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JUGEMテーマ:戯言 あの頃私は、暴君の庭に立っていたのだった。展開機関という奇妙なエンジンのための宝石の螺子を磨いていたのだった。あの庭は無敵だった。そのエンジンを永久機関だと信じて疑わなかった。今も疑ってはいない。けれど信じてもいない。疑わずにいられるくらい私はまだ若い。そして信じられるくらいにもう若くはない。何もかもが変わってしまったわけではないけれど、見回す情景はあの頃と似ても似つかない。それはあの頃描いていた情景だろうか。今となってはもう思い出せない。少しばかり長く停...
pale asymmetry | 2024.01.20 Sat 19:15
JUGEMテーマ:戯言 傾きを上手くコントロールできないまま空を見上げてみる。軽い目眩を弄び、口中に苦味を感じる。いや、これは血の味だ。だから私は生きている。生命として青空の下に立っている。正確には立ち尽くしている。どこかに椅子はないものかと見回してみるけれど、そんなものは存在しない。まあ、世界はそんなに甘くはないということなのだろうと納得したふりをして歯を磨く。正午までまだ少しあるから歯を磨いておきたかったのだ。群れ飛ぶ雲は、アラベスク。そこには某かの暗号が隠されているようだ。...
pale asymmetry | 2024.01.19 Fri 20:45
JUGEMテーマ:戯言 踊ることに意味なんてあるのかな。いやもちろんあるだろう。けれどそれは誰かと共有できるものじゃない。私が踊ることには、私だけの意味がある。彼が踊ることには彼だけの意味がある。誰かが踊ることには、その誰かだけの意味があるのだ。自分が踊ることの意味を探求することは大切なことだろう。けれど彼が踊ることの意味、あるいは誰かが踊ることの意味は、私にとってさほど大切なことではない。その意味によって、私の踊りが、私の舞いが、変化することはなからだ。私は私の踊りにだけ目を向...
pale asymmetry | 2024.01.18 Thu 18:58
JUGEMテーマ:戯言 彼らが語らないのは、彼らが声を持たないからではない。気持ちを押し殺しているわけでもない。言の葉を持っていないのだ。生まれながらにそうであったわけではないだろう。この世界に生まれ出たその瞬間から、彼らは言の葉の洪水に飲み込まれたはずだ。それがこの世界の歓迎だから。誰もがその歓迎を受けて、言の葉を自身に織り込みながら暮らしを重ねているはずだから。では彼らは今なぜ言の葉を持たないのか。語るべき事を語らずに暮らすことを、どこで覚えたのか。あるいはそれは自然と身につ...
pale asymmetry | 2024.01.16 Tue 20:44
JUGEMテーマ:戯言 風は盲目かもしれないけれど、とても良い耳を持っているだろう。私がこの場所で足踏みする、その靴音を聴きとっているだろう。海辺のパーキングは晴れときどき曇。今のところ風は辿りつていない。海面はだから煌めきを纏うことなく、のんべんだらりんと横たわっているように見える。砂利運搬船のジェネレーター音が低く聞こえる。平和を乱す音だ。けど私には何が平和なのか、実のところよく解らない。誰かに直接銃口を向けられているわけでもないし、どこかから爆発音が響いているわけでもない。...
pale asymmetry | 2024.01.15 Mon 19:28
JUGEMテーマ:戯言 呪文を唱えられるのは一度だけなのだから、どこでそれを唱えるのかは慎重に考えなければいけない。でも彼らは簡単に唱えてしまう。本当にしっかりと吟味したのだろうか。私からすると、そんなシーンで唱えてしまうのかと思ってしまう。もっと使うべきシーンがあるのではないかと思えてしまうのだ。だって一度きりなのだ。二度目はない。そう思うと私はどうしても唱えることが出来ない。そして永遠に唱えないのだろうか。そう考えると、取り敢えず唱えてしまった方が良いのかもしれない。つまり彼...
pale asymmetry | 2024.01.14 Sun 21:11
JUGEMテーマ:戯言 大通りを流れる風を、ビルの合間のパーキングから眺めていた。いや、風なんて見えない。見えているのは駆け抜けていく風の痕跡だ。大通りを歩く人たちに、大通りに並ぶ店の軒先に、その風が色をつけていく。分岐した風の一部が、脇道のこのパーキングにも流れ込み、私を弄んだりする。陽光は十分溢れていたけれど、それを消し飛ばす勢いの風だ。北からやって来るその風は、大陸の冷気を運んでいる。バイカル湖周辺のジーンを運んでいるのかもしれない。その風に押されてこの島に古の誰かが辿り着...
pale asymmetry | 2024.01.11 Thu 19:54
JUGEMテーマ:戯言 早朝の都市を駆ける馬は燃えさかっていた。迸る炎の端々は鋭利だったけれど、全体としてその炎は淑やかに見えた。その炎の色彩が澄んだエメラルド色をしていたからだろうか。それともその燃えさかる炎から、熱を感じることが出来なかったからだろうか。だから私は、その馬に跨がることも出来ただろう。実際に、私はそのうまに跨がりたいと思っていたのだ。跨がって、馬と同じエメラルドの炎を纏ってみたいと思っていたのだ。だけどそれは出来ない。疾駆する馬のスピードが速過ぎて、駆け寄ること...
pale asymmetry | 2024.01.10 Wed 18:46
JUGEMテーマ:戯言 透明な壁の向こうで、見知らぬ少女がピースサインを翳している。少女は私の愚かさを指摘しているのかもしれない。満面の笑みを浮かべていたけれど、その眼差しはとても冷たかった。それは冬のせいではないだろう。それよりも私に対する軽蔑の現れのような気がした。そんなものなのだと納得する。つまり世界はそういう牽制をし合うようなシステムで構築されている。それが嫌ならば、声を上げずにやわらかい闇の中に沈み込むしかない。それはそれで間違ってはいないと思える。ただ自身が本当に愚か...
pale asymmetry | 2024.01.08 Mon 20:59
JUGEMテーマ:戯言 朝のテレヴィジョンは、午後の雨を告げていた。朝のテレヴィジョンは嘘つきだったらしい。斑な薄雲の向こうに青空が見えている。朝のテレヴィジョンに依存して傘を持つ午後の私は、少しばかり残念な人。でも大丈夫。誰も私なんて見ていない。誰も私の存在を気にしてはいない。この季節には珍しい南風だけが、私にの前髪にちょっかいを出して弄ぶ。傘を振り回して風を蹴散らそうとしても、南風はすばしっこくてことごとくかわされてしまう。むきになって傘を振り回す私は、かなり残念な人。いい加...
pale asymmetry | 2024.01.06 Sat 20:13
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