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JUGEMテーマ:戯言 大地と大海の下には厚く熱い流れがあるのだという。それは塊で清廉ではないけど、神話のなかの怒れる全能神のような流れなのだという。流れは幾つもあり、ぶつかると乗り上げたり潜り込んだりするのだそうだ。それは板バネのような出会いなのだという。つまり誰かが螺旋を巻いているのだ。するとやっぱり怒れる全能神が巻いていたりするのだろうか。途轍もない力が必要なように思えるから。何にしても固い表層の下には、熱をたっぷりと蓄えたやわらかさが、常に躍動して捕食の狙いを定めている。...
pale asymmetry | 2019.03.15 Fri 18:44
JUGEMテーマ:戯言 光の多くは樹木の組み手に遮られ、薄闇がその場所に充満していた。薄い闇なのにとても粘性が高く、捕らえられた魂は容易にその闇を振り払うことは出来ないように思えた。でも闇は魂を捕らえたりはしない。敬い展開するための闇だから。森は崖に繋がり、その岩肌はたっぷりと湿っている。境界には水が満ちている。ある世界から別の世界への繋がりを感じるためには水の力が必要不可欠だからなのだろう。こういう場所で死ぬとしたら、それは溺死になるのだろうとも思った。 崖の根元、小さな岩...
pale asymmetry | 2019.03.14 Thu 20:15
JUGEMテーマ:戯言 私は卵を抱きしめる。私の熱を伝え、孵そうとしているわけではない。そんなことは出来っこない。卵は私の身体より二回りほど大きなものだったから。それに私よりも十分に暖かかった。やわらかくて固い殻から私に熱が流れ込んでいたから。表層はやわらかく沈み、その下に強固な層を持つ殻は、私を受け入れ同時に拒んでいるようだった。けれど熱は確かに伝わってくるから、その固ささえ私を誘う意匠かもしれない。そう思って私は微笑み、その微笑みを殻に寄り添わす。 気がつくと、私は卵と共...
pale asymmetry | 2019.03.13 Wed 19:30
JUGEMテーマ:戯言 少女は箱を見つめている。彼女よりも少しだけ大きな箱。透明なアクリルでできた正六面体の箱。中は空っぽ。その空虚な空間にアクセスする術はない。少女はその箱に惹かれている。その空っぽの中身に魅せられている。イマジナリーな何かの事象を認識しているわけではない。ただその箱とその箱の内部が気に入っているのだ。理由なんてないし、理由なんてどうでも良い。 少女は箱を抱きしめる。ヒンヤリとしていて心地よい。少女の熱が箱に流れ奪われていく。空っぽの空間で一度渦を巻き、ここ...
pale asymmetry | 2019.03.07 Thu 21:13
JUGEMテーマ:戯言 あなたが今日右足から部屋を出たのなら、それはあなたが右足から出ることができたから。なんて素敵なことでしょう。素晴らしい世界が、それを保証してくれる。A=Cが成り立つのは、A=Cを成り立たせることができるから、とこの世界には記述されている。 この世界の何処に記述されているのか。 それは私のスカートに。A=C、A=B、故にA=Aと記述されている。つまりは全て戯れ言だと。 というわけで、私のスカートはその内側に何でも隠すことができる。何もかもを取り込...
pale asymmetry | 2019.03.06 Wed 20:35
JUGEMテーマ:戯言 ランチを終え職場に戻る途中で、踊る人を見つけた。車道の真ん中で、両腕両脚を激しく振り回し、とても幸福そうな表情で踊っている。重力を無視するくらいに高く跳ね、中央分離帯を軽々と跳び越えて踊り続ける。背広姿の男性で、短い髪は今は乱れていたけれど、きっと普段は誠実そうな印象の人なのだろうと思える。決して身体能力がずば抜けて高そうな人物には見えない。けれど彼は空中で何度も回転してみせたりしている。しているというよりは、何ものかに回転させられている、というように見え...
pale asymmetry | 2019.03.05 Tue 21:45
JUGEMテーマ:戯言 カーボンの小さな丸テーブルの向こう側には土星顔の紳士が腰掛けている。ダークスーツの着こなしが紳士然としていたのでそう思ったのだけれど、本当のところはよく解らない。彼の、本当に彼なのかもよく解らないが、その彼の隣には木星顔の学者が腰掛けていた。白衣を着ていたからそう思っただけで、本当は医師かもしれない。あるいはちょっと気取った総菜屋かもしれない。 例によって私は眠い。それは私の右胸に穴が、直径約7センチの穴が空いているからなのだけど、今はそこはガムテープ...
pale asymmetry | 2019.03.04 Mon 21:19
JUGEMテーマ:戯言 車道と歩道の境目に少年は目を凝らす。そこに流れているのは妖精の溜息だと少年は思う。透明という色彩が、小さな排水溝に流れ込んだり、溢れ出したりしている。でもそれらの何処にも丸窓はない。 少年は丸窓を探しているのだ。それはとても小さな丸窓。彼の眼球よりも小さい。けれど、彼の眼球よりもずっと綺麗で棲んでいる。彼の眼球は澱んでいる。流れていないからだ。彼の祈りが。 ビルとビルの隙間に、少年は目を見張る。その薄暗い積層に。そこには平たくて常に撓っている異獣が...
pale asymmetry | 2019.03.02 Sat 22:28
JUGEMテーマ:戯言 青いトマトがテーブルだ。真ん中の窪みにレジスターをのせろ。トマトは堅いから沈まないぜ。ガシャガシャキーをぶん殴っても沈まないぜ。おっと椅子がいるな、やっぱり椅子はパプリカか。色はイエローだろうなやっぱり。イエロー・モンキーの俺だから。座り心地は最高だ。中は空洞でふかふかしてる。なのに外はシャキシャキだ。俺のケツには丁度良い。頭をのせても良いかもな。俺の頭の中もスカスカだから。それでも星は走っているぜ。彗星遊星何でもござれ。熱い流れが駆け回り。脳みそもこんが...
pale asymmetry | 2019.02.26 Tue 21:06
JUGEMテーマ:戯言 城壁はとても強固で、どこかに穴を開けたり打ち倒したりすることは出来そうにない。私の懐には一枚のお札があって、これで一つだけ願いを叶えることが出来る。だからこれを使って壁を破壊することが出来るはずなのだけど、何故かお札は城壁に対しては機能しない。城壁の内側に魔法使いがいて、お札の力を無効化しているのだろうか。それとも、世知辛い浮世のせいだろうか。 城壁はとても高く、その表層はとてもスムースで登って越えるということも出来そうにない。お札の力で壁の高さを変化...
pale asymmetry | 2019.02.25 Mon 21:12
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