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JUGEMテーマ:戯言 痛み。痛みが私を加速させる。けれど私は、その加速された時間の内で静止している。沈黙している。惚けている。息を止めている。私の加速が臨界に達し、世界が止まる。時が止まれば熱量が消え、全ての運動が失われ闇になる。それは嫌だから、時を止めるわけにはいかない。私と世界の速度差が開きすぎると時は停止しているのと同じになってしまうので、私はそれをコントロールしなければいけないだろう。私と世界の差を、微妙なさじ加減で。 痛みを紛らわすために、私はデバイスを身に着ける...
pale asymmetry | 2019.09.16 Mon 21:54
JUGEMテーマ:戯言 湖は、青く濁っていた。綺麗な青で、けれどそれは明らかに濁りだった。淫らな貴婦人のような、高潔な娼婦のような水面だった。風は僕の前髪を揺らすくらいに吹いていたけれど、水面に乱れは一切なかった。水面ではないのかもしれない。水面に擬態した生命体なのかもしれない。もしそうなら、そいつは産まれてから死ぬまで微睡み続ける、決して覚醒することのない生命体だろう。水面は僕にそう感じさせた。 湖の真ん中に、少女が立っている。踝から下が水面下に隠れている。風に揺れる長い髪...
pale asymmetry | 2019.09.10 Tue 21:53
JUGEMテーマ:戯言 この世界が始まる前に、ここには花がありました。咲き誇る花でした。その花だけがありました。その花以外は必要ありませんでした。花は歌っていました。でも音はありませんでした。もし音があったとしても、その歌を聴く者はいませんでした。花自身さえ聞くことは出来ませんでした。耳を持っていませんでしたから。 花は何も持っていませんでした。口も持っていませんでした。だから花の歌は口ずさまれたわけではありませんでいた。どこからその歌が発せられたのか。どこからも発せられはし...
pale asymmetry | 2019.09.03 Tue 22:13
JUGEMテーマ:戯言 丸い部屋だった。真ん丸かと問われれば、そうではないかもしれない。しかし楕円だとも思えないほどには丸かった。ひしゃげていたとしても、地球と同じくらいかそれ以下だろう。部屋の真ん中に、バスタブが置かれている。アイボリーの眉を開いたようなバスタブ。金色の短い脚が支えている。宇宙の果てまで転がっていかないように。短い脚は、聖獣のそれだろう。この宇宙が生まれる前に、この宇宙の卵を抱いて温めた聖獣の。その聖獣は脚を残してどこに行ったのだろう。次の次元に飛び去ったのだろ...
pale asymmetry | 2019.08.31 Sat 22:04
JUGEMテーマ:戯言 少年は飛行機を折る。彼がまだ知らないテクノロジーで生み出されたペーパーで。それがどんなに悪魔的なオーバーテクノロジーのペーパーであったとしても、彼にとっては真っ新な紙だ。彼はそこに自身のイメージの飛行機を宿らせる。とても単純な手順で折り上げた紙飛行機。誰もが思いつく折り方の紙飛行機だ。でも少年はそんなことは知らない。彼にとっては、それは今まで世界に存在しなかったシェイプの飛行機だ。風の中にずっと眠っていて、誰も気づかなかったインフォメーションを密かに拾い上...
pale asymmetry | 2019.08.26 Mon 21:44
JUGEMテーマ:戯言 魔獣を焼き殺す槍が空から降り注ぐ。そんな槍のような陽光が降りそそぐ。私は魔獣だろうか。魔獣的な生命だろうか。魔獣の記号が織り込まれた螺旋を有する知性体だろうか。確かなことはとてもくだらない知性しか所有していないという事実。それでもいつ何時でも暴れ狂う覚悟はあるという秘密。槍に貫かれても傷つかない妄想。グロテスクなくらいにしぶとい妄想。だからこそゴージャスな時間を空回りさせる妄想。 魔獣を忌み嫌う陽光を浴びながら、私は濡れている。汚れすぎているのだおまえ...
pale asymmetry | 2019.08.23 Fri 20:19
JUGEMテーマ:戯言 オーロラという名前の少女が、降り注ぐオーロラに傘をさす。水晶のベルのような傘。妖精が行進するような音が響くベルのような傘。舞踏のような行進が、風の織り目から花弁を散らす様子をイメージせずにはいられない傘。そんな傘をくるくる回しながら、オーロラという名前の少女は、オーロラから身を守る。物語を夢見るために。 「花弁のことを想像してごらん」 誰かが少女を唆す。オーロラという名前の少女は傘を投げ捨て、やわらかく目を閉じる。斜めに顎を上げ、彗星のような気品を醸...
pale asymmetry | 2019.08.21 Wed 21:55
JUGEMテーマ:戯言 あなたが私をはむ。私の臓器をはむ。唾液を滴らせながら、吸い付き、噛み、頬張ったりする。血が流れないのは、喰らっているわけではないからだ。私は、喰らわれても良いと思っているのに。はまれている私は、ただただくすぐったい。ときどき、堪えきれずに声が漏れ出したりする。それは微細な痛みの声なのだけど、歓びの痛みの声だ。痛みが裏返って、そこに歓びが描かれた声だ。その声を聞いて、あなたは笑う。愛おしそうに嘲う。きっとあなたの気持ちも複雑なのだ。私の気持ちがそうであるよう...
pale asymmetry | 2019.08.20 Tue 22:02
JUGEMテーマ:戯言 ここは何処ですか? と問われたらどう答えるだろう。大抵の人は限定されたエリアを意味する記号をチョイスするのではないだろうか。つまりは住所を。もう少しややこしい状況ならどうだろう。例えば国から国へと空を飛んでいて、その途中で不時着してしまって、それが隣の国へと飛んでいたわけではなく、いくつもの国を跨いで飛んでいたとしたら。 そこで最初に出会った人物に「ここは何処ですか?」と問うとき、私はどんな答えを期待しているだろう。あるいはそういう状況で尋ねられた方な...
pale asymmetry | 2019.08.19 Mon 21:34
JUGEMテーマ:戯言 どんなに言語を連ねて説明されていたとしても、実際にその対象を目にしたときに、それまで抱いていた自分の中のイメージと大きく違うことは、ままあることではないかと思える。先日も、友人の奥方と初めて相対する機会があった。それまで、友人から奥方についてのたくさんの言語的フォルムを聞かされていたから、私の内にはかなり明確な彼女のイメージが出来上がっていた。しかし私が目にした彼女の姿はそのイメージから遠く離れていて、驚いてしまったのだ。これは言語の限界だろうか、それとも私...
pale asymmetry | 2019.08.13 Tue 22:22
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