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JUGEMテーマ:戯言 深呼吸が大切なのだろうと、水たまりを覗き込んで思う。水たまりは当然だけれどとても浅く、そこには目につく生態系も存在しない。もちろん顕微鏡レベルで観察すれば、そこには広大な独自世界が広がっているのかも知れないけれど、あいにくと私の両眼は近視で乱視のポンコツレベルなので、そんな世界は見いだせない。あるいはそこにはイメージの量子的観測で、想像を凌駕した知性体が私を見返しているのかもしれないし、浅いと感じるその水たまりに腕を差し込めば、肩口まで沈み込んでしまったり...
pale asymmetry | 2021.02.23 Tue 22:05
JUGEMテーマ:戯言 そのとき私はカフェにいて、その店で一番安いホットコーヒーを飲んでいた。そのコーヒーはとても酸味が強く、世界は斜めに広がっているのだと私に教えてくれるから好きだった。店の全ての窓も扉も全開で、風は我が物顔で吹き抜けていく。小僧だな、と思った。なんかそういう感じの妖怪のように感じる風だった。そしてその小僧が不可思議な香りを運んできた。芳ばしく甘い香り。ゴツゴツとしていて、でもよく見ると全ての角は丸まっている。そういう感じの見知らぬ果実のような香りだった。 「...
pale asymmetry | 2021.02.20 Sat 21:54
JUGEMテーマ:戯言 キリンが踊る。私の口の中で。跳ね飛び上顎を弾く。回転して歯を擦る。舌の上を転がって、カラカラと笑う。キリンが笑う。キリンって笑う? 笑うとしてもカラカラとではないだろう。ではこの私の口中の何者かはキリンではないのだろうか。しかし私には見える。私の口中で踊るキリンの姿が。いや待て。私は何故私の口中が見えるのか。私の目は口中にあるのか。それとも私の口中が目の前に風景として広がっているのか。あるいはそれは箱庭として私の胸の内にあって、それがあたかも見えているよう...
pale asymmetry | 2021.02.19 Fri 21:44
JUGEMテーマ:戯言 キリンが踊る。私の口の中で。跳ね飛び上顎を弾く。回転して歯を擦る。舌の上を転がって、カラカラと笑う。キリンが笑う。キリンって笑う? 笑うとしてもカラカラとではないだろう。ではこの私の口中の何者かはキリンではないのだろうか。しかし私には見える。私の口中で踊るキリンの姿が。いや待て。私は何故私の口中が見えるのか。私の目は口中にあるのか。それとも私の口中が目の前に風景として広がっているのか。あるいはそれは箱庭として私の胸の内にあって、それがあたかも見えているよう...
pale asymmetry | 2021.02.19 Fri 21:44
JUGEMテーマ:戯言 私の心臓の、鬱なる黄金が嘆いている。青空がこんなに気持ち良く棲んでいるのに。冷たい風が吹き抜けているせいではない。そんなものはこの強い陽光に砕かれているのだから。あなたが部屋で眠っている姿を思い浮かべながら、私は海沿いの道を歩く。水は随分と遠ざかっていて、砂はもとより水底の岩肌が露出している。老いた獣が横たわっているようだ。それは伝説の聖獣で、けれどもうどうしようもなく老いてしまったので、かつての美しさはここにはない。眠っているあなたは、美しかった頃の聖獣...
pale asymmetry | 2021.02.16 Tue 21:57
寒さが緩むと気も緩む。 誰かが言ったそんな言葉を反芻しながら、マフラーを無意識のうちに巻き直していた。 体の横を吹き抜けていく風に、肌を刺す刃のような冷たさはもうなくて。 それが少し残念で、春とは名ばかりの寒々しい景色を手持無沙汰に仰いだ。 寒さが緩んでも、冷えて固まった私の心に春が来るのはずっと先のことになりそうだ。
たまに浮上する | 2021.02.16 Tue 20:24
JUGEMテーマ:戯言 モニタ男が私に言う。 「オレと手を繋ぎたいなら、星を踊らせなよ。アクセサリとかじゃないぜ。本物の星をさ」 胸を張り、顎を反らし、逆三角の両眼を半分閉じて、モニタ男はたぶん世界の裾を踏んづけている気分なのだろう。 「どうする? できるかい? やってみるかい?」 モニタ男は左手を差し出し、僅かに肩を竦める。私を誘っているのか、私に誘われたいのか、どちらともとれる仕草だ。 「でも本物の星は熱いぜ。それは生命の材料だからな。それもとびきり怒れる生命の...
pale asymmetry | 2021.02.15 Mon 21:35
JUGEMテーマ:戯言 左腕の質量が変われば、私の行動様式も大きく変化する。それが僅かな質量変化であったとしても、その影響は莫大だろう。場合によっては、それは命に関わる事態を招きかねないだろう。従って、私は常に左腕の質量変化に敏感でなければならないのだ。では他の部位はどうなのかと言えば、左腕ほど繊細な部位は他にはない。例えば右腕や、左腿や、右のこめかみなど、そういう部分が多少変化しようと、あるいはその変化が多少でなかったとしても、私は何も感じないだろう。その変化に気づくことすらな...
pale asymmetry | 2021.02.12 Fri 21:40
JUGEMテーマ:戯言 テーブルは細長かった。長い長方形だったのだ。その長辺は600キロメートルくらい。その一端に、私は腰掛けている。白いテーブルで、だから強い陽光を弾いて先の方でハレーションしている。つまりテーブルは野外にあったわけだ。逆側の端には老紳士が腰掛けている。顔にはシールドを装着している。このご時世だからだろう。シールドはピカピカのシルバーで、だから顔は見えない。シールドには穴はなかったので、老紳士からも世界は見えなかっただろう。 600キロメートルくらい離れた老紳士の...
pale asymmetry | 2021.02.11 Thu 21:01
JUGEMテーマ:戯言 もし私が川辺に腰を下ろしていて、ほとんど止まっているような流れの水面を見つめているとしたら。私はその川にシンパシーを感じるだろうか。私の血流の流れを私はまだ見たことはないけれど、きっとこんな様な流れなのだろうと思うだろうか。こんな様な流れとは、ある種の錆が水面を形作っているという意味だ。別に川が錆びていると言っているわけではない。年月の経過により、どうしようもなく不足してしまった事象が、その川の表層に現れてはいないだろうかということだ。不足が現れるとは何か...
pale asymmetry | 2021.02.09 Tue 21:53
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