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JUGEMテーマ:戯言 盥一杯に睡蓮の眠りを注ぐ。まろやかでどなたにも好かれる眠りだ。無音の花火が交響曲を奏でながら空で砕けているのを眺めながら、あなたはその盥に浸かるがいいでしょう。癒されるべき傷は、決して大きくも深くもないけれど。だからあなたの状況は、決して悲惨なものではないけれど、それでもそれは傷。傷は傷。痛みを伴い、気持ちを沈めてしまうものでしょう。私が静めてあげましょう。その傷が発する、不必要な滞りを。私が鎮めてあげましょう。その傷によって、どうしても沸き立ってしまうあ...
pale asymmetry | 2019.10.16 Wed 20:44
JUGEMテーマ:戯言 「これは時計の針で、長針であり短針であり、秒針でありそして指針でもある」 黒いネズミが二足で立ちはだかり、その赤い針を私に示す。黒く長い毛は強めの北風にわさわさと揺れていて、何だかそれが王様のように見えた。あるいは高僧のように見えた。実際には十五センチほどの身長の黒いネズミだ。それ以上でもそれ以下でもなく、比喩も暗喩も揶揄もない。リズムは微かにあるかもしれないけれど、ビートは全くない。私の目は黒いネズミよりはるかに高いところにあったけれど、そのネズミは少...
pale asymmetry | 2019.10.15 Tue 22:27
JUGEMテーマ:戯言 私は鉛筆を振るう。濃緑の鉛筆。2Hの硬度。ダイヤモンドを砕けるくらいに芯の先端は尖らせている。嘘。指揮者のように、激しく柔らかく、繊細に大胆に、愛をこめて憤怒をこめて、私は鉛筆を振るう。そうすることで、空気の中から双子を掬い上げる。男児と女児の双子だ。美しいシンメトリックな相貌の双子だ。性が違うのにもかかわらず、全てのDNAが一致している双子だ。嘘。 私は双子を捏ね回す。鉛筆で、効果的に攪拌して。空気ではなく次元を、それと共に並行世界を、そして神の領域を、...
pale asymmetry | 2019.10.08 Tue 22:11
JUGEMテーマ:戯言 薄暗い山道を走る。僕の小さな四駆がぎりぎり通れるくらいの幅の道。のんびりと間延びした時間を楽しめるスピードで。緩やかに上っていく未舗装路を、窓を全開にして、樹々の内緒話が聞こえるくらいのんびりと。日の傾きはまだそんなでもないはずだけど、変化に乏しい山道の色を感じたくてヘッドライトを着けた。その光で多彩な姿を現すほど、山道の風景の本性は単純ではなかったけれど。 でも猫が現れた。少し先の道の真ん中に、身を寄せ合う子猫たちが浮かび上がる。車を停めて数を数える...
pale asymmetry | 2019.10.02 Wed 22:04
JUGEMテーマ:戯言 まずは両手で砂を掬い取ること。それは全て星屑だから、その形を認識すること。でもずれている。言語がずれているのだ。これは参った。目の前にある言葉を拾うことができない。砂粒だ。星屑ではない。でも本来は星屑であるはずなのだ。つまり私は大きな存在として銀河を漂っているはずなのに、実際には小さな存在として波打ち際で右往左往しているのだ。途方に暮れそうになっているのだ。 波なんだと思う。この波が、本当は不要なんだと思う。けれど現れる。微妙に私の神経の伝達経路を邪魔...
pale asymmetry | 2019.10.01 Tue 21:49
JUGEMテーマ:戯言 海に面した大きな窓は全開で、風は海から私たちに吹いていて、行き場を失って私たちの血流に取り込まれ、結局のところ二重螺旋に絡みついたりする。嘘嘘、そんな気がするだけ。夏はもう終わっているはずなのに、海からの風はじっとりと濡れていて、私たちはそれが運んでくる熱を十分に愉しみたくなって、裸になって床に寝転がったりしている。タオル地のラグは少し堅めの感触で、それが私たちの汗を吸ってちょうどいい柔らかさになるのが心地良かった。同時にそれは、ちょうどいい優しさにもなる...
pale asymmetry | 2019.09.29 Sun 21:16
JUGEMテーマ:戯言 彼女の小指は、温かいような気がした。そんなはずはない。ここまで運ぶ途中で腐敗させないために、冷凍していたのだから。その事をよく解っているのに、それでも温かいような気がした。私がまだ彼女を求めているせいだろうか。全身全霊で、まだ彼女と体液を交換したいと思っているからだろうか。交換して、交歓したいと。 国境付近に生い茂る森、その奥深くに秘された小さな湖は、とても冷静な水面をしている。こんな場所には誰も来ないのに、常に凛とした精気を放ち、訪れるものを律っしな...
pale asymmetry | 2019.09.25 Wed 21:54
JUGEMテーマ:戯言 柄丸の身体は小さい。五百円玉と同じくらいの背丈だ。彼はメンターによって創り出された。形は人型だ。ただし腕が六本ある。それ以外はまあ、あなたと同じような感じだ。たぶん。柄丸を小さな身体にした理由を、メンターはこう説明した。 「一切が空」 柄丸にはよく解らなかった。というか全く解らなかった。というか誤魔化されているのではないかと思えた。本当のところ、理由も意味もないのではないかと。しかしメンターにそれを問いただしはしなかった。本当にそうだったら嫌だから。...
pale asymmetry | 2019.09.23 Mon 20:58
JUGEMテーマ:戯言 問題は、ロッドか風か妖精だ。複数かもしれないし、全てかもしれない。あるいはそのどれでもないか。いや、それはないな。それだと問題事態が喪失してしまうから。太陽に接近した彗星が長い尾を伸ばすように、顕在化した輪郭が私にははっきりと感じ取れる。問題は確かに目の前に鎮座していて、何なら輝く長い尾を棚引かせている。美しい青い尾だ。青と言ってみたが、赤かもしれないし、黄色かもしれない。まあそれはどうでもよろしい。私の有翼のイメージなのだから。気まぐれに羽ばたく翼だから...
pale asymmetry | 2019.09.18 Wed 22:27
JUGEMテーマ:戯言 私は駆けている。逃げているのだ。兎に角一目散に。もちろん追われているからだ。何者にか? 全力で駆けながら、ちらりと振り返る。追いかけているのは私だ。というわけで私は追いかけている。私自身の背中を。止めどなく込み上げてくる懐かしさを、ギュッと抱きしめながら。両手で、両掌で、そこから発散される熱で、そして汗で。 私は逃げ、追われ、追いかけている。追いつけるのか、逃げ切れるのか、永久機関か、さっぱり解らない。私はどれを望んでいるのか。それは一番望んでいるのは...
pale asymmetry | 2019.09.17 Tue 22:40
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