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JUGEMテーマ:戯言 その暗号化はとても難しくて、私には解らなかった。 私は怒っているわけではない。感動しているわけでもない。傷つけられているわけでもない。疑問に感じているわけでもない。では、今のこの私の状態を何と表せば良いだろう。心が傾斜している、とでも言えば良いだろうか。傾斜角度はとてもゆるやかだ。でも確実に傾斜している。その傾斜が、暗号化を過剰に難しくしているのだ。 少女は歌っていた。考え抜かれた暗号文を。伸びやかな声。でも少女の本当の声ではない。いや、それが本当...
pale asymmetry | 2021.06.23 Wed 21:19
JUGEMテーマ:戯言 部屋の扉には、鏡の部屋と描かれたプレートが掲げられていた。けれど扉を開いて中に入ると、そこには鏡らしきものは一つもなかった。小さな部屋だったから間違いはない。円形の部屋で、真ん中に丸いテーブルがあり、その中央に人形が一体腰掛けていた。空色のヒラヒラしたドレスを纏っている人形で、長いブロンドの髪はゆるやかに波打っている。物語の中で不可思議な場所に迷い込む少女のよう。例えばウサギを追いかけて。けれどその顔はカエルだった。オレンジ色のカエルだった。毒々しいオレン...
pale asymmetry | 2021.06.20 Sun 21:10
JUGEMテーマ:戯言 ふと思う。気がつくと周囲が有翼の事象で満ちているではないかと。それは仮想の現実や拡張の現実、つまり電子的な有翼性だけではなく。基底現実の有り触れたそこかしこにも。 例えばそれは雨。有翼の雨が降り、その雨が川に流れ込み川を有翼にする。有翼の川は溢れ、街路が有翼化する。それが血流となって都市を循環し、やがては都市そのものが有翼の事象として世界から浮き上がってしまう。あるいは世界の核へと楔を撃ち込んでしまうのだ。馬鹿げた妄想だろうか。いいえそんなことはない。...
pale asymmetry | 2021.06.17 Thu 21:14
JUGEMテーマ:戯言 世界が燃え上がっていることは間違いないと思われ、と言うことは私自身既に燃え上がっているのだろうと思われる。見た目には解らない。どこにも炎は見えない。ただ、熱を感じるだけだ。しかもその熱は固く鋭く冷え切っている。冷え切っているにも係わらず、包み込まれると灼熱に焼かれるのだ。ひどく理不尽な熱ということになる。まあ、仕方がない。世界はそういう理不尽なもので満ちている。そして矛盾するものばかりで構築されているのだ。 でも油断してはいけない。一見矛盾していて脆弱...
pale asymmetry | 2021.06.12 Sat 19:41
JUGEMテーマ:戯言 ミルクキャラメルを口の中で転がしながら、私は川原に腰掛けている。激しい雨が上がったばかりだったから、地面は濡れていて、だからお尻も濡れてしまった。少し気持ち悪かったけれど、私はその感情を許す。日差しは鋭さを取り戻していたし、空の大部分は脳天気な青に染まっていたから。こんな午後はお尻が濡れても良い午後なのだと思えた。 深呼吸を一つ。瞬きを二つ。 買ったばかりのノートを鞄から取り出し、最初の一ページを破り取る。そしてそれを川へと投げた。手裏剣を投げるよ...
pale asymmetry | 2021.06.10 Thu 21:01
JUGEMテーマ:戯言 踝が水を引っかけ、水面を掻き分ける。この脚は水を切り裂くことは出来ないし、水を纏わせて従わせることも出来ない。私は非力だ。そう思うのは簡単だ。私は無能だ。それは既によく知っている。そしてそれを気に入っていたりするのだからどうしようもないヤツなのだ。 強く吹く風を見送る。透明なはずなのに青灰色に見えてしまう。 それは風のせいなのか、それとも私のせいなのか、あるいは世界のせいなのか。どれであっても構わないけれど、きっとどれでもないだろう。ない色を見いだ...
pale asymmetry | 2021.06.07 Mon 21:04
JUGEMテーマ:戯言 夜は水没してしまったから、私たちは舟を浮かべるしかないの。 その舟は風に翻弄され、流れに弄ばれるでしょう。私たちはひたすらにしがみつき、その揺さぶりに耐えるしかないのかしら。いいえ、そんなことはない。私たちは水をかき、生きたいところにいけるわ。そこで見たい風景に浸ることだって出来るでしょう。それは自由。鼻歌交じりの自由なの。 雨は大粒すぎて、それは鋼鉄の馬車。あるいはそれに擬態する、狡賢い黄金の獣。 傘はないから花を開いてさしましょう。頭上に掲...
pale asymmetry | 2021.06.06 Sun 21:27
JUGEMテーマ:戯言 「今夜世界が滅びます」 少しイラついた表情でその子が言うから、私は何だか残念な気分になった。 「エビデンスは何です?」 私がそう問いかけると、その子は肩を竦める。 「そんなの、当たり前のことでしょう」 そう言って、目をそらす。それは日が沈むのと同じくらいに当たり前のことだと、言いたいようだった。だから私は今夜世界が滅びない証拠を、ゆっくりと、一つずつ、データで裏付けしながら並べていった。それは十九個あった。あれ、この場合の助数詞は個で良かった...
pale asymmetry | 2021.06.05 Sat 21:12
JUGEMテーマ:戯言 うつらうつらとしながらイメージするに、世界は多層構造に円環構造が絡まった感じのものだ。一つ一つの層は独立した様相を有した世界だから、それが多層構造ならば幾つもの世界が重なり合っていることになるのだろう。あるいはそれは選択によって層から層へとリープすることになるのかも知れないし、そんなことは一切起こらず、各層は他の層を知ることなくそれでも一群の世界を構築するための某かの連携をしているのかもしれない。連動をしているのかもしれないし。 何か忘れているなぁ。あ...
pale asymmetry | 2021.06.03 Thu 21:44
JUGEMテーマ:戯言 溶けるということに身を委ねようとしてみたけれど、呼吸の乱れが激しくなってしまって、上手くいかない。もっと気を落ち着かせて、身体の力を抜いて、沈むように漂うように浮かぶようにすれば良いのだろうけれど、そうは出来ないのだった。それは私の身体のあちらこちらが痛んでいるからだろうか。あちらのビスやこちらのスプリングが、抜け落ちているからだろうか。それとも細かな部分が錆び付いているからかも知れない。 例えばそれが深い青で、少しだけ朱色がかっていたとして、私はそこ...
pale asymmetry | 2021.06.01 Tue 21:50
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