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JUGEMテーマ:戯言 「取り急げ」 兄が叫ぶ。その表現は全く正しくないように思われたが、兄は絶対なので反論はしない。まあ可能な限り急げという意味だとは解ったので、私は急ぐ。いや急ごうとする。つまり気持ちは取り急ぎ、身体は動き出さない。というのも何を取り急げば良いのか解らなかったからだ。その点について、兄は何も説明してくれない。命令もしてくれない。 「何を?」 仕方がないので、私は質問する。動き出さずに言葉を返すと兄が不機嫌になると思ったりもしたけど、兄は破顔した。 「...
pale asymmetry | 2021.07.05 Mon 21:16
JUGEMテーマ:戯言 ななしのカカシが空を飛んでいる。水色のドレスはとても裾が長く、それが激しく棚引いている。私は地面に寝そべって、飛んでいくななしのカカシを眺めている。背中が熱い、陽光のせいで路面はフライパンだ。私はすっかり調理されている。とろける私に出来上がっている。あの飛んでいくななしのカカシが食べてくれるだろうか。とか思ってみるけど、そんなことは起こりそうにない。ななしのカカシはただ飛び去っていくだけだ。では誰が私を食べてくれるのか。きっと誰でもないのだろう。私はこのま...
pale asymmetry | 2021.07.04 Sun 21:09
JUGEMテーマ:戯言 朱色の雲の中を、私は浮遊する。これは比喩ではない。実際に私は浮遊しているのだ。飛行する某かの機械に乗っているわけではない。もちろん素のままではそれは出来ないから、それなりの器材は装着してるけれど、でもそれは最低限。それは装着と言うよりは、纏っているという方がしっくりする程度のものだ。 そういう姿で、私は朱色の雲中を浮遊する。 何も見えない。直ぐ先、一メートルあるいは二メートルくらいしか距離を感じることが出来ない。浮遊する私の世界の、それが全てだ。私...
pale asymmetry | 2021.07.01 Thu 21:07
JUGEMテーマ:戯言 ダルマには手足がないから、その矢がどうやって放たれたのかは全く解らなかった。とにかくダルマがもんどりうったと思ったら、次の瞬間には矢が撃ち出されていて、それが私の踝を掠めたのだった。 歩みを止めよ、と矢は告げる。 時を解き放つために、時折朱鷺を説き伏せよ。そう主張しているのだ、ダルマは。 急勾配の坂道は延々と続いていて、その行き着く先は解らない。それは事後まで続いているのかもしれないし、ここが既に地獄かもしれない。その場合は地獄などないというこ...
pale asymmetry | 2021.06.30 Wed 21:21
JUGEMテーマ:戯言 こぬか雨を纏って街に出る。傘の比率は半分半分くらい。纏う人、纏わない人、そんなことを意識していない人。たぶんほとんどが意識していない人なのだろう。傘を開いている人も、傘を閉じている人も、傘を持っていない人も、とくにこのこぬか雨と繋がっている様子はない。私たちは、そんな感じで生きているのだな。私だって、このこぬか雨と強く繋がっているわけではない。さらさらとした心持ちで、軽く纏っているだけだ。 微細であるということは、どんな隙間にでも侵入していけるというこ...
pale asymmetry | 2021.06.25 Fri 21:27
JUGEMテーマ:戯言 その暗号化はとても難しくて、私には解らなかった。 私は怒っているわけではない。感動しているわけでもない。傷つけられているわけでもない。疑問に感じているわけでもない。では、今のこの私の状態を何と表せば良いだろう。心が傾斜している、とでも言えば良いだろうか。傾斜角度はとてもゆるやかだ。でも確実に傾斜している。その傾斜が、暗号化を過剰に難しくしているのだ。 少女は歌っていた。考え抜かれた暗号文を。伸びやかな声。でも少女の本当の声ではない。いや、それが本当...
pale asymmetry | 2021.06.23 Wed 21:19
JUGEMテーマ:戯言 部屋の扉には、鏡の部屋と描かれたプレートが掲げられていた。けれど扉を開いて中に入ると、そこには鏡らしきものは一つもなかった。小さな部屋だったから間違いはない。円形の部屋で、真ん中に丸いテーブルがあり、その中央に人形が一体腰掛けていた。空色のヒラヒラしたドレスを纏っている人形で、長いブロンドの髪はゆるやかに波打っている。物語の中で不可思議な場所に迷い込む少女のよう。例えばウサギを追いかけて。けれどその顔はカエルだった。オレンジ色のカエルだった。毒々しいオレン...
pale asymmetry | 2021.06.20 Sun 21:10
JUGEMテーマ:戯言 ふと思う。気がつくと周囲が有翼の事象で満ちているではないかと。それは仮想の現実や拡張の現実、つまり電子的な有翼性だけではなく。基底現実の有り触れたそこかしこにも。 例えばそれは雨。有翼の雨が降り、その雨が川に流れ込み川を有翼にする。有翼の川は溢れ、街路が有翼化する。それが血流となって都市を循環し、やがては都市そのものが有翼の事象として世界から浮き上がってしまう。あるいは世界の核へと楔を撃ち込んでしまうのだ。馬鹿げた妄想だろうか。いいえそんなことはない。...
pale asymmetry | 2021.06.17 Thu 21:14
JUGEMテーマ:戯言 世界が燃え上がっていることは間違いないと思われ、と言うことは私自身既に燃え上がっているのだろうと思われる。見た目には解らない。どこにも炎は見えない。ただ、熱を感じるだけだ。しかもその熱は固く鋭く冷え切っている。冷え切っているにも係わらず、包み込まれると灼熱に焼かれるのだ。ひどく理不尽な熱ということになる。まあ、仕方がない。世界はそういう理不尽なもので満ちている。そして矛盾するものばかりで構築されているのだ。 でも油断してはいけない。一見矛盾していて脆弱...
pale asymmetry | 2021.06.12 Sat 19:41
JUGEMテーマ:戯言 ミルクキャラメルを口の中で転がしながら、私は川原に腰掛けている。激しい雨が上がったばかりだったから、地面は濡れていて、だからお尻も濡れてしまった。少し気持ち悪かったけれど、私はその感情を許す。日差しは鋭さを取り戻していたし、空の大部分は脳天気な青に染まっていたから。こんな午後はお尻が濡れても良い午後なのだと思えた。 深呼吸を一つ。瞬きを二つ。 買ったばかりのノートを鞄から取り出し、最初の一ページを破り取る。そしてそれを川へと投げた。手裏剣を投げるよ...
pale asymmetry | 2021.06.10 Thu 21:01
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