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JUGEMテーマ:戯言 新しい傘を買ったら、象がついてきた。ネットで買った傘に、水色の象がおまけとしてついてきたのだ。傘自体はとてもオーソドックスなタイプのこうもり傘で、水色ではなく黒だ。象の方はパステル調の水色で、体高は1mくらい。鼻はやや短めで耳はやや大きめ、そしてその大きさからは想像つかないくらい軽かった。さらには、耳のない食パンのような手触りだった。 「生きてますからね。キッパリと」 右手に傘、左手に象を軽々と運んできた宅配業者のお兄さんが、満面の笑みで言う。 「鼓...
pale asymmetry | 2019.02.22 Fri 20:52
JUGEMテーマ:戯言 目が覚めると、左手がなかった。肘から下の全てが失われていた。いや、失われていたというのは少し違うかもしれない。目に見えている左腕、つまり肘から上の部分を振り回してみると、失ったという感覚よりも不在であるという感覚の方が強かったからだ。切断されたわけでもなく、融解してしまったわけでもなく、何処かに出かけているように思えたのだ。 左手は旅をしているのだろうか。 辺境で遺跡に触れ、先人の叡智を感じているのだろうか。 休日の朝だったから、特に慌てること...
pale asymmetry | 2019.02.21 Thu 21:14
JUGEMテーマ:戯言 右手にはガヴェル。ステンレススチール製。南風が強く吹き。水面は白い三角。陽光は鋭く、ベンゼン環が乱舞する。砂は熱く素足だと火傷を免れない。私は木陰に逃げ込む。 数字は何処にだってある。何処にだって漂っている。何処にだって流れている。何処にだって降り注いでいる。そして、どこに行っても纏わり付いてくる。 私は叩き割る。銀色のガヴェルで。遍在する数字を片っ端から。スロットを回すように。レジスターを弾くように。微かな打突で数字は粉々に。崩れ落ちるときには涼...
pale asymmetry | 2019.02.19 Tue 21:21
JUGEMテーマ:戯言 刺し殺されたい。心臓を刺し貫かれて殺されたいくらいに眠かった。二度と目覚めないことを願っているわけではないし、この覚醒に嫌悪を感じているわけでもないのだけれど、どうしようもなく眠いのだ。鋭利なナイフで息の根を止められてしまいたいくらいに。私という現象が解体され、飛び散った無数の微細なパーツが、那由多の他者の現象に組み込まれて自我を失うくらいに。 「でもあなた。どうせそんなこと、できやしないでしょう」 私の告白に、彼女は薄ら笑う。私の鎖骨を甘噛みし、軽...
pale asymmetry | 2019.02.18 Mon 20:57
JUGEMテーマ:戯言 風を追いかけて、砂漠を歩く。淑やかな起伏、横たわるあの人の曲線のようだ。私は砂時計を投げる。鋭利な陽光と戦うように煌めいたあとそれは砂に沈み、捕らわれた。 私は歩く。キャラバンと共に。キャラバンに付き従う大道芸人たちに紛れて。立ち上る熱に抗いながら、キャラバンは進む。その行進に時間はない。時間という概念が関与する隙がない。 風が吹き、砂が流れ、起伏が緩やかに変化する。そこに時間はなく、ただ融解しているだけだ。何が? 遍在する欲望が。遍在してし...
pale asymmetry | 2019.02.17 Sun 21:01
JUGEMテーマ:戯言 貴方は私の脚に花片を貼り付ける。薄桃色のハート型の花片。幾つも幾つも貼り付け、私の脚の表層を花片で埋め尽くしていく。時々私の乳房に軽く口づけをしたりしながら、テルミンの音色のような鼻歌を歌ったりもしながら。 「あなたはね、花の魚になるのよ」 隙間なく花片を纏わせた私の脚を、貴方はうっとりと見つめる。私はその脚を見て、グロテスクだと思う。 「花の魚はね。宇宙を泳ぐのよ」 貴方は、私の腕にも花片を貼り付けていく。薄紫色の三日月型の花片を。 「花の...
pale asymmetry | 2019.02.16 Sat 20:31
JUGEMテーマ:戯言 テキストは、日々届く。朝から夜まで、寝ている間も届く。私の掌に。私の枕元に。私の掌にあるモニタに。睡眠時には枕元に横たわるモニタに。 テキストに返事をする。軽い返事。深刻な返事。悩ませる返事。焦りを誘う返事。 テキストは、知らない場所から届く。そして私は知らない場所へと送る。いや、そこに場所が存在するのかも私は知らない。発信場所も送信場所もないのかもしれない。ただ私のモニタからそのテキストは浮かび上がり、返すテキストもモニタに沈んでいるだけかもしれ...
pale asymmetry | 2019.02.12 Tue 21:38
JUGEMテーマ:戯言 イメージするのは一人の少年。詰め襟の、軍服のような服装。その服の色は臙脂。髪の色は濃紺。その他に拾い上げるべき特徴はない。臙脂の軍服を着た、濃紺の髪の少年。彼はそういう記号だ。 少年は眩しい部屋に入る。光が白く弾けている、激しく鋭く弾けている部屋に。それが白い部屋なのかどうかが解らないほどに眩しい部屋に。 「いらっしゃい、ご機嫌よう」 部屋には三人の老人がいた。大きな円卓を囲んで腰掛けていた。円卓も眩しかったけれど、老人たちはちっとも眩しくなかっ...
pale asymmetry | 2019.02.11 Mon 21:23
JUGEMテーマ:戯言 その鬼は聲を持たない。その鬼は言語を有さない。その鬼は叫ぶこともない。しかしそれはその鬼の罪ではない。ないということを観測する我々の罪なのだ。いや、それは分散されるべきものではなく、私の罪なのだ。私がその観測から、どんなに離れていても。 その鬼は無数の槍に貫かれ、高く吊され、鮮血を絞られ、そののちに転がされる。土を泥に変える血流を見て、私は戦慄する。私は叫ぶ。私は忘我の言語を叫ぶ。私の聲は鬼の痛みをやわらげることはなく、私の痛みを紛らわすだけだ。 ...
pale asymmetry | 2019.02.10 Sun 19:15
JUGEMテーマ:戯言 私の小指に、あなたはリボンを結ぶ。オレンジのリボンを。艶艶としたリボンを。私の手首を束ねて、あなたはリボンを結ぶ。ピンクのリボンを。キラキラ光るリボンを。私の首にあなたはリボンを結ぶ。黒いリボンを。ざらざらした感触のリボンを。私の乳房の曲面を這わせるように、あなたはリボンを結ぶ。水色のリボンを。ちくちくと仄かに熱を発するリボンを。私のお腹に。私の太ももに。私のふくらはぎに。私の土踏まずに。あなたは次々とリボンを結ぶ。色々な色彩のリボンを。色々な表情のリボン...
pale asymmetry | 2019.02.09 Sat 19:07
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