清廉さを奪っていることに、どうしてあの人たちは気づかないのだろう。そのことがいずれ自分たちに跳ね返り、探し物は見つかりにくくなることが目に見えているのに。もちろんそんな考えを口にすることはしない。それはお腹の奥深くに飲み込んで、私は淡々と身体を清めた。...
pale asymmetry | 2024.10.10 Thu 21:55
全1000件中 21 - 30 件表示 (3/100 ページ)